長期レビュー
日立「ビートウォッシュ 湯効利用 BW-D9LV」その2
日立「ビートウォッシュ 湯効利用 BW-D9LV」 |
1回目では、ビートウォッシュの基本的な洗濯能力についてご紹介したが、今回は頑固な汚れモノを実際に洗ってみたい。
ビートウォッシュは、独自の洗浄方法で縦型ながらドラム式のような節水を実現しており、お醤油やケチャップなどの汚れは漂白剤いらずできれいに落ちた。[第1回目はこちら]
しかし、泥や汗などの頑固な汚れはどうだろう。我が家には2人の小さな子供がいるので、毎日のように泥で汚れた衣類がある。特に汚れが落ちないのは子供の靴下。皮脂と泥が混ざった汚れは、漂白剤を入れても真っ白にはならない。これまでは「清潔になっているなら、まあいいか」と、あきらめていたのだ。
ビートウォッシュでは、このような頑固な汚れを落とすための専用コースを設けている。洗い工程を通常より長く取る「念入り」コース、洗浄液を衣類に浸してから洗う「ため洗い」コース、さらに、BW-D9LVだけに搭載されているのが温風を使って頑固な汚れを落とす「ホット高洗浄」だ。今回は特に汚れが気になる子供の靴下を、これら3つのコースで実際洗ってみた。
■洗濯物や汚れによって使い分けられる
それぞれの専用コースの説明に入る前に、まずはビートウォッシュの標準コースである「エコビート洗浄」について簡単におさらいしよう。エコビート洗浄は、従来の縦型洗濯機とはことなり、洗濯槽に水をためてから洗うのではなく、洗濯槽の水を循環させ、上から洗浄液をシャワーでかけることで衣類を洗う。洗濯槽底面と側面に設けられている凹凸に衣類を叩きつけるようにして洗うことで、少ない水でも効果的に汚れを落とすことができるという。
ビートウォッシュの洗い方は、縦型洗濯乾燥機というよりも、ドラム式に近い洗い方と言えるだろう。
なお、ビートウォッシュでは従来の縦型と同じように洗濯槽に水を貯めて洗濯するコースも設けられている。頑固な汚れの時の「ため洗い」、毛布専用の「毛布」コース、衣類の種類によって使い分ける「ドライ」コースがそれだ。ただし使用水量は圧倒的にエコビート洗浄の方が少ない。ため洗いを選択した場合は約40~70Lの水を使用するのに対して、エコビート洗浄で使用する水量は約26~35Lとなっている。
■CMのような「靴下が真っ白」は再現できるのか
では、実際に汚れが落ちるか試してみよう。今回用意したのは、子供用の真っ白な靴下。娘が実際に丸一日履いたもので、試してみることにした。特に汚れがひどいのは、足の裏やかかと部分で、皮脂や砂ボコリなどで真っ黒になってしまっている。
これがなかなか落ちないのだ――今まで使っていた洗濯機の標準コースではまず落ちることはなかった。あまり汚れがひどい時は、洗濯機ではなくて、手洗いした方が早いくらい。それほど子供の靴下の汚れは頑固で、今までの洗濯機ではなかなか落ちなかった。
今回のは「標準」コース、「念入り」コース、「ため洗い」コース、「念入り+ホット高洗浄」コースの4つを試してみた。なお、今回は娘が実際に履いた靴下を使用しているため、元の汚れにもばらつきがあることをご了承いただきたい。
・標準
まずは基本となる標準コースから試してみよう。今回は汚れた靴下と一緒にふだんの洗濯物を入れて試してみた。標準コースは洗いが15分とすすぎが2回で、洗濯時間は約47分となっている。
洗い上がった靴下は、やはり黒ずみが残っている。もちろん汚れは薄くなっているのだが、きれいになったとは言えない。以前の洗濯機では、ため洗いでちょうどこの程度の汚れ落ちだったので、節水しながらここまで薄くなっているのは嬉しいが、やはり頑固な汚れに関しては、通常のモードでは厳しいようだ。
洗濯前の靴下 | 洗濯後。汚れはずいぶん薄くなっているが、やはり「白い」とは言い難い…… | 洗濯後の靴下。以前使用していた洗濯機も、こんな感じの汚れ落ちだった |
・念入り
次に試したのは、汚れがひどいときや、厚手の洗濯物用に用意されている「念入り」コースだ。に向いている。付属の説明書には、具体的にトレーナーやソックスがおすすめとあり、期待度も高い。
念入りコースでは、標準コースよりも洗いの時間が長くなり、約25分間となっている。すすぎ回数は3回で、合計約85分の洗濯時間となる。
標準よりは汚れが薄くなっていた。ただ、倍近い時間と電気代をかけて、見合うだけの汚れ落ちかと言われると、個人的には少々疑問に思った。靴下汚れはやっぱり頑固だな……と改めて実感した。
洗濯前の靴下 | 洗濯後。標準コースよりキレイになっている印象。しかし、これでもまだまだ「白い」とは言えない… | うっすらと残る汚れ。足の形もはっきりわかる |
・ため洗い
従来の縦型洗濯機のように洗う「ため洗い」コースではどうだろう。ため洗いの洗い時間は約15分で、すすぎは2回、合計約65分の洗濯時間となっている。
洗濯前 | 洗濯後。汚れの落ち方は、念入りコースに近い |
洗濯前 | 洗濯後。足の汚れは汗をかきやすい子供の皮脂も含んでいるから厄介だ |
洗い上がりは、念入りコースと大差はないように感じた。むしろ、エコビート洗浄の汚れ落ちについて感心してしまった。あれだけ少ない水で、汚れを落としているからだ。
・念入り+ホット高洗浄
「ホット高洗浄」ボタン |
最後に試すのは、洗濯のはじめに、衣類に温風を吹きかけてから洗う「ホット高洗浄」コースだ。洗剤が酵素パワーを発揮する温度まで温めることで、洗浄力を高めるという。ホット高洗浄はコースというよりも、洗濯コースに追加するオプションのようなもの。洗濯コースとは別に用意されている「ホット高洗浄」ボタンを押すと、洗浄コースにくわえて、運転時間が約10分長くなる。
使用したのは、今回1番汚れが激しかった靴下。どうしても汚れを落としたかったので、これまでの中で汚れ落ちが一番良かった念入りコースと組み合わせて使ってみることにした。靴下の汚れは、足の指がどこにあるかはっきりわかるほどで、かなりひどい。ここまで汚れてしまうと、洗濯機ではまず落とすことができない。
ところが、フタを開けてみてビックリ。一番汚れがひどかった靴下なのに、一番白くなっているではないか!!
