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第20回:RoHS指令とは



パッケージに表示されている「RoHS」の文字。これはRoHS指令で規制されている有害物質を含有していないことを表している
 ここ数年、家電やPC関連機器のパッケージに「RoHS指令対応」などと書かれているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

 RoHS指令(ローズ指令)とは、人や自然環境が有害物質によって悪影響を受けるのを防ぐため、特定の有害物質を電気・電子機器に使うことを禁止する規制のことです。RoHSとは「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」の略で、日本語に訳すと「電気・電子機器における特定有害物質の使用規制」となります。2003年2月に公布され、2006年7月1日より施行されています。

 RoHS指令で使用が禁止されている有害物質は、下に示す6種類です。これらの物質は発がん性があり、体内に蓄積されることで健康に重大な悪影響を及ぼす危険があります。RoHS指令が施行された2006年7月1日以降、指定有害物質の含有率が基準値を超えている電気・電子機器は、EU加盟国で販売できなくなったのです。

【RoHS指令で使用禁止となっている有害物質と含有率基準値】
物質の名称含有率
0.1wt%
水銀0.1wt%
カドミウム0.01wt%
六価クロム0.1wt%
ポリブロモビフェニル
(PBB)
0.1wt%
ポリブロモジフェニルエーテル
(PBDE)
0.1wt%
※wt%は、製品重量を基準とした含有率を示す。製品重量が100gの場合、0.1wt%は0.1g


リサイクル規制(WEEE指令)とセットで運用

 RoHS指令は単独で運用されている規制ではなく、リサイクルに関する法律とともに成り立っています。RoHS指令が公布された2003年2月、同時に「WEEE指令」という規制が誕生しました。

 WEEEは、「Waste Electrical and Electronic Equipment」の略で、日本語に訳すと「電気・電子機器の廃棄に関する欧州議会及び理事会指令」となります。簡単に言うと、電気・電子機器を対象とした、回収やリサイクルに対する規制で、電気・電子機器メーカーに製品の回収やリサイクルを義務づけるとともに、回収やリサイクルの手法構築、費用負担などを求めています。

 そして、WEEE指令に基づく電気・電子機器の回収・リサイクルを容易にしたり、廃棄時の環境への影響を低減するという目的で、RoHS指令で有害物質の使用を規制しています。つまり、RoHS指令はWEEE指令とセットで運用されているのです。


日本向け製品では、メーカーが有害物質の使用を自主規制している

パナソニックでは、RoHS指令に該当する有害物質について、世界中の製品で使用していない(洗濯機のパンフレットより)
 実は日本では、RoHS指令のような電気・電子機器を対象とした有害物質の使用を規制する法律は存在しません。RoHS指令自体もEUが定める規制ですので、規制の範囲もEU加盟国に限定されます。そのため、日本には関係がない、と思われる方もいるかもしれません。

 しかし、日本の電気・電子機器メーカーにとって、EU加盟国は非常に重要な市場です。さらにアメリカ(現時点ではカリフォルニア州をはじめとした州ごとの対応)や韓国、中国でもRoHS指令と同等の規制が行なわれています。こうした流れを無視することは当然できません。

 日本では「資源有効利用促進法」にて、電気・電子機器製品に特定の化学物質が含まれる場合、日本工業規格(JIS)が定める「J-Moss(JIS C 0950)」という規格に従って、有害物質の含有情報を提供することが義務づけられています。J-Mossは、2008年1月21日に改訂されており(JIS C0950:2008)、RoHS指令を満たさない製品についてはオレンジ色の「含有マーク」の表示が義務づけられています。逆に、基準をクリアする製品には「J-Mossグリーンマーク」が任意で表示できます(こちらは義務ではありません)。つまり、J-Mossグリーンマークが表示されている製品は、RoHS指令と同等の有害物質基準をクリアしている製品と言えます。

 ただし、「J-Moss」はあくまでも有害物質の含有に関する表示を義務づけているだけで、有害物質の使用を規制しているわけではありません。また、含有マークの表示対象となっているのは、パソコン/エアコン/テレビ/冷蔵庫/洗濯機/電子レンジ/衣類乾燥機の7品目に限られています。

 しかし、近年の環境意識の高まりもあって、現在ではほとんどの電気・電子機器メーカーが、日本向けの製品も含めてRoHS指令に従った、またはそれを超えるレベルで、有害物質の使用規制を自主的に行っています。そういった意味では、日本でもRoHS指令とほぼ同じレベルの自主規制が、事実上行われていると考えていいでしょう。


オレンジ色の「含有マーク」。RoHS指令の基準を上回る有害物質が含まれている製品には、このマークの表示が義務づけられる(日本工業標準調査会ホームページの画像を使用) RoHS指令の基準値をクリアしている製品には、任意で「J-Mossグリーンマーク」を表示できる(日本工業標準調査会ホームページの画像を使用)


【RoHS指令】の、ここだけは押さえたいポイント

・鉛や水銀といった有害物質を、電化製品に使用することを禁止する規制。EUが制定した
・日本では有害物質に関する含有情報の表示を義務付ける規格「J-Moss」がある
・RoHS基準を満たさない製品は、オレンジ色の「含有マーク」の表示が義務づけられている

2008年10月8日 初版





URL
  現代家電の基礎用語 バックナンバー
  http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/word_backnumber/

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2008/10/08 00:06
平澤 寿康
1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。

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