趣味の節電道入門
第16回:冷蔵庫の背面をUSBファンで換気するといくらの節電?
by 小口 覺(2014/8/6 07:00)
連日、最高気温が30℃を超えるようになってきた。わが家のキッチンには窓がなく、風通しが良くないこともあるのだろう、気がつけば冷蔵庫が何だか暖かい。というより、かなり熱くなっている場所もある。これは、涼しい時期に比べて消費電力もかなり高まっているのではないだろうか。
そこで、冷蔵庫の背面や側面をUSBファンで換気するオペレーションを実行した。放熱の効率を高めることで、消費電力を低減しようという作戦だ。
まずは、冷蔵庫周辺の温度を測ってみた。計測した日の室温は29℃だが、冷蔵庫の上の気温は31℃を超えた。側面のもっとも熱くなっている場所は40℃を超えることもある。
ちなみに、冷蔵庫と左の壁の間は約5.5cm、冷蔵庫の上部から天井までの間には45cm以上のスペースがあり、そう悪い環境ではないはずだ。
換気に使用したUSBファンは、先日紹介した無印良品の「USBデスクファン」。消費電力は「強」で1Wなので、これ以上の節電効果が得られれば節電に成功したことになる。
USBファンを冷蔵庫背面近くに設定して電源を入れる。しかし、送風したとたん、反対側の隙間からホコリがボコボコ出てきたのには閉口した(使い始めは掃除機の使用をおすすめする)。ホコリも冷蔵庫の放熱を妨げる要素なので、ホコリが取り除かれることだけでも意味があるだろう。
温度の下がり方と消費電力を計測
さて、ファンによる換気で消費電力がどのぐらい下がるかを測ろうとしたのだが、これがなかなか難しい。冷蔵庫の消費電力は常に変動している。ドアを開けて内部の温度が上がったときに上がるのはもちろん、ドアを閉めっぱなしにしていても常に変動し、たまに極端に消費電力が低いモードに入ることもある。
とりあえず3分間隔で、消費電力の最大値(赤線)と最小値(青線)、および周囲の温度を計測した結果が、下のグラフだ。水色の背景が換気あり、オレンジの背景が換気なしの時間帯だ。
換気を開始した直後、消費電力や周囲の温度はがくんと下がった。消費電力はピークの120Wから10W~16Wに急降下。しかし、その後徐々に上昇して80W前後の数値で落ち着いてきた。そこで、ファンをオフにしたところ、今度は逆に数値が下がり始め、また10W~17Wにまで落ちてきた。
USBファンによる換気とは関係なく、冷蔵庫の都合でコンプレッサーの稼働が下がり、それにともない表面温度も下がっているだけのようにも思える。その後、消費電力は徐々に上昇し、また80W前後の値に戻った。この間、ドアの開閉はしていない。
そして、再びUSBファンを稼働したところ、消費電力は70W前後まで落ちてきた。この部分のみを見ると、換気が節電に効果があったようにも思えるが、因果関係を立証するのは難しい。
換気したから冷蔵庫周囲の温度が下がって消費電力が減ったのか、冷蔵庫の稼働が下がったから周囲の温度が下がったのか。まるで地球温暖化をめぐる議論のようだ。これは、メーカーの施設で、冷蔵庫の回路自体をモニターした上で計測しないと立証は困難だろう。
しょうがないので、24時間の消費電力で比較
部分的な消費電力の変化ではファンの効果が分かりにくいので、ざっくりと1日分の消費電力で比べてみることにした。
気温と冷蔵庫の使用パターンが似ている土日に、USBファンの換気ありなし、それぞれ24時間の消費電力を計測した。ちなみに、計測した日の室温は日中で29℃~30℃前後。換気していないとき冷蔵庫の上部は最高で31.8℃に達した。
その結果は、
換気あり:1.98kWh
換気なし:2.21kWh
その差は0.23kWhと、換気により約10%下がった計算になる(ファンの消費電力は24時間で0.024kWhなので、ここでは無視する)。電気代にして1日5.9593円、月に約185円の差になった(25.91円/kWh、31日換算)。
1回だけの計測なので、たまたま都合の良い結果が出ただけかもしれない。だが、冷蔵庫の設置状態が消費電力に影響するのは事実であり、まったく意味のないオペレーションとは言えないだろう。とくに、冷蔵庫と壁の間のスペースが狭い場合は、より効果が期待できるのではないだろうか。