家電製品ミニレビュー

ユーイング「Fando UF-DHR30F」

~上下左右に首振りするDCモーター扇風機

ユーイング「Fando UF-DHR30F」

 梅雨ド真ん中の東京。気温はそこまで高くないが、湿度が高いので空気が重苦しい。

 そこで今年もさっそく扇風機のスイッチをONにした。扇風機といえば、2年前の東日本大震災に伴う節電の影響で、爆発的にヒット。各社から省エネ、高性能化したモデルが登場し、扇風機の良さが見直されてきた。

 節電の夏から3年目を迎える今年も、各社から様々な扇風機が登場している。今回購入したユーイングの「Fando(ファンドゥ) UF-DHR30F(以下、ファンドゥ)」もその1つ。DCモーター採用で省エネ性に優れ、上下左右に首振りできるためサーキュレーター代わりとして使える。さらに風量は9段階から細かく設定できる。価格は1万円台だが、いわゆる高機能扇風機の美味しいところを全部盛り込んだような製品だ。

メーカーユーイング
製品名Fando UF-DHR30F
購入場所Amazon.co.jp
購入価格15,094円

 ファンドゥは一見シンプルなホワイトカラーの扇風機。到着した時はパーツごとに分かれてダンボールの箱に収められている。使うにはまず組み立てが必要だ。

 といっても組み立ては簡単で、まず台座部にスタンドをはめ、スタンドのモーター部に羽根と前後のガードを取り付けるだけ。所要時間は10分程度だ。羽根は透明プラスチックの5枚羽根を採用している。

台座の底面はナットで固定する
透明プラスチックの5枚羽根
モーター部

 できあがった本体サイズは370×350×725~950mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は5.1kg。本体にはハンドルが付属し、室内を持ち運べる。モーターはDCで、最小消費電力は3Wに抑えている。カラーは艶のあるホワイトで、すべすべとして高級感がある。

モーター部に後ガードと羽根を取り付ける
前ガードを取り付けて完成だ
前ガードにはFando(ファンドゥ)のロゴが刻まれている
本体背面
ハンドルは大きく、握りやすい
一番低い状態で高さは725mm
一番高い状態で高さは950mm

 操作は、台座部のパネルか、付属のリモコンから行なう。リモコンはカード型で、台座の下部に収納できる。

台座部の操作パネル
リモコン
リモコンの電池はコイン形リチウムイオン電池CR2032が入っている

 電源をONにすると、本体から「ピッ」と音がして、台座部のパネルがキラリと緑色に光る。リモコンや操作パネルのボタンの押し心地は良い。

操作パネルとリモコンの2WAYで操作できる
電源をONにすると、操作パネルでは風量や首振りの設定が点灯する
電源をONにした時にパネルが点灯する様子

 風量は9段階から細かく選べる。風量が「1」だと、運転音はほとんど聴こえない。風は、そよ風のように自然だ。窓を開けた時に吹き込むゆるやかな風に似ている。

 風量「1~4」程度は、静かでゆるい風なのだが、「5」くらいになると、風の音がはっきりわかる。さらに風量を「6~9」にあげると、かなりしっかりとした風量になり、「9」では風切音が大きい。近くに紙が置いてあれば飛んでいってしまうほどだ。

風量を1から9へ段階的に上げていった。運転音が徐々に大きくなっていく

上下左右の首振りで部屋の空気を自在に撹拌する

 ファンドゥの1番の特徴は、上下左右の首振り機能だ。まず左右の自動首振り機能は、50/70/90度の3段階から選べる。これはリモコンと操作パネルの両方から操作できる。

左右の首振り角は50/70/90度の3段階から選べる
サーキュレーターのように、風を真上に送ることもできる
さまざまな角度から風を送れるので、部屋の空気を撹拌する

 加えて、上に90度、下に15度の上下首振り機能も搭載している。左右と上下の首振り機能をそれぞれ単独で使うこともできるし、両方を組み合わせて立体的な風を送ることもできる。

 実際に上下左右の自動首振り運転を使ってみると、いろいろな角度で風を送ることができる。扇風機の風にありがちな一方向へ向けた不自然な風とは全く異なり、部屋の空気がかきまぜられて、空気が通るような、快適感が得られる。

 なお首振り運転を止めると、自動で送風ヘッドが定位置に戻る。

上下左右の自動首振り運転を組み合わせると、こんな風に多様な角度で風を送ることができる

下方向に風を送れるから、和室の布団で寝る時も涼しい

和室の寝室に設置。下向きに風を送るとちょうど良い。就寝時は表示の明るさを半減する機能も備えている

 我が家ではまず寝室に設置した。和室なので、畳に座ったり布団に横たわったり、低い位置で生活しているのだが、ファンドゥならかなり低い位置にも風を届けることができる。下向きに15度の状態で左右に首振り運転すると、寝苦しい日もだいぶ涼しさを得られた。梅雨時の30℃以下の室温なら、風量は1~4程度か、風量を自動調節する「リズム風」に設定すると、心地よさを得られる。

 ただし、風量が小さい時に、首振り機能をONにしていると、運転音が気になった。羽根の回転音は静かなのだが、モーター部が上下左右に動く音が、静かな部屋ではわかる。

 首振り以外の機能で、便利だったのが人感センサー機能だ。このセンサー機能をONに設定していると、部屋を5分以上留守にした際に、自動で運転を停止。その後部屋に戻るとセンサーが感知して、自動で運転がONになる。うっかり消し忘れを防ぐことができる。

 試しに運転をONにしたまま部屋をあとにして、しばらくしてから戻ってみると、ちゃんと運転が止まっていた。そのまま本体に近づいてみると、「ピッ」という音と共に運転を再開。スタンド下部に付属のセンサーが、2.5m以内に人がいた際には感知してくれるのだ。

部屋を出て5分以上経ってから戻ると、運転を停止していた。そこへ近づくと、人気を察知して運転を再開した

優しい風だから汗も冷えにくい

リビングに設置した

 我が家ではリビングで楽器の練習をする際にも使用した。楽器の練習中は体を動かして汗をかくので、かなり暑い。かといってエアコンや扇風機の風を強くすると、ペラペラの楽譜がめくれてしまう。

 そこで、ファンドゥの風向きを真上に向け、サーキュレーターのように風を送ることにした。楽器の音で、ファンドゥの運転音はかき消されるから、運転音を気にせずにいくらでも風量は大きくできる。結果的に、ファンドゥの風は天井に届き、天井から跳ね返ってきた風は柔らかく、譜面を揺らさない。自然な風のおかげで体に熱がこもらず、練習に集中できる。エアコンだと汗が冷えて寒くなるが、扇風機の柔らかい風だと冷えが気にならないのも嬉しい。

風で譜面がめくれることがあるのだが……
サーキュレーターのように天井に風を向ければ、譜面はめくれず、涼しさを得られる

 機能面ではこのほかON/OFFタイマーも備えており、生活リズムに合わせて設定できる。こうして我が家では寝室にリビングに、あちこちで活躍しているファンドゥ。もう少しスリムなら、浴室前の脱衣所にも設置したいくらいだ。風量と風向きを幅広くコントロールできる点と、人感センサーで消し忘れを防げる点は気に入った。就寝時や勉強時、くつろぐシーンなど、さまざまな場面に対応する。高機能の扇風機を選ぶ際には選択肢に入れてみてはいかがだろうか。

小林 樹