トヨタ、家庭内の自立生活をアシストする生活支援ロボットを開発

トヨタの生活支援ロボット「HSR」

 トヨタ自動車は、手足が不自由な人のために、家庭内での自立生活をアシストする生活支援ロボット「HSR(human support robot)」を開発したと発表した。

 人の活動をサポートすることを目的とした「トヨタ・パートナーロボット」のひとつとして開発されたロボット。小回りがきく円筒形の小型・軽量ボディを採用し、アームは折り畳み式とすることで、「床の上の物を掴んで拾う」、「薄いものを吸引して拾う」、「棚や机の上など、高い所から物を取る」、「カーテンを開ける」などの仕事ができる。

 また、人に触れることを前提に設計されており、安全性に配慮して、ボディやアームの駆動部に大きな力が生じない仕様となっている。

HSRの主な動作。「床の上の物を掴んで拾う」、「薄いものを吸引して拾う」、「棚や机の上など、高い所から物を取る」、「カーテンを開ける」などの仕事ができるという

 HSRの開発に当たり、トヨタでは日本介助犬協会の協力のもと、手足が不自由な人のニーズや要望を把握。HSRがQOL(生活の質)の維持や向上に貢献することを目指し、「落ちたものを拾う」、「物を取ってくる」、「家族や介護者とのコミュニケーション」などの機能の開発に取り組んだ。2011年には横浜市総合リハビリテーションセンターの協力で、障がい者の自宅でHSRの実証実験を実施。利用者の視点を設計にフィードバックしながら、開発を進めたという。

 今後については、HSRを使って遠隔地から見守りや介助ができる機能を新たに開発するなどで実用化を目指し、大学など研究機関や介護・医療関係者と連携を取りながら、研究開発に取り組むという。

 HSRの直径は370mmで、高さは830~1,330mmまで昇降する。腕の長さは775mm、肩の高さは506~1,006mm。重量は32kg。把持できる物は重量1.2kg以下、幅130mm以下。最大速度は時速3km。走破性能は段差9mm、登坂は5度まで。

 なおHSRは、9月26日から28日まで、東京ビックサイトで開催される「第39回 国際福祉機器展 H.C.R.2012特別企画『福祉機器開発最前線』」にて、参考出品される。

棚の上にあるものも取れる床に落ちたリモコンを拾っているようす
拾ったリモコンを手渡しているところ操作用のタブレット端末





(正藤 慶一)

2012年9月21日 17:23