家電製品ミニレビュー

3万円台でハイエンド機レベルの実力! 少人数世帯にオススメしたいオーブンレンジ

小泉成器のオーブンレンジ「KOR-6000」

 4月から新社会人として一人暮らしをはじめるヒト、親元を離れて学生生活を始めるヒト、子どもが巣立って、夫婦二人になったご家庭の買い替え需要にオススメしたいオーブンレンジがある。それが小泉成器のオーブンレンジ「KOR-6000」だ。

メーカー名小泉成器
製品名オーブンレンジ KOR-6000
購入場所Amazon.co.jp
購入価格32,888円

 単機能の電子レンジではなく、オーブントースター機能も付いているので、トースターを別に買う必要がない。しかも焼き魚にハンバーグ、エビフライやとんかつなどの揚げ物、さらにはあらゆる煮物や蒸し物まで作れるオールマイティーさ。面倒な温度や時間の調整は必要なく、マニュアルのレシピどおりに下ごしらえして、レンジのメニュー番号を選ぶだけで完成する。

 スイーツ好きならオーブン機能を使ってお菓子やパン作りもOK。もちろん予熱機能もあるので、ふっくらスポンジもお手の物のオーブンレンジだ。

マニュアルを読まないヒトでもスグに使える音声ガイドが便利

 このオーブンレンジの特徴は、有名メーカーの製品より機能を絞り価格を抑えているのに、音声ガイドなどハイエンド機にしか採用されていない機能を持っているという点。つまり、価格はそこそこ安いけど、ハイエンド機にしか付いていない音声ガイドやオーブントースター機能がついていて、ホームセンターや量販店で売っている安っぽい電子レンジよりずっと便利だ。

 極論すると、一流メーカーのハイエンド機は3~4人向けだが、それを1~2人向けに小さくして、「2,3回使ったら使わんでしょ?」というメニュー(これが結構ある(笑))をバッサリ削除してコストダウン(結果として操作も簡略化)したものだ。

音声ガイドは常にONにしておくことをオススメしたい。迷っているといいタイミングで指示してくれる
操作はダイヤル操作。ディスプレイも大きく見やすい

 筆者が造語をつくるなら、これは「ハイエンド・エコノミーモデル」。とくに音声案内はできがよく、(ドアの開閉で)「電源をONにしました」「ピーピー。できあがりました」「予熱が終わりました」など話してくれる。

 さらに、その場に応じたアドバイスが聞けるのも特徴。たとえば操作に迷っていると「ダイヤルを回して加熱時間を指定してください」「仕上がりの具合を調整してください」と話しかけてくれる。また加熱を終え庫内が熱くなっているとファンが回り庫内を冷ますようになってるが「ファンは自動的に停止します」と一言添えてくれたりと、なかなか感心だ。

 たとえるなら、5年前に15万円で売っていた上位モデルという感じだ。

機能は過熱水蒸気オーブンもビックリのハイエンドクラス

 このレンジのマニュアルを見ていて目を疑ったのは、とんかつやエビフライなどの揚げ物ができるという点だ。オーブンレンジでこれらのメニューが作れるようになったのは、数年前に登場した「過熱水蒸気オーブン」と呼ばれるハイエンド機から。しかしこのオーブンレンジは、過熱水蒸気オーブンじゃないのに揚げ物ができるという。

 かなりマユツバだったので、何より先に試してみた(笑)。きっと無理してるに違いない!

 作り方をザッと説明するとこんな感じだ。

普通のとんかつと同じスジ切り。さらに柔らかく美味しくするには、包丁で40回ぐらい肉を突き刺す。縦の筋と横のスジを切るように、まず横に“-”に20回、次に縦にさして“+”字に突き刺すといい
塩コショウで下味をつける。これも普通のとんかつと同じ
パン粉をフライパンで乾煎りして、フライしたときの色まで茶色く香ばしくする。フライではやらないが、加熱水蒸気オーブンの手順と一緒
小麦粉、卵、炒ったパン粉をつけて、下ごしらえは終わり。ここまで10分ぐらい

 あとはオーブンレンジで焼くだけ。天板のサイズは25×25cmなので、大きめのとんかつが2枚載るぐらい。片付けが面倒なのでクッキングシートを敷いて、そこに下ごしらえをしたカツ2枚を載せる。

天板には、とんかつ2枚載るので、1人暮らしだけでなく2人家族でも使える
あとはオーブンレンジの自動メニュー19番のとんかつを選んでスタート。焼き上がりまでは、およそ15分。油で揚げるよりは時間がかかるが、怖い油ハネもなく、ほかの作業ができる

 さて、できあがりはというと。

おりょ?めっちゃとんかつになってる!

 厚さ1cmのカツにはしっかり火が入っているのに、衣はカリっと、中はフワっとジューシーな仕上がり! これなら過熱水蒸気オーブンいらないんじゃない? という美味しさだ。

 しかも油で揚げていないので、カロリー制限していてもおいしいとんかつが食べられるのはうれしい。逆にコクが足りない! という場合は、サラダオイルをちょっと垂らして食べれば、フライそのものになる。

コンビニ弁当の温めもクルっ! とまわしてスタートするだけ

 もっともよく使うであろうコンビニ弁当の温めも簡単だ。まず庫内の広さは、ちょうどコンビニ弁当が入るサイズ。庫内は奥行があるので、横長で大盛りサイズの弁当も縦にすればすっぽり入る。

