ビックカメラ、初の“郊外型”山口店開店
ビックカメラ山口店 |
6月4日、株式会社ベスト電器と株式会社ビックカメラが共同出資した株式会社B&Bは、6月5日に開店するビックカメラのフランチャイズ1号店「ビックカメラ山口店」をマスコミ向けに公開した。
ビックカメラ山口店は、4月までベスト電器山口本店があった山口県山口市平井240-1に開店。フロア構成や駐車場スペースは従来と変わらないものの、新しい取扱商品としてフィルムカメラ、双眼鏡、腕時計、玩具、寝具、自転車などを加え、従来の約2倍となる20万品目を揃えた。初年度売上目標は25億円で、ベスト電器時代に比べ50%増となる。
外には大きな看板が設置されている | 山口店正面 |
スタッフ数はベスト電器時代に比べ3人多い52人で、大友章弘店長をはじめ旧ベスト電器山口店で働いていたスタッフばかり。その他、ベスト電器のグループ会社であるさくらやで勤務していたスタッフが出向している。
商圏としては、従来は半径10Km圏内だったが、新店舗では20kmにまで拡大。山口市をはじめ、阿武郡、防府市、宇部市、萩市の南部なども商圏とする。
株式会社B&B 枦 勝重社長 |
B&Bの枦勝重社長は、リニューアルの狙いを次のように説明する。
「ベスト電器山口店は、歴史を重ねた多くのお客様に指示された店舗ではあるが、大型店舗の活性化するために、ビックカメラの看板、プライス、ポイント制度、品揃えなどを活用した新しい業態の店舗を作っていく必要性を感じた。ベスト電器がもつ店舗のうち、1,000坪以上の店舗が30店ほどあるが、山口店での成否を見て、同様の業態変更を行なうことも中期計画として検討している。当面は、今年度下期に1、2店のリニューアルを検討している。
ベスト電器は本社がある九州を中心に知名度が高く、多くの顧客を抱えているものの、「ベスト電器の郊外店舗は土日に集客が集中し、主要顧客の年齢層も30歳台から50歳代と高い。全国的に知名度の高いビックカメラのポイント制度の活用、品揃えによって土日だけでなく、学生やサラリーマンが帰宅時に来店する店作りを進めたい」(枦社長)という。
最初にリニューアルする店舗として山口店を選択したのは、周辺に競合するベスト電器の店舗がないなど試験的な取り組みを行なうのに問題が少ない場所であることに加え、周囲に山口大学や高校などターゲットとする学生が多いことから選択された。
5月22日からは「ビックポイントカード新規申し込みキャンペーン」として、先行して申し込みを行なった際に1,000ポイントをプレゼントするキャンペーンを実施。1次商圏地域にある5,000世帯のうち、7、8割の家庭にはポストに案内を入れて告知したほか、山口大学の校門前でも案内を配布した。その結果、6月4日までに計画の1.3倍となる7,000件弱の申し込みを獲得した。
5月22日からスタートしている「ビックポイントカード新規申し込みキャンペーン」の受付 | ベスト電器山口本店閉店のお知らせ | ビックカメラ山口店 開店ポスター |
株式会社B&B 取締役営業部長 山根 辰則氏 |
「ポイントカード会員数は、今期中に3万会員を目標としている。この数は、ベスト電器時代に獲得していた会員数の1.2倍。最終的には5万会員獲得を目標としたい」(B&B 取締役営業部長・山根辰則氏)
ベスト電器とビックカメラのポイントカードを比較すると、ベスト電器のポイントは基本的には1~2%程度で後は商品ごとに付与されるスタイルで、利用も500ポイントからしかできない。それに対しビックのポイントは5~20%で、1ポイントから利用できる。B&B側では、こうした性格の違いが若年層に受け入れられると見ている。
新店舗での品揃えについても、若年層獲得を意識。1階入り口には、家電店ではあるものの、あえて自転車を配置。自転車を主な移動手段とする高校生や大学生が多いことからの配置だ。
