やじうまミニレビュー

無印良品「ファン式消臭器」

~クローゼットや戸棚にピッタリの小さな消臭器
by 伊達 浩二


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


無印良品 「ファン式消臭器」

 家の中で、気になる臭いと出会うときがある。たとえば、下駄箱や、台所の流しや洗面台の下の戸棚、クローゼットや押し入れなどだ。

 居間や居室のように広いスペースの臭いには、空気清浄機や大型の消臭器で対応することが多いが、先に挙げたような、狭い場所を脱臭したいときに便利なのが、無印良品の「ファン式消臭器」だ。店頭で見かけて、シンプルな外観が気に入ったので試しに購入した。

 


メーカー無印良品
製品名ファン式消臭器
希望小売価格1,500円
購入場所店頭
購入価格1,500円(消臭ゲル400円、別売)

 

シンプルで場所を選ばないデザイン

 ファン式消臭器の外観は、ストンとした円筒形だ。色も控えめなホワイトで、どこに置いても違和感がなく、目立たない。

 無印良品の消臭器と言えば、以前レビューしたトイレットペーパー型の消臭器を覚えている人もいるだろう。あれは、トイレに置いてもなじむように、トイレットペーパーの形を擬態した消臭器だったのだが、今回のファン式消臭器も目立たない外見で、目に入っても違和感のないデザインだ。

 本体の大きさは小さく、サイズは70×92mm(直径×高さ)だ。実際に使用するときには、別売の「消臭ゲル」という消臭剤を取り付けるので、高さは実測で118mmになる。

 メーカーは三栄コーポレーションで、トイレットペーパー型消臭器と同じところだ。使用する消臭ゲルも同じものだ。

パッケージは透明で本体が見える価格は1,500円。単三形乾電池4本付き背面に取扱説明書が入っている
パッケージから取りだした本体本体、乾電池ケース、付属の乾電池、消臭ゲル本体の底面に乾電池ケースがはまっている
大きさの比較用に30cm定規と単三乾電池を置いてみた以前に使っていたエオリアン・ミニ(右)との比較エオリアン・ミニは単三乾電池2本を電源とし、平べったい形をしている

 吸気口の上に、電源スイッチがあり、これをONにすると白いLEDが点灯する。吸気口の反対側は無地で何も付いておらず、吸気口を目に触れない方向に向けてしまえば、単なる白い円筒形の物体としか見えない。

 この消臭器では、セットした消臭ゲルの上から、乾電池で動くファンで風を送り、少しずつ空気に触れさせ、脱臭剤の成分を風と共に拡散させる仕組みになっている。空気は本体側面にある小さな吸気口から吸われ、上部から吹き出す。

操作部分。電源スイッチの下は吸気口吸気口を向こうに向けると何もないただの円筒になる
上面が排気口になっている本体の直径はほぼ7cm

良くできた乾電池ボックス

 さっそく、使ってみよう。この消臭器を使い始めるには、まずファンを回す乾電池と、消臭ゲルをセットする必要がある。

 電源が乾電池なのは、この製品の大きな特徴だ。場所を選ばず、どこにでも置けてしまう。また、臭いが気になる場所に、置き場所を変えるときも、電源コードを気にせず、気軽に移動できる。

 乾電池は単三形アルカリ乾電池4本が付属しており、これを電池ボックスに入れる。電池ボックスは、入れる方向がわかりやすくて良い。側面に穴が空いていて、ここから指を入れると、電池を取り出すのも簡単だ。また、電池ボックスは、間違った方向にはセットできない。よく考えられた構造だ。

乾電池ケースを開け、乾電池を入れる乾電池ケースは簡単に外れる乾電池を入れる方向の指示はわかりやすい
乾電池を入れてフタを閉める乾電池ケースをはめ、消臭ゲルをねじ込むとできあがり電源スイッチをONにするとLEDが点灯して動き始める

 消臭ゲルは、フタを開け、密閉しているシールを剥がす。そして、本体を載せて何度か回すと、フタのネジ山に、本体の溝がはまるようになっており、きっちりと固定される。トイレットペーパー型消臭器の場合は、本体のカバーが固定されておらず、持ち上げる時に気を遣ったが、この製品は片手でひょいと持ち上げることができる。

 なお、ゲルは粘性が高いので、横倒しにしてしまっても、すぐに起こせば何事もない。もちろん、放っておくと、流れ出してしまうので、倒したままでは使用できない。

別売の消臭ゲルゲルのフタを開けるとシールされているシールを剥がしてから本体に付ける

 消臭ゲルはアミノ酸で、「アミノ酸が水とともに気化し、悪臭成分とのみ結合、化学目変化をおこして無臭化します」と説明されている。

 ちなみに、この消臭ゲルは、本体には付属しておらず、最初の1個から別途購入する必要がある。価格は400円だ。これは、買い忘れやすいし、パッケージを開けてから気がつく人も多いと思うのでセットにして販売してほしかった。