 安い電子レンジだと、ガラスのターンテーブルにお弁当を載せるが、このレンジはハイエンド機と同じターンテーブルレス。庫内にある○印のところに、加熱したいものの中心を載せるだけでいい。テーブルレスなので、四角いコンビニ弁当を入れても回転で突っかかることもなく、ごはんからおかずまで均一に温められる。

 もし吹きこぼれなどしても布巾でサッと掃除できるのもいい。庫内の凹凸は少なく、掃除も簡単だ。

庫内は幅26.3cm、奥行31.6cm、高さ17.6cmと大盛り弁当や大きな丸皿でもすっぽり入る広さ

 加熱時間の設定も簡単で、ダイヤルをまわしてコンビニ弁当温めの「2番」を選ぶだけ。あとは赤い「あたためスタート」ボタンを押すと自動的に加熱がはじまる。

 ハイエンド機との違いは、関東と関西では出力が異なる点だ。西日本では60Hzの電気となるので、このレンジの最大出力は650Wになる。しかし東日本で使うと最大出力は500Wとなる。安いレンジだと西用と東用があり引っ越すと使えないが、このレンジは出力が変わるだけで日本全国で使える点もポイントになるだろう。

温める前のお弁当
コンビニ弁当温めモードの「5番」を選ぶと、ワット数を気にすることもなく(自動判定)加熱OK
ダイヤルで「5番」に合わせて、あたためスタートを押すだけ
大盛り弁当などは、スタートしたあとに仕上がり調整をダイヤルで指定できる
東日本の500Wだとだいたい3分でいい感じに温まる
温度はおよそ90℃まで加熱できた

 よくやってしまいがちな、お弁当のフタが溶けてグニャグニャになるようなことはなく、ごはんもおかずもアツアツに温められた。ん~、ますますウチで使っているハイエンドのオーブンレンジの存在価値が……。

 悔しいのでハイエンド機との違いをもう少し説明しておくと、このオーブンレンジは温度センサーや重量センサーを持っていない。だからコンビニ弁当の平均値的な加熱時間をセットしているだけという点に注意してほしい。とはいえ、センサーがなくても十分っぽい(笑)。

 なお手動ボタンを押すと、電子レンジ強(650/500W)と弱(200W)、オーブン、グリルが選べるようになっているので、お弁当に表示されている時間をセットすることも可能だ。

電子レンジ強→弱(解凍)→オーブン→オーブン(予熱あり)→グリルを切り替えられる。なおオーブンは、パンの発酵などに使える40℃、100~250℃まで選べる

火を使わないから「ながら料理」もOK!

 火を使わずに料理できるメリットは、作業を並行できる点。家に帰っても忙しく、持ち帰りの仕事をしなければならない人、スマホでSNSの更新が忙しい人、他の家事をしなければならないなどなど、それぞれに事情がある。

 ガス台での調理は火加減の調整やら火の見張りをしなければならないなど「ながら料理」ができない。そんなとき火を使わないレンジやオーブン料理なら並行して作業できるので、時間を有効活用できる。

 また高齢者世帯は、火そのものを使うのが危ないという場合もあるだろう。このオーブンレンジは、ごはんのおかずになりそうなメニューが全30種。それ以外にもパンやお菓子なども作れるようになっている。もちろん手動で使えば、そのレシピは無限に広がる。

あらかじめ電子レンジで蒸した野菜を肉で巻く、肉巻き野菜
甘辛い照り焼き風味にして、オーブンレンジへ。下ごしらえは20分ほど
14番の肉巻き野菜で自動調理。焼き時間は15~25分なので1時間かからずに夕食ができる
見た目にも美味しそうな肉巻き野菜の完成。ごぼうなどの根菜をいれてもおいしそう

 ガス代のグリルやフライパンで、肉巻野菜をやろうと思ったらかなり大変。とくに照り焼きは、砂糖が入っているので焼き具合を常に見ていないと、すぐ焦げ付いちゃうからだ。

 またちょっとしたおつまみ的なレシピも電子レンジならではの早業でおいしくできる。

なすなどの野菜を切ってレンジで蒸し野菜に
市販のつゆの素にひき肉を入れて、軽くレンジで火を通す
野菜のそぼろあんかけのできあがり。15分もあれば簡単だ

安くて使いやすくてハイグレード機能を盛り込んだオーブンレンジ

 赤いボディーのデザイン性もさることながら、使いやすいダイヤル操作に、大きなボタンを大型ディスプレイも備えている。市場価格およそ2万5千円でこの機能はかなりお買い得だ。

予熱するためパンを焼くのに15分かかってしまうが、トースターモードにすると、絶妙な焼き具合のトーストに!外はカリ!中はフワ!のバルミューダのトースターにも負けない仕上がりだ。マジで

 ひとつ改良してほしい点を挙げるとすると、音声案内の音量だ。僕らの世代は音声ON/OFFだけでも十分だが、少し耳が遠くなってきた両親に使わせてみたところ、レンジに耳を近づけていたときがあった。音量をON/OFF/大の3段階にしてもらうと、高齢者には便利かもしれない。

デザイン性を損なわずに、文字は大きくディスプレイも大きく見やすい。機能も絞り込んで使いやすい

 とはいえ次の操作を案内してくれる音声ガイドは非常に便利で、機能も申し分なし。なんでもかんでも機能を盛り込み、外見だけユニバーサルデザインになっている有名メーカーの製品と違って、機能の面でも「よく使う最低限のもの」に絞り込んだ、外見も機能もユニバーサルデザインとなっている小泉成器のオーブンレンジ「KOR-6000」。独身世帯と子供が巣立っていった夫婦の2人暮らしにオススメしたい。

藤山 哲人

Amazonで購入