長期レビュー
エレクトロラックス「UltraOne」 その2
■床に吸い付いて離れない!
エレクトロラックス「UltraOne」 |
前回に引き続き、エレクトロラックスの高性能掃除機「UltraOne」を紹介していくことにしよう。
個人的にはデザインが非常に気に入っているUltraOneだが、見た目だけでなく、きちんとした実力を備えているのもUltraOneの特徴だ。
実際に使ってみて、まず驚かされるのは、その吸引力だ。付属する3つのノズルのうち、標準的な「Aeropro床ノズル」を装着し、本体上部に配置されている電源ボタンをオンにする。
わずかな音を立てて本体が空気を吸い始めたこと確認し、ノズルをフローリングの床に付け、動かそうとしたところ、これが動かない……驚異的な吸引力によって、まるで吸盤のように床にピタリと吸い付いてしまったのだ。
これでは掃除にならないので、ノズルに用意されている切替スイッチを押してブラシを出した状態にしてみたところ、床との間にブラシ分の隙間が空き、スムーズにノズルを動かしつつ、掃除をすることができた。
実際に使う場合はこのような感じ | 本体にあるスイッチをオンにして掃除開始 |
掃除の様子。ものすごい吸引力で床に吸い付く |
それにしても、この吸引力は驚きだ。前回、少し触れたように、UltraOneの吸引仕事率は290Wとさほど高くない。国内製メーカーの掃除機は500W越えも珍しくないので、その半分程度に過ぎない。
しかし、同社が第三者機関に依頼してテストしたデータのうち、ダストピックアップ率に注目してみると、77.7%と断然高い値となっている(他社製は30~40%がほとんど)。
このダストピックアップ率というのは、実際のカーペットに一定量の細かな砂状の物質を撒いて、どれくらいの時間でゴミを完全に吸い取れたかを数値化した値だ。当然、高い方が効率的にゴミを吸い取ることができる。
使う前は、正直なところ、この値を出されても、どれくらいスゴイのかがピンと来ないのだが、実際に使ってみるとその値がいかにスゴイのかが実感できる。きちんと床面に合わせたノズルを使って、適切にパワーを調節しないと、床やカーペットに吸い付いて掃除にならないくらい強力なパワーだ。
もちろん、吸引力は細かく調節できるようになっており、本体の「+/-」ボタンを使って、最小の「カーテン・軽い布製品」から、「ソファー・クッション」、「ラグ・カーペット」、「厚手の絨毯」、そして最大の「硬い素材の床・すき間」まで5段階にパワーを切り替えることができる。また、取っ手の手元には無段階に調節可能な吸い込み調節レバーがあり、これをスライドさせ、調節口を開閉させて吸引力を調節できる。
使い始めはどのノズルとどのパワーを選べば良いのかに迷うこともあるが、慣れてしまえば部屋ごと、床ごとに合わせて適切な組み合わせを選べるようになるだろう。
本体のボタンを使えば、床の種類に合わせてパワーを調節可能 | 取っ手部分にあるパワー調節レバー。調節口を開けることでパワーを調節できる |
■高速回転ブラシでホコリも一網打尽
このように驚異的な吸引力で、フローリングなどの隙間に詰まったホコリなども逃さず楽々と掃除することができるUltraOneだが、個人的に気に入っているのは付属の「Aeropro ターボブラシノズル」を使った掃除だ。
UltraOneには、前述した「Aeropro床ノズル(万能タイプ)」に加え、キズがつきやすいフローリング用の「Aeroproフローリングノズル」、1つで3形態に使える3in1ミニノズル、そして「Aeropro ターボブラシノズル」が付属している。
付属するノズル。左上がAeropro床ノズル、右上がAeropro ターボブラシノズル、左下がAeroproフローリングノズル、右下が3in1ミニノズル | それぞれのノズルの底面 | ターボノズルには回転式のブラシローラーが搭載されている |
このうち「Aeropro ターボブラシノズル」は、ヘッド部分に回転式のブラシローラーを内蔵しており、これを吸引力によって回転させながらカーペットなどにつまったゴミを掘り出すようにして掃除することができるのだが、この回転力がまさにハンパではない。
本体の吸引力をMAXにセットした状態の動画は以下の通りだ。これが電動モーターではなく、吸引力で回っているのだから、驚くほかない。
ターボノズルが回転する様子。ものすごいスピード |
実際、この状態でカーペットやソファなどを掃除すると、表面をものすごい勢いで掘り起こすような感じで掃除することができる。カーペットの毛足の奥に詰まった細かなゴミ、ソファの内部に溜まっているホコリなど、ひとたまりもなく吸い込んでいく印象だ。
これはなかなか気持ちが良い。掃除というと、どうしても表面のゴミを吸い取るだけのようなイメージがあるが、「Aeropro ターボブラシノズル」を使えば、内部に溜まった目に見えないゴミも根こそぎ吸い取れるようで、根本的にキレイになる印象がある。
毛足の長いカーペットなどに使うことはできないが、一般的なカーペットやベッドのマットレスなどの掃除におすすめだ。
本体のカバーを開けると内部に3in1ミニノズルが収納されている |
一方、隙間や家具、衣類など、細かな場所を掃除したいときは、3in1ミニノズルがなかなか重宝する。
本体のカバーを開けると、内部にミニノズルが収納されている。このノズルは前後どちらの方向にも取り付け可能となっており、ブラシ側を先端すると凹凸のある場所などをブラシで掃除するのに利用でき、反対に細長い方を先端にすると隙間や角を掃除することができる。
そして、この状態でさらに先端を開くと小さなブラシとして利用できる。吸引力を最小にした状態で使えば、コートや洋服のホコリを取るのにも便利だろう。
ブラシ側を装着 | 反対側で隙間用ノズルに | 先端を開くとブラシ状になる |
■静音性は確かに高いが……
最後に音について触れておこう。UltraOneは吸引力が高いわりに静音性はかなり高い。
カタログスペック上の運転音は最小42dB、最大58dBと、こちらも第三者機関の調査によってトップレベルと公表されているが、実際に使ってみても運転音は非常に静かで、本体からはかすかにモーターの回る音が聞こえる程度だ。
モーター周辺の消音材を二重化するなど、静音性にはかなり配慮している。本体を移動させるためのホイールも大型でクッション性の高いものが採用いて、動かしても音はほとんど聞こえない。
というわけで、確かに本体の運転音は静かなのだが、高い吸引力のおかげもあってノズルから聞こえる吸引音はなかなか大きい。特に前述したAeropro ターボブラシノズルを使うと、回転音と吸引音がとても大きいため、本体の静かさがほとんど感じられないほどだ。
ホイールは柔らかい素材でカバーされているため移動させたときの音も静か | モーターが吸音材でカバーされており、本体からの音は非常に静か |
ターボノズルでカーペットを掃除している様子。本体の音は静かだが、ノズルの吸引音やブラシの回転音はなかなか大きい |
よって、静かに掃除がしたいというのであれば、パワーを弱めに設定し、ノズルもAeropro ターボブラシノズル以外を使うと良いだろう。
今回は実際に使ってみた印象を紹介したが、キレイに掃除ができるという点についてはかなりの性能を持った掃除機と言える。次回は、排気のしくみなども含めたお手入れ、さらに全体的な使い勝手とぜひとも改善して欲しいポイントについて紹介する予定だ。
2010年1月20日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)
第1回