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パナソニック、家庭向け製品用「オゾン水生成デバイス」を発表、第1弾はアラウーノ
2018年8月3日 14:43
パナソニックは、オゾン水生成デバイス「オゾンウォーターデバイス」を発表した。デバイスは、製品に組み込んで利用され、搭載第1弾は、8月21日発売の全自動おそうじトイレ「アラウーノ L150シリーズ」となる。
現状のオゾン用途と効果
オゾン水は現在、浄水場や下水処理場では水の浄化目的で、半導体工場や食品工場では有機物の分解・除去を目的に利用されている。薬品を使わず、洗い流し不要なため、利用範囲も広い。
3つの酸素原子からなるオゾン(O3)は、自然界においてはフッ素に次ぐ強い酸化作用を持つ。オゾンが殺菌を行なう基本的なメカニズムは、ウイルスや菌などから水素を奪い変性させることで殺菌し、酸化後のオゾンは酸素原子と酸素分子になるというもの。このため、高い安全性を担保できるという。ニオイの場合も同様で、ニオイ物質から水素を奪うと物質が変性するため、臭わなくなる。
パナソニック アプライアンス社 技術本部 ホームアプライアンス開発センター 所長・本橋 良氏は「パナソニックでは、"安心・快適な生活環境をすべての人に"というスローガンの下、清潔な空気や水をグローバルで提供するための開発を行なっています。オゾン水は、生活のさまざまなシーンで清潔を提供できるものですが、今回発表する小型デバイスの開発で、サニタリー、バスルーム、トイレ、キッチンなどの防菌、防カビ、脱臭で、より広く皆さんにお届けできるようになります」と語った。
低電圧でも動作する小型デバイスは、ダイヤモンド電極を利用
従来のオゾン水発生装置は、空気中で高圧放電を行なって空気からオゾン作り出した後、水に溶解させていたため、高圧電源を要し、水への溶解ロスが課題となっていた。今回の装置では、水を電気分解することで、直接オゾン水を生成しているため、低電圧でも動作し、高い溶解効率を実現している。
デバイス内部は、陽極にダイヤモンド電極を用い、陰極との間にイオン交換膜を配置しているという構成。オゾン水生成時には、副次的に水素も発生する。この水素は、気体として空中へ放出されるものと、オゾン水に溶け出すものがあるという。空中に放出されるものは、引火レベルには及ばない微量であるとしている。また溶け出した水素は、オゾン水中でオゾンが水に戻る作用を促すものではなかったという。
とはいえ生成されたオゾン水は、オゾン濃度が約30分で半分程度になるため、保存できるものではないという。
大阪府立大学 教授・向本 雅郁氏の実験でも、細菌を99.9%不活性化
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 教授・向本 雅郁氏が、オゾン水による細菌・真菌の不活性化を検証した実験は、1ml中1千万個の菌の入った試験管へオゾン水を注ぎ、一定時間経過したところで、オゾン水を中和させて効果を検証するというもの。
黄色ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ、コレラ菌、カンピロバクターなどの食中毒などの原因になる細菌では、0.2~0.5mg/Lのオゾン水で、1~5分ほど経過すれば、99.9%以上を不活性化できたという。またセレウス菌の芽胞でも、0.5mg/Lのオゾン水10分で99.9%を不活性化できた。さらに、家カビなどのよごれの原因となる真菌類でも、0.2~0.5mg/Lのオゾン水で1~5分ほど経過すれば、99.9%以上を不活性化できたという。