場所を選ばないデザインと電源

 電源スイッチはスライド式で、ONとOFFしかなく、迷いがない。電源を入れると、白いLEDが点灯し、動作中であることがわかる。このLEDは消灯できない。消えたら電池の寿命が尽きたということだ。

 スイッチをONにすると、かすかにファンの音がするが、小さな音で、耳を澄ましていないと気がつかないぐらいだ。また、ファンは30秒ほど回って、8分止まる間欠運転なので、音が気になることはないだろう。


天板を外して電源を入れたところ。この状態でも動作音はごく小さい(以下、赤字で)【注意】指などを入れると危ないのでまねしないでください

 

 また、空気が出てくる天井の部分は簡単に外せるようになっている。これは、ホコリが溜まりやすいので、それを掃除するためだろう。天板を外すと、ファンが剥き出しになってしまうので、掃除の時以外はきちんとはめておこう。

 今回は、ペットフードを入れている戸棚を中心に使ってみた。ウチの場合は、猫の鉄蔵にあげる乾燥タイプのフードは自動給仕器に入っていて、あまり臭わない。しかし、袋に入った状態のフードは、入り口をクリップで留めてあっても、それなりに臭う。戸棚を開けてペットフードを取り出すときには、フードの肉っぽい臭いが気になるのだ。

 この戸棚は棚の間隔が狭いので、入るかどうか心配だったが、問題なく入った。排気用の隙間も含めて、棚と棚の間の高さが12cmあれば大丈夫だ。底面積は小さく、場所をとらない。また、本体が円筒形なので、吸気口が塞がれにくい。置く方向さえ気をつければ、棚の隅に、壁にぴったりつけた状態で置ける。

 1日置いて、戸棚を開けてみると、臭いがなくなっていた。密閉した状態の戸棚という好条件ではあるが、確実に効果はある。コートやカバンなど革製品の臭いが目立ちやすいクローゼットでも試したが、効果はあった。

戸棚に置いてみたところ。この棚はVHSテープが立たないぐらいの高さしかないが十分に置けるクローゼット。吸気口を隅に向ければ、壁にくっつけて置ける
食品棚に置いたところ。底面積が小さいので小さな棚でも入る洗面台の下。湿気が多いところなので湿気取りと並んでいる

乾電池とゲルの寿命は2カ月

 乾電池でファンを回す消臭器は、東芝の「エアリオン」シリーズを始めとして、いくつか使ったことがある。全体的な特徴として、風量が小さく、また乾電池の寿命を考えて間欠運転するため、広い場所や空気の流れの良い場所には向かない。流通する風量の大きな空気清浄機や本格的な消臭器の代わりになるような強力な製品ではなく、密閉した狭いスペースを得意とする小回りの効いた製品なのだ。

 そういう場所の消臭は、活性炭などを使った普通の消臭剤で用が足りる場合もある。しかし、密閉度が高く、空気がよどんでいる場所では、ファンの効果は高い。エアリオンをクローゼットで使っていたときは、乾電池が切れてファンが止まっていると、革製品の臭いで気がついたぐらいだ。それぐらいファンの有無で差があるのだ。

 繰り返しになるが、今回のような乾電池駆動の消臭器は、クローゼット、押し入れ、戸棚など、ピンポイントの狭いスペースに向いた製品だ。自分自身では、ペットフードを入れる棚に、いつも入れておくつもりだ。

 トイレで使いたい人もいると思うが、同じ消臭ゲルを使うトイレットペーパー型消臭器のときは、密閉した狭いトイレでは有効だったが、大きめの換気扇が付いていて空気の流れが良いトイレでは、効果がわかりにくかった。今回の製品も、ほぼ同じ性能と思われるので、使う場所の条件を考えて検討してほしい。

 なお、消臭ゲルと乾電池の寿命は約2カ月とされている。以前の経験で言うと、ゲルは完全に無くなるのではなく、底に少し溜まった状態になってからは減らない。なので、乾電池が切れて、LEDが消えたときには、乾電池とゲルを一緒に交換するようにしたい。

 この製品を使い続けると、1箇所のピンポイントな消臭のために、2カ月に1回、数百円(400円+乾電池代)が、かかることになる。しかし、狭い場所の困った臭いに対しては有効な製品であり、用途を間違わなければ経費なりの効果はある。デザインも秀逸で好ましい。戸棚にしまい込んでしまうのがもったいないぐらいだ。





2011年 9月 27日   00:00