公取委、電気料金値上げに関して東京電力を注意
公正取引委員会は22日、独占禁止法の優越的地位の濫用につながる恐れがあるとして、東京電力に対して文書で注意を行なった。
問題とされたのは、東京電力が経産省の認可なしに行える大口の「自由化対象需要家」向け電気料金値上げの際に、あらかじめ合意がなければ契約途中での電気料金の値上げができないにも関わらず、4月1日に一斉に値上げを行なったこと。また、契約電力が500kW未満の需要家に対して「異議の連絡がない場合は、電気料金の引き上げに合意したとみなす」とした2点。
公取委によれば、東京電力は供給区域において自由化対象需要家向けの電力供給をほぼ独占しており、他の業者が電力供給できる余力が小さいとしている。これにより、ほとんどの自由化対象需要家は東京電力との取引の継続が困難になれば大きな支障をきたすとした。
この状況下では、東京電力が著しく不利益な取引条件の提示を行なっても、需要家はそれを受け入れざるを得ない状況であり、取引上の地位が優越していると判断した。
ただし、上記の2点について、経済産業省の指導により、3月下旬以降は、契約期間満了までは値上げ前の価格で取引が継続可能であるとの説明が行なわれたとしている。また、500kW未満の需要家に対しても、電話や口頭での説明が行われるようになったという。
これを踏まえて、公取委では、自由化対象需要家に対して電気料金値上げなどの取引条件の変更にあたっては、必要な需要を十分に開示した上で説明し、独占禁止法違反となるような行為を行なうことがないよう注意した。公取委の「注意」は、排除命令とは異なり法的処置ではないが、公表されることは珍しい。
東京電力では、「この度の注意を重く受け止め、引き続き、独占禁止法遵守に一層の注意をはらいつつ、お客さまへの丁寧なご説明を行なってまいります」としている。
公取委による、今回の件の概要。値上げを行なう際の一方的な態度が問題とされた |
(伊達 浩二)
2012年6月22日 17:48