家電製品レビュー

炊飯器のイメージを一新! 「バーミキュラ ライスポット」はふっくらごはんに煮込み料理も絶品

 シンプルでどっしりとした無水鍋で炊き上げたごはんは、粒が立ちツヤツヤで芯までふっくら。まるでかまど炊きのような味わいが楽しめる。だが、失敗なく美味しく炊き上げるには慣れが必要で、常に火加減に注意を払わなければならない。

バーミキュラ ライスポット PH23A-SV

 そんなかまど炊きの味わいが、パネルをタッチするだけで簡単に手に入る、鋳物ホーロー無水鍋の「バーミキュラ」を進化させた炊飯器が登場した。創業80年、老舗鋳造メーカーの愛知ドビーが手がけた「バーミキュラ ライスポット」を、12月1日の発売に先がけて紹介しよう。

メーカー名愛知ドビー
製品名バーミキュラ ライスポット PH23A-SV
実売価格86,184円

 ライスポットに初めて対面した時、一般的な電気炊飯器との見た目の違いに戸惑いを覚えるかもしれない。というのも、一見しただけでは「黒い無水鍋がカバーの付いたヒーターらしきものに乗っかっている」だけにしか見えないからだ。事実、鍋とヒーターは簡単に分離する。

 しかし、これがバーミキュラの電気炊飯器のカタチなのだ。美味しく御飯を炊き上げるための工夫が、無水鍋にもIHヒーターにも注ぎ込まれている。

より美味しい御飯が炊けるという
専用鍋(右)と新開発のIHヒーターは分離する。オールメイド・イン・ジャパンだ

 鍋は、「鋳物の蓄熱性」・「ホーローコーティングによる遠赤外線効果」・「鍋とフタの高い密閉性」の3つが揃う、従来から定評のあるバーミキュラを「炊飯」用に刷新したもの。新たに丸みを帯びた形状を採用しており、激しい対流を起こしてお米を十分に踊らせる。

 ヒーターは 「ポットヒーター」と呼ばれ、2つのヒーターが組み込まれている。炊飯用の鋳物ホーロー鍋のために新開発されたものだ。1つは鍋底が当たる部分に高出力IHヒーター、もう1つはカバーのように見える側面にアルミヒーターが施されている。

 つまり、2つのヒーターを立体的に配置することで、かまどのように鍋全体を包み込んで加熱するのだ。加えて、ヒートセンサーが鍋底の温度を監視して、御飯を美味しく炊き上げる繊細な火加減を自動で調整してくれるという。

炊飯用に新たに刷新した鋳物ホーロー鍋。丸みを帯びた形状で、米の対流を起こしやすくしている
熱源となる「ポットヒーター」。鍋底に当たる部分はIHヒーター、側面にはアルミヒーターを備える
鍋底の内側に水紋状のリブが刻まれている(左)、底はまっ平らだ
水を入れて沸騰させてみた。鍋底だけでなく側面からも熱されているのがわかる(上)。リブに沿って沸騰している。ヒーターの側面は温かくなる程度だった

 全体の大きさは、311×296×208mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約6.9kg。鍋の容量は3.7Lで、内径は230mm、深さは100mm。鍋の重さは約4㎏と重く、フタだけでも1.7㎏もある。

 鍋とフタの隙間は、高い技術を持つ熟練工による手仕事によるもので、わずか0.01mmと言われている。実際に2Lの水を入れて傾けても、チョロチョロとしか出ないほど密閉性が高い。そこにフタの重さも加わって調理中は鍋の中に圧力がかかり、食材本来の旨味を引き出す。

 フタを置く専用リッドスタンドに、米用と水用の計量カップが付属する。鍋の内側に水位線は施されていない。

鍋を含む大きさは311×296×208mm(幅×奥行×高さ)で、重さは約6.9kg。ヒーター底には6つのゴム足があり安定して置ける
鍋とフタは密閉性が高い。水を入れて傾けてもチョロチョロとしが流れないほど
付属の米用(右)と水用の計量カップが付属する

タッチパネルで炊飯器、調理鍋と簡単使い分け

 ライスポットは、炊飯器としてはもちろん調理鍋としても活用できる。

 操作は、ヒーター部にある操作タッチパネルに触れるだけと簡単だ。時刻が表示されている時が「ホーム画面」。右上に浮かぶ主電源をタッチすると、モード選択画面に切り替わる。調理ボタンと炊飯ボタンがアイコンで表示されるので、いずれかを選択する。時刻合わせはホーム画面で行なう。

