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ミーレ、食品の質感に応じて電磁波を変化させる「ダイアローグ・オーブン」

 ドイツの大手家電メーカー・ミーレは、ドイツ・ベルリンで9月1日~9月6日に行なわれる大規模な家電の展示会「IFA2017」に併せて、新商品を発表した。従来のオーブンレンジとは全く異なる、画期的な調理法を搭載した「ダイアローグ・オーブン」を、2018年4月にドイツで発売する。想定価格は7,990ユーロ(約105万円)。

ミーレが来春からドイツで発売する画期的な調理器「ダイアローグ・オーブン」
扉を開けたところ

 食材の質感に反応して電磁波を変化させながら調理する調理器。一般的な電子レンジでも、電磁波を使用して、食材を加熱するが、ダイアローグ・オーブンでは、単一の周波数帯域だけではなく、幅広い周波数帯を使い食材にエネルギーがどれくらい吸収されたかを、10秒ごとに検知、調整しながら調理を行なう。

 電子レンジなどと比べると、食材のより深くまで電磁波を浸透させるため、より均一的な調理ができるという。ミーレではこれを「容積測定」による調理としている。

一般的な電子レンジはアルミホイルに対応していないが、ダイアローグ・オーブンなら可能。生のサーモンのブロックに半分だけアルミホイルを巻き付けて調理する
仕上がり。手前のアルミホイルを巻いていなかった部分だけ加熱されており、アルミホイルが巻いてあったところは生のままだった。これはアルミホイルが電磁波を遮断するため

 この調理では、たとえば氷のボックスに入れた魚を周りの氷を溶かさずに調理できるほか、ロウに包まれた肉も表面のロウを溶かすことなく、中までしっかり調理することが可能。従来のオーブン調理では、外側から、内側に向けて加熱するため、中心部が調理されるまでには表面が加熱されすぎてしまうという問題があったが、容積測定調理では食材の端から中心まで均一な調理ができる。

氷のボックスの中に、鱈の切り身を入れる
その後、ふたをしてダイアローグ・オーブンで約8分ほど調理する
外に取り出した時も氷は全く溶けていなかった。しかし、中の魚の温度は56.8℃としっかり調理されていた
一方、氷のボックスの温度は−8℃だった
ロウで表面コーティングした塊肉。表面のロウは解けていないのに、中の肉は中までしっかり加熱されている

 調理時間が大幅に短縮できるのも大きな特徴。たとえば、ポテトグラタンの調理時間は従来のオーブンでは約60分かかっていたのが、約35分で調理できるほか、マーブルケーキの調理時間も従来の55分から約37分に短縮されている。

 また、肉や野菜など異なる食材を1つのプレートに乗せて、同時に調理することも可能。食材の容積を測定しながら、調理することで、それぞれの食材が最適な仕上がりになるという。

 本体には、特定の周波数で電磁波を発生させるモジュラーユニットを搭載。2つのアンテナからオーブンの中に電磁波を送る。この2つのアンテナが食材が吸収したエネルギー量に関する情報をダイアローグオーブンにフィードバックする。使用している周波数帯は、ヨーロッパの携帯電話が使用しているものと同じ915MHz周辺。携帯電話の通信に干渉しないように、特別な設計の分厚い扉を採用する。

携帯電話の通信に干渉しないように、特別な構造を採用した分厚い扉

 なお、ダイアローグ・オーブンには一般的なオーブンで使用されているヒーターも備えており、容積測定による調理に加えて、ヒーターも使用している。一般的なパンを焼いたり、肉の表面に焦げ目をつけることも可能。

本体上部。ヒーターのほか、2つのアンテナを備える

 本体はアプリとの連携機能も備える。アプリでは、食材の調理動画や買い物リストなどの機能のほか、豊富なレシピも用意。アプリで選んだレシピを直接オーブンに送ることもできる。

 ミーレでは、従来にはない画期的な製品として、ダイアローグ・オーブンをIFA2017の目玉製品と位置付ける。