1階 入り口付近に設けられた自転車売り場 | 「山口市内では、トップクラスの充実した品揃え(大友店長)」だという |
2階は従来から販売してきた家電製品に加え、玩具、寝具、眼鏡といった製品の販売も開始。取扱品目数は、従来の約10万点の2倍となる20万点となり、展示商品数は約3倍の30万点となった。
限られたスペースを生かすために上に積み上げて展示中のテレビ | エコポイントとからめての販売増にも注力している | 掃除機の展示も壁を利用して複数の商品を展示中 |
エアコンの展示スペースは従来と変わらないものの、展示商品数は大幅に増加しているという | 洗濯機のような白物家電は、ベスト電器時代から得意としていた分野だが、新店舗でもその得意分野を残すべく、注力した商品展示を行なっている | 製品毎にコーナーを設けたわかりやすい商品展示 |
こちらはドラム式洗濯乾燥機のコーナー | 新店舗のセールスポイントであるビックカメラのポイントに加え、エコポイントを獲得できることをアピール | 玩具販売コーナーも充実 |
ビックカメラが展開するオーダーメイド布団コーナー「生毛工房」を新たに設置 | オール電化相談コーナーは、ベスト電器が展開してきたもので、新店舗にも専用コーナーが設置されている | 腕時計販売コーナーも、新店舗で作られた新しい売り場 |
また、ソフマップの名称でパソコン、デジタルカメラ、デジタル機器、ゲームソフトなどの買い取りコーナーを設けた。買い取りを担当するスタッフについては、新規開店前に福岡県の天神店で実地研修を行ない、体制を整えている。
取扱品目は増えたものの、販売スペースは従来通りのため、従来よりも高い位置に棚を配置して展示するなど、限られたスペースでより多くの商品を展示する工夫をしている。
郊外店でありながら、学生やサラリーマンなど若い客層獲得を意識し、パソコンコーナーの品揃えにも注力 | メーカーごとにコーナーを設けている | 棚のクリーム色の部分は従来から活用していた部分だが、そこに新たにグレーの部分を継ぎ足し、展示商品数を増やす工夫が行なわれている |
2階の中央に設けられた携帯電話販売コーナー | キャリアごとの品揃えも充実している | ネットブックとのセット販売コーナーも設けられている |
「商品の展示方法、品揃えについては、ビックカメラにとっても初めての郊外店ということで、共同でレイアウトをひいた。白物家電販売に強みを持つベスト電器のノウハウと、AV、カメラ、OA機器販売に強みをもつビックカメラのノウハウをミックスした売り場となっている」(枦社長)
新店舗で当初注力していく商品としては、「エコポイントで活気ついているテレビ、そしてレコーダーなどその周辺機器。さらにエアコン、冷蔵庫についてもエコポイント以降、売上が伸びているので期待できる。パソコンについては、単価は下落して厳しいものの販売台数の伸びは期待できる」(枦社長)という。
売り場全体のゾーニングに関しては、市場調査をしながら決定。売価についても、ベスト電器では基本的に本社の決定のもと一部地元の実情を反映した価格としているが、ビックカメラでは全て地元の実情を反映させた価格としていることから、新店舗でも地元である山口市の実情を反映した値付けとしている。
ビックカメラ山口店 大友 章弘店長 |
店長となった大友章弘氏は、「ベスト電器時代から引き継いでいるお客様の信頼を裏切らないよう頑張っていきたい。また、今回の新業態店は、会社としても気を引き締めて取り組みたい」と話した。
商品の陳列などについては、「お客様の様子を見て、変えるべき部分は早めに手を打っていきたい。これもベスト電器時代にはなかった体制」という。
すでにテレビスポット、6月4日の朝刊には6万部のチラシ配布をするなど宣伝活動にも注力している。
(三浦 優子)
2009年6月5日 14:56