使っていない時は時刻が表示されるホーム画面(上)。パネル右上の主電源ボタンをタッチするとモード選択画面に切り替わる
炊飯モード

 炊飯モードは5パターン設定されている。炊飯ボタンをタッチするごとに、「白米・ふつう」、「白米・おこげ」、「玄米・ふつう」、「玄米・おこげ」、「おかゆ」が選べる。

 炊飯パターンを選んだら、炊飯量を決定する。白米は1~5合(カップ)、玄米は1~4合、おかゆは1~1.5合で、0.5合単位で炊飯できる。量が決まったらOKボタンをタッチして、炊き上がり時間を設定し、「スタート/ストップ」ボタンをタッチすると炊飯スタート。白米なら浸水~炊飯~蒸らしまで、最短で1時間ほどで炊きあがる。

 なお、ライスポットは保温機能を敢えて採用していない。保温するよりも、温め直しの方が美味しいという結果からだそうだ。

モード画面から「炊飯」ボタンをタッチして、5パターンの炊飯方法から選択し、炊飯量(カップ数)を設定する(上)。OKボタンをタッチすると、炊き上がり時刻が1分刻みで設定できる。START/STOPボタンをタッチして炊飯スタート
炊飯できる量は0.5合刻みで、最小1合、最大5合まで炊飯できる。玄米は最大4合、おかゆは1.5合まで
調理モード

 調理モードは、ボタンをタッチするごとに、「中火」、「弱火」、「極弱火」、「保温」の4パターンの火力が選べる。

 「中火」は炒めものや焼き付け調理、「弱火」は無水調理、「極弱火」は焦げやすい食材の無水調理や煮込み料理などに向いている。ヒートセンサーが温度管理するため、沸騰を維持するときなど、最適な状態に火加減を自動調整してくれる。

 「保温」は30~95℃の間を、1℃刻みで設定できる。「スタート/ストップ」ボタンをタッチすると調理が始まる。調理中に、火力の変更も自在だ。

モード選択画面から「調理」ボタンをタッチすると火力が選べる(上)。必要なら、タイマーは1~360分(1分刻み)で設定できる(左)。タイマーを使わない場合は、調理経過時間が表示される
保温は30℃~95℃、1℃刻みで設定できる。タイマーとも併用可能

 調理スタート前に「タイマー切」も設定できる。タイマーは1~360分を1分刻みで調節でき、調理をスタートしてからでもタイマー設定が可能。また、よく使う「タイマー切」時間を2つまでメモリーできる。

 「タイマー切」を設定せずに、連続調理した場合、操作パネルに調理経過時間が表示され、90分で自動的に停止する。手動で停止したい時は、「スタート/ストップ」を1秒以上タッチする。

 操作方法がわかった所で、早速御飯を炊いてみよう。

これぞ「ザ・御飯」! 米粒しゃっきりツヤツヤ、芯までふっくらモッチリ

 ライスポットを手にして最初に試したのが、「白米・おこげ」モードだ。先に言ってしまうが、お・い・し・い「ザ・御飯」だった!

 美味しい御飯を炊き上げるには、取扱説明書にもあるが、お米を計量カップで正確に測り、手持ちのボウルとザルを使って洗米する。ザルで水気をしっかり切って米を鍋に入れ、付属の水計量カップを使って正確な量の水を入れる。少々面倒な気もするが、美味しい御飯を炊き上げるための、守るべきルールだ。

洗米の様子。お米は付属のカップを使ってすりきりで正確に量る。手持ちのボウルとザルを使って、3本の指先を使って洗う

 ここでは精米したてのコシヒカリ3合を炊飯した。「スタート/ストップ」をタッチすると、炊き上がり時間が表示される。浸水中は時折ポットヒーターのモーターが回転する程度で静か。浸水が終わり30分過ぎた頃、いよいよ炊飯が始まる。

 炊飯が始まって約10分過ぎた頃には蒸気がもうもうと立ち上り、20分頃に一旦鎮静する。23分を過ぎたあたりに再び蒸気が吹き出し、炊飯中の良い香りと僅かに御飯が焦げる良い香り立ち込める。25分過ぎにはまた静かになり、30分でブザーがなって炊き上がった。スタート/ストップボタンをタッチしてから、ちょうど1時間だ。

