長期レビュー

エレクトロラックス「UltraOne」 その1

~絵になるデザインの掃除機
by 清水 理史

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



絵になる掃除機が欲しい


シンプルながら存在感のあるデザインのエレクトロラックス「UltraOne」
 部屋の片隅に置いておくだけでも存在感がある。そんな掃除機というのは無いのだろうか。掃除機を購入しようと思うたびに、ずっとそう思ってきた。

 もちろん、掃除機の存在意義はゴミを吸い取ること。しかし、ゴミをよく吸い取れるというのは、もはや当たり前の条件。これからの時代に求められているのは、性能プラスアルファの付加価値だろう。

 実際、ここ最近発売された各メーカーの掃除機は、吸引力だけで勝負する製品はほとんどない。静かであったり、排気のきれいさであったり、除菌であったりと、何らかの付加価値を製品の訴求ポイントにしている。

 では、実際に掃除機を購入する際に、どのような付加価値に注目すれば良いのだろうか。その1つとして、個人的に注目したいのがデザインだ。

 デザイン性に優れた掃除機というと、ダイソンの製品が真っ先に思い浮かぶが、国内メーカーからもサイクロン方式の掃除機が登場し、その構造から、どこか似通ったデザインが増えてきた現在となっては、少々、目新しさに欠ける印象もある。

 そこで注目したのが、紙パック式でデザインに優れた掃除機だ。お手入れが楽な紙パック式の掃除機でありながら、使っている姿が絵になる、部屋の片隅に置いておくだけでサマになるような製品があれば、これは食指も動くというのもだ。

 というわけで、実際にいろいろなメーカーの製品を見比べてみたが、今の流行なのだろうか、どうもメカ的というか、ロボ的なデザインが多い。そんな中、思わずグッと引きつけられたのが、エレクトロラックスの「UltraOne(ウルトラ ワン)」だ。

 今回から3回にわたって「UltraOne」を実際に使ってみた印象をレポートしていく。まずは、その製品概要について紹介していこう。


メーカーエレクトロラックス
製品名UltraOne(ウルトラ ワン)
希望小売価格63,000円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格63,000円


エレクトロラックスならではの美しさ

 エレクトロラックスの「UltraOne」は、同社の掃除機の中でハイエンドに位置する高性能モデルだ。

 同社は、ケトルやコーヒーメーカーなど、もともとデザインを重視したスタイリッシュな製品を手がける企業だが、このUltraOneは、そのデザインに加えて、「エレクトロラックス史上 最高性能」とされるほど、クリーニング性能、静音性、排気性能が徹底的に追求された製品となっている。

 このため、本製品の最大の特徴は、その性能なのだが、実際のクリーニング性能については、次回、詳しく紹介することにして、まずは個人的に惹かれたデザインについて見ていこう。

 UltraOneで、まず目に付くのは、そのオーソドックスなスタイルだ。掃除機の形としては、おそらく少々古く、どちらかというと昭和の掃除機を思わせる形状だが、無駄な凹凸がなく、全体のラインがスッと通ったとてもスマートで美しいスタイルとなっている。

オーソドックスなパック式ならではのシンプルなデザインが魅力のUltraOne横置きもできるが、部屋の狭い日本にはちょっと無理がある置き方

 このデザインは、現在、多く見られる掃除機と比べると、とてもスッキリとしていて気持ちが良い。サイクロン方式に多いメカっぽさやゴテゴテとしたくどさとは対照的だ。

 今回のモデルはカラーがホワイトなのだが、このカラーリングも良い。最近の掃除機はカラフルで、しかもメタリック塗装の製品が多く、部屋のインテリアとして見ると、時として異質感を覚える。

本体部分のデザインはシンプルで美しい。ゆるやかな曲線で構成された楕円形に、質感の高いホワイトの塗装が高級感を演出している

 これに対して、UltraOneはホワイトを貴重に、グレーでアクセントを加え、ノズル部分などに同社製品でよく見るステンレスをうまく組み合わせたシンプルなカラーとなっている。決して派手ではないが、それでいて存在感がとてもある印象だ。

 それにしても、本体面のホワイトの塗装のソリッド感はとても良い。まるで車の塗装のように均一で、ツヤがありながら、深みを感じさせるホワイトになっており、全体的な質感をとても高めている。

 個人的な第一印象は、その形状や質感から、オートバイの燃料タンクのようなイメージを受けたのだが、単に美しいだけでなく、剛性感というか、芯の強さというか、深みのある美しさを感じさせる何とも味わいのあるデザインだ。


長くて堅いホースと多めの“つなぎしろ”

本体の箱と中身。結構、大きく、ズシリと重い
 実際に手元にUltraOneが届くと、少々驚くかもしれない。本体を納めた箱は少々大きめで、ズッシリと重い。

 箱を開けると、そこから本体、パイプ、ホース、3つのノズルが出てくる。3つのノズルといっても、国内メーカーの掃除機のように小型のノズルや延長用の可動式ノズルではなく、床の形状によって付け替えて使う普通のT字型のノズルヘッドだ。

 1つのノズルでいろいろな場所を掃除できる国内メーカー製品と異なり、ヘッドを付け替えるというのは海外製品ならではの方法だ。しかし、どこにしまっておこうかと少々悩む。

 とりあえず、組み立ててみるが、これはさほど悩むことはない。本体にホースをまず装着し、ホースのグリップ部分にステンレスのパイプを装着。最後に先端にノズルを取り付ける。

組み立て開始まずは本体にホースを取り付け
続いてホースにパイプを接続。ジョイント部分がかなり長いのが特徴的最後にノズルを取り付けて完成

 組み立ててみて、驚いたのはホースの質感と、ジョイント部分の長さだ。最近の掃除機のホースは柔軟性が高く、伸び縮みしやすいが、UltraOneのホースはもともと長くて伸び縮みはあまりせず、そもそも動きも堅い。また、ホースやパイプ、ノズルをつなぎ合わせるジョイント部分の「つなぎしろ」もやけに長く、余裕がやけに大きく取られている。

 後からわかったのだが、本製品は性能にこだわったとメーカーが謳うわりに、カタログスペック上の吸込仕事率が290Wと低い。これで大丈夫なのか、と不思議に思っていたのだが、どうやら堅めのホースでエアフローをスムーズにしたり、ジョイント部分の機密性を高くして空気の漏れを防ぐことで、モーターの吸い込む力を無駄なく利用しているようだ。

 そのためか、組み立てるときの全体的なカッチリ感がとても高く、持ち上げたり、動かしたりしても、ガタガタといやな低級音がすることも一切ない。そもそも、本体サイズ495×314×247mm(幅×奥行き×高さ)と通常の掃除機よりも一回りほど大きく重量感もあるが、全体的な印象としても重厚な高級感を感じさせる製品だ。

 以上、今回は製品の概要と組み立てまで紹介した。次回、実際に掃除をしたときの印象について紹介したいと思う。



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2010年1月13日 00:00