やじうまミニレビュー

タカラトミー「名言貯金箱 龍馬と幕末偉人編」

~偉人の名言を噛み締めながら小銭を貯金
by 正藤 慶一


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


タカラトミー「名言貯金箱 龍馬と幕末偉人編」

 「何の志もないところでぐずぐずして日を過ごすのは実に大馬鹿者だ。」――坂本龍馬

 偉人達の名言は、短いながらも含蓄があり、いくつもの時を超えた今もなお、人々の心に訴えかけるものがある。座右の銘としている人もいるだろう。

 今回紹介するのは、そんな偉人たちの名言・格言が、貯金をしながら楽しめるという「名言貯金箱」である。

 この名言貯金箱はコイン式の貯金箱だが、硬貨を投入するごとに、本体のパネルに名言が表示されるところが特徴だ。「三国志編」「戦国時代編」「龍馬と幕末偉人編」の3タイプがあるが、今回は大河ドラマ「龍馬伝」が佳境を迎えていることもあり、龍馬と幕末偉人編を購入した。


メーカータカラトミー
製品名名言貯金箱 龍馬と幕末偉人編
購入価格1,980円
購入場所Amazon.co.jp

 本体サイズは約100mm四方の立方体、重さは約370gと、大きくがっしりとした印象を受ける。硬貨は本体上部のスリットから投入し、貯めた後は背面から取り出すという仕組みになっている。

 名言は本体正面のパネルに表示される。硬貨を本体に入れる際に、投入口のレバーが下がり、名言が書かれたパネルがパラパラパラと回転し切り替わる。例えが古くて恐縮だが、昭和時代の駅の行き先表示板が思い出される、アナログなつくりだ。なお、このパネルを回転させるために、電源として単三アルカリ乾電池2本が必要になる。

 コインを完全に投入し切ると、パネルのパラパラが止まり、幕末の偉人の名言が表示される。名言は30種類用意されており、ランダム表示となる。冒頭の坂本龍馬をはじめ、勝海舟、西郷隆盛、岩崎弥太郎など、幕末から明治時代に活躍した人物が中心となるため、歴史に詳しくなくても、ドラマ「龍馬伝」を見ている人には馴染みやすいだろう。

電源としてアルカリ乾電池2本を使用する(別売り)本体背面ボタンを押しながら扉を開けると、投入した硬貨が取り出せる

コインを投入口に差し込むと、パネルが回転。完全に投入しきってパネルがストップする

 さて、肝心の名言だが、メッセージのバリエーションが豊富で楽しい。一番多いパターンが、「世のすべての人からけなされても落ち込まず、すべての人から褒められてもうぬぼれるな」(西郷隆盛)のような、名言というよりも箴言というべき、戒めとなる言葉だ。けなされれば落ち込み、褒められるとすぐ調子に乗る、底の浅い人間の自分にはグサリとくる言葉だ。

 かと思えば、「計画が尽きて知恵も出ないときは、しばし眠れ。その方がかえって良い考えも浮かぶものだ」(岩倉具視)のような、“ダメなら寝ちゃえ”というホッとするような言葉もある。さらに、新撰組の土方歳三は「恋の道というのは普通の道と違い、知れば迷い、知らなければ迷わないものだ」と、何と恋愛の名言。これらの言葉は、雑誌「歴史街道」(PHP研究所)が選定しているとのことだが、恐らくバランスを取るように吟味しているのだろう。“偉人の名言なんて説教くさい”とマイナスイメージを持っている人でも楽しめてしまうのではないだろうか。

名言のバリエーションは豊富。一番多いのが、行動や考えの戒めとなるような言葉。名言というよりも、箴言やアフォリズムというべきかもしれない「王政復古の大号令」や「岩倉使節団」で知られる公家出身の政治家・岩倉具視は、“智恵が出ないときは眠れ”という名言。その方が良い考えが浮かぶという建設的な言葉だ新撰組・副長の土方歳三の名言は、何と恋愛に関するもの。個人的には、口に出すのも恥ずかしいほどキザな言葉に感じられたが、「わかる~」という人もいるのでは

机に置いておき、小銭が余った時や気分転換したい時に入れると良いだろう。なお、付属の「貯金目標」を自分で記入し、本体に立てかけることも可能

 名言と貯金箱という組み合わせも、意外と言っては失礼かもしれないが、相性が良いように感じる。小銭が余ったら貯金箱に入れ、出てきた名言が今の気分と違う場合には、良いのが出てくるまでもうちょっと投入して……といった感じで使っていると、いつのまにか小銭が貯まっているのだ。鍵などのロック機能がなく、投入額は最大でも15,000円(500円硬貨が30枚)だけと、貯金箱としての機能は乏しいが、そこまで本気に貯金しようと考えていない私には逆に取っつきやすかった。

 難点としては、名言の数が少ない点だ。30種類というのは多いようで少なく、硬貨を投入し続ければ、すぐにコンプリートできてしまう。知識欲旺盛の人には、すぐ飽きが来てしまいそうだ。ただし、これ以上増やすとなると、パネルの数が増えて本体が大きくなったり、逆に見たい名言がなかなか表示されなかったりなどの弊害もあるかもしれない。

 そう考えると、第二弾がどう進化していくのかが楽しみだ。できれば、液晶表示で何百もの名言が表示され、重みのある声で読み上げてくれるようなものを期待したい。また、貯められるコインの数も増やして、いざというときに備えられるくらいになれば良いのではと思う。

 歴史好きな“歴女”“歴男”の人にはもちろん楽しめるだろうが、そこまで詳しくない人でも、名言自体が魅力的なので、逆にその時代や人物に興味が出てくるだろう。今まで貯金が続いたことがないという人も、「およそ人というものは、何かを楽しむという心がなければ生きていけないものだ」(井伊直弼)という名言があるように、偉人たちの言葉を楽しみむことで、貯め続けられるはずだ。




2010年 10月 14日   00:00