 フタを取ると蒸気が盛大に立ち上り、大きなカニ穴と目が合う。お米がしっかり踊った証拠だろう。しゃもじで御飯を鍋底から返すと、美味しそうなおこげができている。お米の一粒一粒がしゃっきりと立ち、ツヤッツヤ。いただいてみると食感はふっくらモッチリで、米の甘みと香りがふわ~と口いっぱいに拡がる。思わず「しあわせ~っ!」と叫んでしまった。おこげの食感も良く、香ばしい。

3カップのお米を「白米・おこげ」モードで炊飯した。炊き上がりは「カニ穴」ができていた。香ばしいおこげも
これぞ「ザ・御飯」美味しくて幸せ!

 一旦冷静になって、火加減(消費電力)の推移をお伝えしよう。浸水中の消費電力は3~5Wで、時おり350Wに上昇し3~5Wに戻る。炊飯が始まった時は450Wだった。炊飯が始まって約10分後に1,350Wまで上昇し、蒸気がもうもうと立ち上る。だが、約20分頃に鎮火。50~400Wあたりを行ったり来たりを繰り返し、蒸気がおさまる。

 炊飯が始まって23分過ぎた頃に再び1,300Wの高出力に切り替わり、もう一度蒸気がもうもうと立ち上った。この時軽く焦げる香りも立つので、どうやらこの時におこげを作っているのだろう。2分間高出力が続いた後は6~7Wになり、炊飯が終了した。3合、白米・おこげモードの電力量は0.26kwhだった。

 鍋で炊くのに、フタがガタガタと踊ることは無く、吹きこぼれもなかった。さすが、1.7㎏の鉄鋳物のフタ。高火力になって蒸気がもうもうと吹き上がっている時でも、鍋フタは一切動かず、炊き上がるまでピッタリと押さえ込んでいた。蒸気も、フタの印のある所からしか出てこないので、蒸気の向きがコントロールしやすい。

高火力になった時に蒸気が噴き出す様子。鍋フタは全く浮かず、蒸気はフタの一箇所から出ているのがわかる
フタに印が刻まれたところに、フローティンググリッドという名の蒸気の吹き出し箇所が施されている
蒸気は下にも向かって出てくる。操作パネルはフラットなので、汚れても調理後に拭き取ればいい

1合でも美味しく炊けるが、3合以上で炊くのがオススメ

 次に、精米したてのあきたこまちの分量を変えて炊き比べてみた。モードは「白米・ふつう」。お米の分量に合わせて、ポットヒーターの炊飯量を設定した。

 お米の量が変化しても、炊飯の過程は大きく変わらない。浸水30分後に炊飯が始まり、10分ぐらいで火力が一気に上昇する。強火で6~8分炊飯後に火力が弱まり、できあがり前の10分ぐらいは鎮火し蒸らしに当てられる。お米の量に関係なく、約1時間で炊き上がった。ふつうモードで炊いた場合、高出力になるのは1度だけだ。

お米の量を1合、2合、3合、5合と変えて炊き比べてみた
炊き上がった様子。お米の量が変わっても、炊き上がりの様子の違いはあまりわからない

 炊きたてはいずれもとても美味しい。焦げ付き、炊きムラは無く、ツヤツヤと粒が立ち、モッチリふっくらとしている。御飯の出来は先のおこげモードと変わらない。

 炊きたてをいただいた時はどの量でも大きな差は感じられなかったが、御飯が常温に冷めた時、その差がハッキリと表れた。

 1合のものは、3合以上で炊いたものよりも、米粒の表面がやや水っぽくて冷たい印象を受けた。口元に運んだ時の香りも少なめで、噛んだときの弾力やねばりが少なく、ふっくら感と甘みの広がりが乏しく感じられたのだ。

炊きたての御飯はお茶碗によそうとすべて美味しそうだ
御飯が室温に冷めて食べ比べて、初めて食感、味の違いがわかった

 その差の要因は、カップ数ごとに変わる火力の差にありそうだ。浸水が終わり、炊飯が始まってから炊き上がるまでの時間はいずれも30分前後は大きく変わらない。その間の消費電力の推移のしかた、炊き上がった時の電力量を調べてみると、明確な違いが浮かび上がった。

