やじうまミニレビュー
カメヤマキャンドルハウス「節電キャンドル」
■できるだけ危なくないローソクを探す
カメヤマキャンドルハウス「節電キャンドル」シリーズ |
先日のこのコーナーで、「節電球」という電球の形をしたローソクをご紹介した。
節電球は、実用品というよりは、燃えると小さくなるローソクを電球の形にすることによって、電気も有限であることを知らしめることを目的とした、オブジェに近い製品だ。
レビューのために自分の部屋でローソクを灯していると、ホッとすることがわかった。炎による照明には、人をリラックスさせる何かがあるようだ。
その一方で、ローソクを灯していると、自分の部屋の中で裸の火が燃えているという緊張感もある。しっかりした台の上に置き、回りに燃えにくいものを置いていても、何かに燃え移らないか心配になってしまうのだ。
というわけで、照明器具として使えて、できるだけ安全性の高いローソクを購入した。カメヤマキャンドルハウスの「節電キャンドル」だ。
メーカー | カメヤマキャンドルハウス |
製品名 | 節電キャンドル 36H |
購入場所 | カメヤマキャンドルハウス 直販サイト |
購入価格 | 840円 |
■ポリカーボネート製のカップで安全を目指す
カメヤマキャンドルハウスは、カメヤマのブランドの1つで、一般店舗向けのカメヤマブランドに対して、より広い分野の製品を扱っている。たとえば、クリスマスやハロウィンなどの季節のイベントに合わせた商品や、香りに重点を置いたヤンキーキャンドル、ウェディングイベント用の特殊なキャンドルなどだ。東京・青山の直営店に行くと、若い女性が楽しそうにキャンドルを選んでいる、そういう雰囲気のブランドだ。全国に7店舗の直営店があるほか、インターネットでの直販も行なっている。
そのカメヤマキャンドルハウスが販売している「安全キャンドル」は、一般的なローソクに比べて安全性が高いのが特徴だ。まず、ローソクの高さが低く太いので倒れにくい。ローソクが、熱や衝撃に強いポリカーボネートのカップに入っているので、炎に触れにくく、落としても割れない。カップ型のローソクは多いが、インテリア性を重視した製品が主流で、こういう実用性を重視した製品は珍しい。
節電キャンドル 36H | 背面に取り扱い説明が書かれている | フタの上に大きく燃焼時間が書かれている |
ランタンのように、完全に炎が覆われているわけではないが、透明な樹脂製カップに入っていることで、安心感は高まる。また、重心が低いので、ちょっとカップに触れてしまっても倒れにくくなっている。
安全キャンドルの中でも、今回試した「36H」は、一番燃焼時間が長い製品で、文字通り36時間使える。一般的なローソクの燃焼時間は約4時間だから、ほぼ9倍だ。1日8時間としても4日以上使える長さなので、非常用にはこれを1つ備えておけば心強い。また、「あかり用」として作られているので芯が太く、一般的なローソクよりも明るいという。
明かり用に太めの芯が使われている | 直径は8cmちょっと |
外観は、太めの樹脂製カップそのもので太くて低い。直径が83mm、高さが100mmちょうどだ。一般的な細くて長いローソクのイメージとはだいぶ異なる形をしている。カップの色はクリア(透明)とオレンジ(こちらもクリアタイプ)が選べるが、今回は白にした。
ポリカーボネート製のカップには、文字などは記載されていない。製品名や注意書きなどは、薄いフィルムが巻きつけてあるだけで、使用時には外すように指示されている。フィルムを外した状態では、「節電キャンドル」という無粋な名前には似つかないシンプルさで、パーティなどのアイテムとしても使える美しさがある。
薄いフタを取ると、長めの芯が見える。カップのフチよりも、芯は低い位置にあるので、100円ライターよりも、マッチかチャッカマンを使った方が火を着けやすい。
36Hに着火した状態(フラッシュ併用) | 最初は炎の上端がカップの上に出る |
畳の上に置いてみる。写真だと暗く見えるが、周囲はもう少し明るい | 部屋の隅まで光が届いているのがわかる |
着火すると、最初は芯が燃えて、炎が揺らめくが、20秒ほどでロウが溶け出すと安定した炎になる。カップの中で火が燃えているので、炎が風の影響を受けにくい。さらに10時間ほど使っていると、炎の上端がカップの上端よりも下になるので、ほぼ風の影響を受けなくなる。
また、わざと振動を与えてみたりしても、ロウがカップの中にとどまり、外に垂れるようなことがないのも良い。安全な場所と簡易消火器を準備した上で、カップを倒してみたが、カップには炎が触れているはずだが、黒いススが着くだけで燃えない。かなり安心できる構造だ。
