パナソニック、「業界初」の入浴検知センサーを搭載したエコキュート

~ムダな保温をカットし、最大で約35%の省エネ効果

 

KUシリーズの「HE-KU37CQS」
 パナソニック電工株式会社は、人をセンサーで検知して、浴室不在時の保温エネルギーをカットするエコキュート「KUシリーズ」を、7月10日に発売する。希望小売価格は、タンク容量が460Lの「HE-KU46CQS」が892,500円、370Lの「HE-KU37CQS」が892,500円。

 エコキュートは空気中の熱を利用してお湯を沸かすCO2冷媒式の給湯器。KUシリーズでは、湯温の保温運転時における消費エネルギーをカットし、省エネ効果をより高めた点が特徴となる。従来のエコキュートの保温運転では、15分ごとに湯温をチェックするが、この際に風呂の配管内の水が浴槽内に入るため、浴槽内の湯温が低下し、再度温めるという動作を繰り返していた。そのため、エネルギーをムダに消費することが多く、ユーザーからも「もったいないから保温は切っている」という声が聞かれていたという。

従来の保温方式では15分ごとに湯音をチェックしており、このチェック時に冷めた湯が浴槽に入るため、人がいないにも関わらず、15分ごとにお湯を温めていたユーザーに対する調査では、「もったいないので保温を切り、必要なときに追い焚きしている」という意見が多かった

 そこで本製品では新機能として、「湯温学習制御」技術と「入浴検知センサー」を組み合わせた、同社独自の「入浴検知機能」を搭載した。

 「湯温学習制御」は、季節や浴槽など、風呂場の環境によるお湯の冷め方を使用しながら学習する制御技術で、従来のように15分ごとに湯温をチェックしなくても、学習結果から湯温が判断できる仕様となっている。これにより、保温運転の間隔がコントロールできるようになった。

 「入浴検知センサー」は、人を検知すると、給湯ユニットに設定温度まで沸き上げるよう指示する機能で、浴室に設置するリモコンに搭載されている。風呂に入る人を感知すると同時に、使用時に浴槽のお湯を素早く加熱し、快適に入浴できるという。

 これらの技術により、入浴していない時のエネルギー消費が抑えられるため、冬期の保温時におけるエネルギーを、従来の2,120kJ(キロジュール。エネルギーの単位)から、約1,380kJと、最大35%まで削減できるという。

湯温を保温する間隔がコントロールできる「湯温学習制御」を新採用浴室内のリモコンには、人が浴室に入ったことを検知する「入浴検知センサー」を搭載した。写真左上の黒い球状のものがセンサー部「入浴検知機能」による保温イメージ。人を検知した瞬間に温めるため、従来の15分ごとの保温よりも消費電力が抑えられる

「入浴検知センサー」の使用イメージ

 また、ヒートポンプ/貯湯ユニットも新しくなった。ヒートポンプユニットには高効率化を図るため、圧縮機に摺動損失が少ない新背圧制御機構を搭載。貯湯ユニットでは、パナソニック独自の真空断熱材「U-VacuaIV」を配置することで、保温性能を従来機種から約10%向上している。これにより、容量370Lの「HE-KU37CQS」でのAPFは3.5となっている。

 貯湯ユニットではさらに、従来でも搭載されていた高耐圧タンクを継続して採用。1分当たりのシャワーの流量は約14Lと、勢いが強くなっている。また、3階にも加圧ポンプなしで設置できるという。

 下位機種として、Kシリーズも発売される。Kシリーズは給湯方式でフルオート/セミオート/給湯専用の3タイプが用意されているが、このうちフルオートタイプにのみ「入浴検知機能」が搭載されている。フルオートタイプの価格は、460Lの「HE-K46CQS」が803,250円、370Lの「HE-K37CQS」が729,750円。

KUシリーズに搭載される圧縮機
圧縮機を高効率化し、さらに貯湯ユニットの断熱材を高温になる上部に配置。APFは3.5となった
KUシリーズの貯湯タンクで使用されている断熱材「U-VacuaIV(写真右)」。他の断熱材よりも薄いため、サイズを小型化できる
従来機種に引き続き、水の勢いが強い高耐圧タンクを採用

パナソニック電工株式会社 オール電化営業推進本部 部長の大沢充男氏
 パナソニック電工株式会社 オール電化営業推進本部 部長の大沢充男氏は、オール電化市場について「環境貢献型の事業は普及促進が加速しており、厳しい市場環境の中でも強力な追い風になっている」と、今後も需要が伸びると予測。そのうえで、2010年の販売目標として、エコキュートで月2万台、IHで月4万台の販売を目指すとした。

 パナソニックではまた、4月から2010年3月31日までの1年間、同社のオール電化製品が体感できるイベント「来て見て試してオール電化体験! 2009」を実施すると発表。全国71カ所の同社のリビングショールームを活用し、年間で5千カ所開催し、5百万人の動員を目指している。この狙いについて大沢氏は「ショールームやイベントを中心とした体験/体感訴求の強化と、オール電化を機軸に『家まるごと提案』を実現することで、オール電化事業の拡大を図っていく」と語った。

2010年の販売目標。エコキュートで月2万台、IHクッキングヒーターで月4万台を目指すという
オール電化製品が体感できるイベント「来て見て試してオール電化体験! 2009」を、全国71カ所のショールームなどで開催するという。写真はショールームの所在地の地図



(本誌:正藤 慶一)

2009年4月7日 18:02