洗濯前 | 洗濯後。これは真っ白ではないけれど、かなりの汚れ落ち! |
洗濯前 | 洗濯後。一番汚れがひどかったのに、一番きれいになっている。これなら手洗いする必要はない |
写真よりも実物は白い印象だ。よく目をこらさなければ汚れがわからない程度で、これだけ汚れが落ちれば大満足である。漂白剤を使わずにここまで汚れが落ちるなんてミラクル。靴下を持って、思わず「おお~!」と叫んでしまったほどだ。
頑固な汚れ物がある場合は、迷わず使った方が良さそうな「ホット高洗浄」だが、気になるのは電気代。そちらについては、次回で検証する予定だ。
■風呂水を使った洗濯……「節水」について考えるいい機会に
ビートウォッシュの洗浄能力について検証したところで、次に注目したいのは節水性能だ。独自の洗浄方法でドラム式なみに使用水量を少なくしているBW-D9LVだが、それ以外にも水の無駄を少なくするための機構を搭載している。それが、風呂の残り水を洗濯にも乾燥にも使える「湯効利用」という機能だ。これを使うと、1回の洗濯に使う水道水の量はたった約15Lで済み、風呂水年間約350杯分が節約できる計算だ。
しかし、風呂水を使うときに気になるのが雑菌。エコだとはわかっていても、抵抗がある方も多いのではないだろうか。BW-D9LVは、お湯取ホースの先端にAg除菌お湯取ユニットを搭載し、残り湯に潜む雑菌をブロックしてくれる。先端にはフィルターやAgビーズで、除菌しながら給水するという。これなら安心して使えそうだ。
お湯取ホースは約4m。風呂水吸水口からAg除菌お湯取ユニットまでの距離は、3m以内にする | 残り湯は、Agビーズで除菌をする。フィルターもあり、ゴミも入らないので安心 |
本体には、風呂水をくみ上げて洗濯槽内に取り込む装置があらかじめ搭載されていて、風呂水の再利用が簡単にできるようになっている。本体の風呂水給水用の口にホースを接続したら、浴槽にお湯取り用のホースを入れてスイッチを押す。
私のイメージでは風呂水の再利用というと、最初の洗い工程で使うだけなのかなと思っていたが、BW-D9LVでは、風呂水を使う工程を自分で選択できるようになっている。洗い、すすぎ1、すすぎ2、乾燥だけなど、どこで風呂水を使うか選び、スタートボタンを押すだけだ。洗濯は風呂水を使いながら、すすぎは水道水を使う……といった使い方もできる。今回は洗濯から乾燥まですべて風呂水を使うことにした。
では、洗濯から乾燥まで使用する水の量はどれくらいだろうか。いま1つピンとこないので、我が家のお風呂で、洗濯から乾燥まで標準コースで風呂水を利用し、実際にどれくらい減るのか試してみた。
給水つぎてを風呂水吸水口に取り付ける。カチッと音がするまできちんとはめ込む | 我が家はお風呂場が向かって右手にあるため、洗濯機の上をホースが横断。ちょっと邪魔くさい |
乾燥まで終わると、下のほうまで水位が下がっていた。洗濯から乾燥まで風呂水を使うと、ほぼお風呂一杯分の水を使っていた。これを見ると、風呂水を使わなければ、もったいないと思える。風呂水を再利用することで、かなりの節水が見込めそうだ。
洗濯から乾燥まで、風呂水を使用。お風呂の水がこんなに減っている。 |
お風呂一杯をほぼ使い切っていた。ため洗いなら、風呂水だけでは全く足りないだろう |
汚れ落ちの面でも問題ない。何かイヤなニオイがするわけでもなく、ほぼ毎日洗濯する我が家のような家庭では、水道代を節約するためにも、ぜひ利用したい機能だ。
使い勝手も良い。ホースは扱いやすく、くるっと丸めて側面にかけておくことができるし、お湯取ユニットは立ててひっかけることができるので、ポタポタと残り水がたれることもなく、いつでも気軽に使うことができる。今まで一度も風呂水を使用したことはなかったが、これなら日常的に使うことができそうだ。
左上から時計回りに醤油、ケチャップ、ソース、オレンジジュース | 風呂水で洗っても汚れ落ちは問題はなく、特ににおうわけではない |
ちなみに、今回試したすべての洗濯は「洗剤のみ」で洗っている。これまで我が家では必ず漂白剤を一緒に入れて洗濯をしているのだが、漂白剤を入れてもなかなか落ちなかった頑固な靴下汚れが落ちたことは、嬉しい限り。今回は特にしつこい汚れの靴下だけをピックアップしてきたが、他の洗濯物に関しては、標準コースでも問題なく汚れは落ちており、非常に満足している。
次回は乾燥機能と気になる電気代、お手入れについて紹介します!
2010年11月8日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)