わざとカップを傾けてみても、ロウはカップからこぼれない | カップとロウの間に隙間があっても、ロウはカップ内に溜まる | カップに巻かれているフィルムを付けたまま使用していると、まれにフィルムが熱で変質することがある。必ず着火前に外すこと。カップはポリカーボネート製で熱に強く、フィルムがこのような状態になっても影響はない |
ローソクといえば特有の匂いが気になるところだが、節電キャンドルは無香料なので、一般のローソクよりも匂いが少ない。というか、燃焼中は匂いがわからない。炎を吹き消した時の、ローソク臭さもかなり少ない。
明るさは、一般のローソクよりも少し明るい。ただし、LEDランタンなどのような直接的な明るさではなく、周囲をほんのりと照らすような明るさだ。ローソクとしての限界はあるし、性格も異なる気がする。2~3名で食事をしたり、TVやラジオを楽しむには十分な明るさだが、これでデスクワークをしたり読書をしたりするような照明ではない。6畳間ほどの部屋で、ぼんやりしている分には、これ1つで困ることはなかった。
■小ぶりな24Hと非常用に向いた15H
節電キャンドルには、もう2つバリエーションがある。24Hと15Hだ。それぞれ燃焼時間は24時間と15時間だ。
24Hは、36Hを小さくした形で、同じ透明なカップに入っている。直径が53mmで高さが68mmなので、1回り以上小さく見える。メインの照明というよりは、小さいテーブルの雰囲気作りに向いている。カラーバリエーションはクリアとオレンジ。価格は420円だ。
節電キャンドル24H | こちらはオレンジにしてみた | 背面の注意書きなどは同じ |
36Hに比べると、少しだけ芯が細い | 36Hと並べて着火。36Hより一回り以上小さい | 見比べると24Hは炎が小さいのがわかる |
15Hは、ちょっと方向が違う製品で、カップではなく缶入りになっている。直径が80mm、高さが48mmなので、36Hとほぼ同じ太さで高さが半分ほどだ。金属製のフタがついていて、持ち歩きに向いている。キャンプなど屋外のイベントに向いている製品だ。カラーバリエーションはなく、価格は682円だ。
節電キャンドル 15H。こちらは缶入り | 金属製の蓋を開けるとすぐ使える |
着火した状態。炎はあまりカバーされない | 外したフタを立てかけると反射板として使える |
家庭の防災グッズとしては36H、食卓の雰囲気作りなら24H、屋外に出るときは15Hという使い分けが向いているだろう。
なお、“カメヤマ”ブランドでも、「カラークリアカップピラー」という製品名で36Hと同等の製品が販売されている。標準小売価格は683円だ。カップは色付きのクリアタイプで、カラーバリエーションはブルー/グリーン/レッド/イエローの4色が用意されている。仕様は節電キャンドルと変わらないので、価格やカップの色の好みで決めるといいだろう。
■安全に注意してローソクの魅力を楽しもう
東京消防庁が昨年発表した資料によれば、ローソクによる火災は過去5年間で310件発生し、死者10人、負傷者145人が発生している。310件のうち、115件が仏壇などの灯明、82件がアロマテラピー、80件が照明用となっている。照明用の事故例を見ると、燃えやすい物の上に置いたり、倒れやすい場所に置くなど、使い方に問題のある場合が多いようだ。
確かに、室内で裸火を燃やすというのは危険があるが、いくつかの点を注意すれば、ローソクの危険は、かなり避けられる。例えば次のような点だ。
・ローソクを灯しているときは、その場から絶対に離れない
・ローソクは水平で安定して場所に置く
・周囲に可燃物がないようにする
・風のある場所では使用しない
これらの注意を守るのは大前提だ。さらに節電キャンドルは、倒れにくい形と透明なカップに入っていることで、一般のローソクに比べて安全性を高めている。コスト的には不利なようだが、燃焼時間が長いので、1時間当たりの単価で比べれば、大きな差はない。
防災用品として考えると、ローソクは保存しやすく、使い方が簡単という特徴を持っている。懐中電灯やLEDランタンと比べても、電池切れの心配が無いという長所がある。うまく危険を避けて、長所を活かす形で使うためにも、節電キャンドルのような改良された形のローソクの意義はある。
最後に安全性を左右するのは使い方の問題なので、基本的な使い方を守ってローソクの魅力を楽しんでほしいと思う。
2012年 11月 9日 00:00
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