パナソニックのHIT太陽電池、高電圧・高温多湿でも出力低下が起きないことを実証

パナソニック独自の太陽電池「HIT太陽電池」

 パナソニックグループのパナソニック エナジー社は、同社の太陽電池「HIT太陽電池」のモジュールが、太陽光発電システムの出力を低下させる「PID現象」に対して高い耐性を備えていることを、社内および第三者機関の検証により実証したと発表した。

 PID現象とは、太陽電池モジュールにて、モジュール内部の回路(セル)と接地されたフレームとの間に高電圧がかけられた状態で、温度や湿度など外部要因が加わった際に、出力低下が生じる現象のこと。一般的に、システムの電圧が高く、高温多湿な環境において起こりやすいとされており、太陽光発電システム全体の総出力を低下させる恐れがあるという。

 しかしHIT太陽電池は、帯電することでPID現象を引き起こすとされる「絶縁層」を用いておらず、日本やヨーロッパ、アメリカでの市場実績においても、PID現象が発生したという報告がまったくないという。また、社内外でPID耐性実験を行なっても、特性の低下は観測されなかった。

 さらに、第三者機関が、摂氏60度、絶対湿度85%、電圧1,000Vという環境下で96時間の試験を行なっても、出力は低下しなかったという。なお、第三者機関が行なった実験内容は、これまで公開されてきた試験条件の中でも最も厳しいという。

 パナソニックでは試験結果について「当社製モジュールの高品質ならびに高信頼性を証明するもの」としており、今後も高品質・高信頼性を備えた太陽電池の開発・商品化を加速し、グローバルでの事業拡大に取り組んでいくとしている。

 HIT太陽電池は、結晶とアモルファス(非結晶)の2つのシリコンを組み合わせた“ハイブリッド構造”の太陽電池。発電量が高く、高温に強いなどの特性がある。






(正藤 慶一)

2012年9月19日 14:06