藤山哲人のモバイルバッテリー診断

ソニー「サイクルエナジー CP-F1LSAVP」

~LTE系スマホジャスト1回分。USB-ACアダプター同梱モデルがお買い得

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
ソニー「サイクルエナジー CP-F1LSAVP」

 今回紹介するのはソニーの「Cycle Energy(サイクルエナジー) CP-F1LSAVP」。容量は3,500mAhなので2,000mAh以上のAndroid系スマートフォンをほぼ1回充電するのにちょうどいい。薄型でほぼスマートフォンと同じサイズとなっていて、高級感あるアルミボディーが特徴的だ。

 ボディー表面にはソニーのロゴなどが、印刷ではなくエンボス(凹み)加工されている。デザイン的には、どんな人にもどんなシーンにもマッチしそうだ。

メーカー名ソニー
品名・型番サイクルエナジー CP-F1LSAVP
バッテリー容量3,500mAh
繰り返し利用回数500回
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
70.4×128.1×9.4mm
重量125g
販売価格3,990円(yodobashi.com)
対応スマートフォンスマートフォン全般
ここでは充電器同梱モデルを紹介するが、非同梱モデルも用意されている
本体上部。左からUSBコネクタ(出力)、出力中ランプ、充電用MicroUSBコネクタ、バッテリー残量計、電源ボタンとなっている
下部は何もなく平らになっているが、この面を下に向けて立たせるには不安定。薄さは1cmを切る9.4mmとなっている
右側面。スマートフォンのように角が丸く仕上げられており、持ちやすくなっている
左側面
本体天面。ロゴ類はエンボス加工なので、さほど目立たず高級感のあふれる仕上がりになっている
その裏側。バッテリー残量計の見方などが、日本語で印刷されている
■■注意■■

・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。
・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。
・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。

大容量バッテリーのLTE系スマートフォンならジャスト1回フル充電

充電の実測テストに利用した、2012年夏モデルの富士通「ARROWS X F-10D」。内蔵バッテリー容量は1,800mAh

 まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォンを実際に充電して、どのぐらい充電できるを試してみよう。当連載の実験環境、実験器具については、別のページでご確認いただきたい。[→連載「モバイルバッテリー診断」の性能チェック方法]



・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「1回と30%」(2,394mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録

 同梱のケーブルは太く、全長50cmと長め。モバイルバッテリーとスマートフォンを重ねて充電する場合は、長すぎて邪魔になった。長さが必要な場合は良いかもしれないが、外出時のために、もう1本、短めのものを用意したい。また、ケーブルは硬く、針金のようにクセがつきやすい。

 USBの出力は1.5Aで、最新式のスマートフォンに搭載されている「超」急速充電機能に対応可能だ。2Aは出ないので、第3世代iPadには非対応となる。iPad2、iPadなら大丈夫だろうが、Android系のタブレットは、出力1.5Aは微妙なライン。機種によっては充電できたりできなかったりがあるかもしれない。

 オートパワーオフ機能については、スマートフォンの電源を切った状態で充電完了すると、モバイルバッテリーの電源が自動的に切れた。しかし電源ONの状態だと、フル充電になっても電源が切れない機種もあった。

同梱のケーブルはロスが少ない太いケーブルで、長さも余裕の50cm。デスクトップではちょうどいい感じだが、屋外で使うには少し邪魔になる
バッテリー残量計は、点滅の回数で残量がわかるという、珍しい方式。電源ボタンを押して、3回点滅すれば「多く」残っている状態、2回点滅は半分、1回だと残りわずかを示す
【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクタ数1
USB最大電流1.5A
充電ケーブル (コネクタ)USB - MicroUSB(50cm)
残量インジケータ2色1灯3段階 (点滅回数で多、中、少)
自動電源OFF本体電源OFF時のみ有効 (40mAでON状態を確認)
同時充電×

バッテリー自体の性能は可もなく不可もなく標準的

 たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能のバッテリーといえる。

ブレることなく、ピタッ!っと5Vを維持している
電流は若干の不安定さが見えるが、スマートフォンは問題なく急速充電できていた

 電圧はブレることなく、ピタッ! っと5Vを維持しており、安定性は申し分ない。電流は若干不安定だが、実用上で差し支えはないと思われる。表示上のバッテリー容量は3,500mAhとなっているが、充電に利用できるのは59%。つまり、およそ2,060mAhが実充電量となる。およそ40%がバッテリー内部でロスしてしまうが、標準的なロス率といえるだろう。

ロス率は約40%と標準的。カタログ値に対して容量の少なさを感じることはないだろう

 計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは次のとおり。Android系の場合、カッコ内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量3,500mAh
連続利用時の実用量2,062mAh(59%)
連続実用量1,000mAh あたりの価格1,746円
充電回数(理論値)Android(1,300mAh):1.8回
Android(1,500mAh):1.6回
Android(1,800mAh):1.3回
Android(2,000mAh):1.2回
Android(2,200mAh):1.1回
iPhone4S(1,432mAh):1.7回
iPhone5(1,434mAh):1.7回
iPad2(6,580mAh):0.4回
ソニー PSP(1,200mAh):2.0回
任天堂 3DS(1,300mAh):1.8回

4時間でフルチャージ&小型USB ACアダプタが超便利!

 嬉しかったのが、同梱のUSB-ACアダプタが、小さくて出力も高いという点だ。大きさはコンセントに差す三ツ又ソケットより少し大きい程度で、USBコネクタから2.1A出力までできる。これならモバイルバッテリーを充電していないときでも、スマートフォンやiPad(第3世代含め)が充電可能だ。

 多くのACアダプタは、マニュアルで「本製品の充電以外に利用禁止」とされているが、このUSB ACアダプタは「モバイルバッテリーとUSB ACアダプタを併用すると2台同時充電が可能」としており、モバイルバッテリー以外への使用も認めている。

同梱のUSB-ACアダプターは使い勝手が良い。同梱モデルを買うことをオススメする
説明書には「モバイルバッテリーとUSB-ACアダプタを利用すれば、2台同時の充電も可能」とあった

 モバイルバッテリーの充電時間は、カタログスペックどおりのぴったり4時間。会社や学校でも充電できるなら、1日2回充電して午前と午後にも利用できるだろう。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタMicro USB
添付充電器(仕様)2.1A出力USB Acアダプタ
(ワールドワイド仕様)
充電時間(カタログ値)4時間
充電時間(実測)4時間00分
繰り返し利用回数500回

容量1,800~2,000mAhのスマートフォンにピッタリ。アダプター込みがお得

 シンプルで薄型デザインなので、老若男女を問わず、またフォーマルからカジュアルまでどんなシーンにも馴染むというのが最大の特徴だ。中でもとくにオススメするのは、スマートフォンの内蔵バッテリー容量が1,800mAh~2,200mAhという人。ちょうど1回フル充電できるので、かなり便利に使えるだろう。

 なお、以下の5つ星評価においては、USB-ACアダプタ込みの価格となっているため、「単位容量あたりの安さ」の評価が低めになってしまった。しかし使い勝手のいいUSB ACアダプターに、プラス3,500mAhのモバイルバッテリーで、実売価格が3千円後半というのは、むしろお買い得だろう。

【総合評価】
メーカー・品名ソニー「CP-F1LSAVP」
ロスの少なさ ★★★☆☆(3)
持ち歩きやすさ★★★★☆(4)
単位容量の安さ★★☆☆☆(2)
 充電の早さ ★★☆☆☆(2)
使い勝手のよさ★★★☆☆(3)

藤山 哲人