【1合】
炊きはじめ400W(7分継続)→750W(6分)→58/380W(7分)→6W→炊き上がり(0.14kwh)

【2合】
炊きはじめ400W(8分)→1,050W(6分)→58/380W(8分)→6W→炊き上がり(0.18kwh)

【3合】
炊きはじめ450W(9分)→1,350W(7分)→58/380W(7分)→6W→炊き上がり(0.23kwh)

【5合】
炊きはじめ630W(8分)→1,350W(8分)→58/380W(8分)→6W→炊き上がり(0.30kwh)

 以上のように、炊飯が始まって10分弱後の出力が大きく変わる時、1合では750Wだったのに対し、3合以上は1,350Wと、ライスポット最大の火力になっていた。3合以上に見られた噴き出すような蒸気は、1~2合時にはほとんど立ち上らなかった。

 これはライスポットに限ったことではないだろう。一般的に言われるように、「お米を多めに高火力で炊いたほうが美味しい」という事を改めて思い出した。

 もちろん炊きたては1合でも美味しかった。だが、同じお米をより一層美味しく味わうなら、3合以上で炊いた方が良さそうだ。冷めても本当に美味しい御飯が味わえるからだ。

鍋が熱いうちはどうしても御飯がこびりつきやすい。それでも水にしばらく浸けておけば簡単に落ちた

 その他、「7分つき玄米」、「おかゆ」、さらに市販の釜飯の素を使った「炊き込みご飯」を炊いてそれぞれをいただいた。

玄米(2合、調理時間:60分、電力量:0.26kwh)

 玄米は、ふつうモードでも軽くおこげができ、モッチリと風味良く仕上がった。ただし、炊飯前に浸水を6時間以上しなくてはならない。

玄米は白米と同じように洗米したあと、6時間浸水させてから炊飯する。あとは白米と同じように炊飯できる。玄米・ふつうでもほんの少しおこげができた
玄米を炊いた時、フタの内側の凹みと突起が、水滴によるべちゃつきを抑えている様子がハッキリとわかった。水滴が落ちた所は玄米がうっすら白っぽくなっているのがわかるが、御飯を大きく混ぜてしまえばそれはもうわからない
米の芯までモッチリと風味良く仕上がった
おかゆ(1合、調理時間:54分、電力量:0.32kwh)

 おかゆはフタを使わずに炊き上げる。調理中はふつふつといい香りが立ち上る。優しく甘く、ふっくらと本当に美味しい。1合のお米から、ご飯茶碗5膳分のおかゆがたっぷりできあがった。

 残ったものは冷蔵庫に入れ、レンジでチンして次の日にいただいたが、香りも良くとても美味しかった。

白米と同じように洗米したあと、おかゆはお米1合に対して、水は5倍の量の900mlを入れる。炊飯モードと米の量を選択して、フタをしないで炊き上げる
優しくふっくらとしたおかゆができた。塩だけでも美味しい
炊き込みご飯(3合、調理時間:58分、電力量:0.20kwh)

 炊き込みご飯は、市販の釜飯の素を使ってふつうモードで炊いたところ、ふっくらと美味しそうな炊き込みご飯ができあがった。御飯そのものが美味しいので、たて続けに3膳いただくほど箸が止まらない!

 12時間以上経って冷めた時、米表面の張り感はさすがに落ちたが、モッチリとした触感がありとても美味しい。お弁当にもピッタリだろう。

市販の釜飯の素を使った
3カップのお米に同量の水を入れ、釜飯の素を入れて炊き上げた。具材が炊飯中の対流によって側面へ押しやられているのがわかる
3膳もおかわりするほど、とてもとても美味しい炊き込みご飯だった
残った炊き込みご飯を鍋にいれたままフタをして12時間後の様子。全くべちゃべちゃになっておらず、ツヤもありもっちりとした食感も残っていた。冷めても美味しい

 数日間で約4㎏のお米を使って色々と炊いてみたが、炊飯に関しては大満足。美味しい御飯は、もうそれだけでご馳走だ。冷めても美味しく、レンジでチンしてもやはり炊きたてのように美味しい。

