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花王、タオルを洗っても落ちにくい「くすみ」を防ぐ新技術

くすんだタオルに存在するバイオフィルム

花王は、タオルなどを洗濯しても落としにくい「くすみ」について、従来の洗剤よりも白く仕上げるという新しい技術を開発。6月に行なわれた「2022年繊維学会年次大会」で発表した。

くすんだタオルの原因は菌と分泌物

こまめに洗濯をしているのに、だんだん衣類の白さが失われてくすんでくることがあることに着目し、花王はくすみの本質を研究。原因として、くすんだタオルにはバイオフィルム(菌が分泌した多糖やタンパク質を含む菌体外マトリクス「Extracellular Polymeric Substances/EPS」と菌の複合体)が存在することを4月に明らかにしている

今回の研究では、バイオフィルムが存在するタオルから菌を分離培養したところ、メチロバクテリウムやロドトルラなどのピンク色の菌が高い割合で存在することが判明。これらの菌は色素を産生し、タオルの着色に関与している可能性があり、菌が産出するEPSには粘着性があるため、泥などの有色の粒子を吸着しやすいという。

バイオフィルムが泥粒子を吸着

そうした結果、タオルの落としにくいくすみには、バイオフィルムが大きな影響を与えている可能性があるとしている。

新しい界面活性剤を使った洗濯で白の違いを確認

花王は、バイオフィルム形成を抑制する技術開発において、特定のアルキル硫酸塩アルキレンオキサイド付加物が、EPSの構成成分である多糖の産生を抑制する効果を確認。

この界面活性剤を配合した新処方の効果を見るため、実家庭において1カ月半にわたり「新処方で洗うタオル」と「従来洗剤で洗うタオル」の2種類を比較。新処方で洗濯を続けたタオル中には多糖量が少なく、見た目の白さの度合いが高いことを確認した。

バイオフィルム付着状態の、従来の洗剤(上)と新処方(下)の比較

花王は「バイオフィルムの形成を抑える技術によって、これまで解決が困難であった衣類の落としにくいくすみに対処できるようになる」としている。