 保温機能を敢えて採用していないライスポットだが、実際に食べ続けて「なるほど、確かに要らない」と感じた。

低温調理のローストビーフにホクホクの肉じゃがまで! 無水調理鍋としても優秀

 一般的に無水調理をガスレンジで行なうには、火加減の慣れが必要だ。だが、ライスポットは適切な火加減調整が行き届くので、失敗の無い無水調理が可能になる。

 火加減は調理に応じて「中火(1,000W)」、「弱火(330W)」、「極弱火(330Wの間欠運転)」、そして低温調理も簡単にできる「保温」の4パターンから選べる。

 ここからは、付属するレシピに沿って、「ポトフ」、「野菜のオリーブ蒸し」、「ローストビーフ」、「肉じゃが」の4種を作ってみた。

付属のレシピに沿って揃えたポトフの材料だ
ポトフ(調理時間1時間)

 たっぷりの根菜と葉もの野菜に、ベーコンとソーセージで作るポトフは無水で調理できる。食材の旨味だけで作るので、調味料は塩とこしょうだけ。調理を始めて1時間ほどで滋味深いポトフが、たっぷり4人分出来上がった。

 作り方は簡単だ。刻んだ玉ねぎを鍋底に敷き詰め、その上に他の食材と塩とこしょうを入れてフタをし、「弱火」で50分。タイマーを使えばあとは何もしなくていい。スープ多めが好みなら水を足して、さらに弱火で10分加熱するだけ。

 途中かき混ぜる必用も無く、シンプルなのにアツアツの、クセになる美味しさだ。口の中で崩れるベーコンがこれまた美味しい。

じゃがいもが指定よりも大きかったため4個、大根は2/3使った。これでもかと言うぐらいきっちり詰めた(左上)。弱火で50分調理後の様子(右上)。無水なのに火が完全に通っている。スープ多めが好きなので水を加えてさらに10分調理した。鍋底に玉ねぎの焦げが残った
ポトフは、とても簡単に美味しく仕上がった
野菜のオリーブ蒸し(調理時間30分)

 旬の野菜をオリーブオイルで和えて無水調理するだけなのに、野菜本来の甘みが際立つ一品となった。

 火が通りにくいものと一緒にオリーブオイルと塩を入れてよく絡め、フタをして弱火で10分加熱。次に残りの野菜を入れ、軽く混ぜてフタをして弱火で20分加熱する。出来上がったらバターを加えてざっくりまぜたらできあがり。

 ワインのアテはもちろん、お肉の付け合せにも重宝する。レシピでは塩を小さじ1と1/2使っているが、その半分以下でも十分だろう。

揃えた材料(左上)。にんじん、じゃがいも、さつまいもを先に10分弱火で無水調理する(右上)。残りの野菜を入れ、続けて20分無水調理する。バターを加えて混ぜたら完成だ
それぞれの野菜の旨味がぎゅっと詰まり、ほんのり甘みがあって美味しい
肉じゃが(調理時間40分)

 無水で作る、ホックホクじゃがいもの肉じゃがも美味しかった。

 鍋をからのまま「中火」で4分ほど加熱すると、パネルに「炒めOK」が表示される。そこに豚ばら肉を入れて軽く炒める。フッ素加工鍋ではないが、薄い肉なのに、さほどこびり付かずにジュージューと炒められた。次にインゲン以外の食材と調味料を入れてフタをし、弱火で25分加熱。さらにインゲンを加えて、弱火で5分加熱する。火を止めて軽く混ぜフタをして10分、味を含ませてできあがる。

肉じゃがも無水調理でできてしまう。材料はレシピに沿って揃えた
鍋をからのまま「中火」で4分ほど加熱すると、パネルに「炒めOK」が表示される(左)。そこに豚ばら肉を入れて軽く炒める

 食材の水分だけで調理するので、それぞれの旨味がぎゅっと凝縮したような美味しい肉じゃがだ。これがまた、冷めても美味い!汁がほとんど出ないので、お弁当のおかずとしても向いている。

調味料とインゲン以外の食材を入れて混ぜ、フタをして弱火で25分加熱し、インゲンをいれて更に5分加熱。40分ほどで、じゃがいもがホックホクの肉じゃがが完成した
水を使っていないのに、味がしみていた。冷めても美味しい
ローストビーフ

 温度管理が難しいと言われるローストビーフも、思いの外簡単に作れてしまった。

生まれて初めて挑戦するローストビーフ。牛のモモ肉を700gを用意した

 作り方は、塩コショウをすり込んだ牛のモモ肉の塊の各面を、1分ぐらいずつ中火で焼き色をつけて取り出す。鍋にソースの材料を入れて中火で加熱。煮立ったら肉の塊を戻し、転がしてソースをよくまぶす。そのままフタをして「保温」モードを70℃・60分に設定して放置するだけ! ローストビーフは生まれて初めて作ったが、こんなにいとも簡単にできるものかと驚いてしまった。

 調理が終わったら鍋から肉を取り出す。粗熱が取れたら薄く切り分ければいい。見た目も豪華。食卓が華やぐ美味しいご馳走となった。面倒な温度調整はライスポットに完全にお任せできた。

塩コショウをすり込んだ肉の表面に、しっかり焼き色が付くまで各面を焼いていく。焼き終わった肉を取り出した鍋にソースの材料を入れる
ソースが煮立ったら肉を戻し、よくまぶす。保温モード(70℃・60分)を設定してフタをし、あとは放置するだけで完成した
初めてなのに大成功! スライスすると肉汁が滴り落ちるローストビーフは、柔らかく美味しい(よく切れる包丁が欲しい)
ビーフシチュー

 ここまで調理してきて、とにかく失敗無く料理が出来上がっていった。ならばと、火加減に注意を払う煮込み料理として、ビーフシチューをライスポットで作ってみた。

普段からなにかにつけて作るビーフシチューを作ってみた。牛スネ肉800gで8人分の材料を用意した

 煮込み料理は、とにかくガスレンジの火加減に常に気を遣う。特に、デミグラスソースを入れた後は焦げ付かないよう、ガスが立ち消えしないよう、長時間火の側から離れられない。たとえライスポット使っても、ガスと同様に調理時間は3時間もかかる。

 しかし、総じてガスレンジで作るよりもずっとラクだった。というのも、はじめに灰汁取ってしまえば、あとはフタをして火加減は「極弱火」に設定し、タイマーを使ってコトコトと煮込めば、放っておいてもできあがってしまったからだ。吹きこぼれもなければ、ガスが立ち消える心配も無い。

バターを入れ、中火でスネ肉を焼き上げる(上)。肉を一旦外して、ブロッコリーとマッシュルーム以外を炒める(左下)。たまねぎがしんなりしたら、赤ワインを400ml入れて、弱火で10分ほど煮る
一旦じゃがいもを取り出し、水を800ml入れて中火で沸騰させ灰汁を取る。灰汁が出なくなったらフタをして、極弱火で1時間半ぐらい煮込んだ様子(右上)。デミグラスソースとじゃがいも、ブロッコリーを入れて混ぜる。フタをして極弱火で40分後にできあがった

 かき回さなくても焦げ付かないので、野菜はまったく煮崩れず、ほっこりと柔らかい。スネ肉は口の中でホロリと崩れるほど上手に仕上がった。3.7L入る鍋なので、4人分+おかわり分の8皿のたっぷりシチューが一度に作れた。

 これまで何度も作っているが、1番の出来と言っても過言ではないほど、本当に美味しくできた。

別茹でしたブロッコリーを添えて完成。スネ肉はホロリと崩れ、野菜はまったく型くずれしていない。とても美味しい! 大成功だった

食生活を豊かにするバーミキュラ ライスポット

 価格は税込みで8万円超えと、高価な買い物にはなる。だが、10万円前後の高級炊飯器が並ぶ中にあっても、鋳物のホーロー鍋と、ポットヒーターを組み合わせた「ライスポット」で炊き上げた御飯は、「ご馳走」と言えるほど格別だ。炊きたてはもちろん、冷めてからも美味しくいただける。

 さらに、本格的な調理鍋としてもおおいに魅力的だ。火加減調整から開放されるだけで、料理がラクになるからだ。密閉性の高い、鉄鋳ホーロー鍋は重い。だが、シリコンなどのパッキンを使っていないので、洗ってしまえば食材のニオイも一切残らず、いつでも気持ち良く使える。

 美味しい「御飯」を毎日食べたい方はもちろん、料理が大好きな方にも特にオススメしたい。手料理のレパートリーの幅が拡がり、より食生活が豊かに、楽しくなるだろう。

藤原 大蔵