家電製品ミニレビュー
ジャパン・インターナショナル・コマース「スーパーソニックスクラバー」
■TV通販で紹介された製品
「スーパーソニックスクラバー」 |
深夜のTV通販番組を見ていると、「これひとつで、なんでもできちゃいますね」という万能性を強調したセリフがよく聞かれる。
でも、どの製品をとってみても万能ということはなくて、得意な分野と不得意な分野があるのが当然のことだ。
なぜ、こんな書き出しになったかというと、今回紹介する「スーパーソニックスクラバー」もTV通販番組では、「これひとつで、なんでも」パターンで紹介されていた商品だからだ。
実際に試してみたスーパーソニックスクラバーは、得手不得手がはっきりした、分かりやすい商品だった。
メーカー | ジャパン・インターナショナル・コマース |
製品名 | スーパーソニックスクラバー 電動お掃除ブラシ&パッドセット |
販売価格 | 1,980円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,825円 |
■見た目は大きな電動歯ブラシ
スーパーソニックスクラバーの外観は、電動歯ブラシに似ている。ただ、大きさは1.5倍というか2倍近くに感じる。
外観は電動歯ブラシの大きいのという感じ | グリップ部分はゴツイ | 歯ブラシとの大きさ比較 |
ブラシは丸型だが、回転するのではなく、電動歯ブラシと同じように振動する。振動数はパッケージでは毎分8,000回転と書かれているが、メーカーが国内でテストした実測値は5,500回転だったとWebに記載されている。まぁ、このあたりはどっちでも大差はないと思う。
電源は単三乾電池4本で、付属のテスト用電池はアルカリだった。テスト用電池は、寿命が短いことがありますと書かれているとおり、ほんの30分ほどで消耗してしまった。新品のアルカリ乾電池でも2時間弱ぐらいだ。
グリップ部分に単三電池4本が入る | 電源スイッチがあるだけで強弱の調整はない | ストラップホールがある。付属のヒモは細いので、手持ちのストラップを通してみた。手首に巻けるように長めのものを選びたい |
2時間弱使った状態でも、ブラシは振動しているのだが、振動数が落ちてしまうので、使っていて気持ちが悪い。その時点で、乾電池の電圧をチェックすると、ちょっと下がっているだけで他の用途には使えるぐらいのレベルだった。電池の電圧の変化がモーターの回転数に直結しているようだ。特に記載はないが、エネループでも動作したのでお試しいただきたい。
スイッチは1つだけで、スライドすればONになる。強弱の調整はない。ただ、このスイッチは、スライドせずに強く押してもONになる。ミキサーのフラッシュ機能と同じで、ちょっとだけ回したい場合に、とても便利だ。
動作音はとても大きい。ガガガッとかジャジャジャッという感じの音が連続的に鳴り響く。うちの飼い猫は、遠い部屋に逃げてしまって近寄ってこない。家人が寝ている夜間には、とても使えないし、近所迷惑になりかねないレベルだ。同じような構造の電動歯ブラシは、もっと静かなのに、どうしてこんなにうるさいのか不思議なぐらいだ。
蛇口を掃除しているところ、動作時の音は大きい |
振動は音ほどは大きくなく、軽く握っていれば大丈夫だ。洗うものとブラシとの角度が水平になるように意識していると、ほとんど力がいらない。
基本的にあまり洗剤を使わないタイプの器具だが、試しに使ってみても、思っていたほどは洗剤が飛び散らない。ブラシの動作が、回転ではなく、振動するせいかもしれない。いろいろ試してみると、ブラシの角度によって、だいぶ飛び散り方がちがう。振動の大きさと同じで、ブラシが水平にモノにあたっているかどうかで差がでるようだ。
今回購入した「電動お掃除ブラシ&パッドセット」では、標準の「中硬質ラージブラシ」のほかに、「硬質山型ブラシ」、「パッド用ヘッド」+パッド4種類が付いてきた。
パッケージはブリスター型 | 台紙に操作方法が書かれている。用途はガスコンロ、電子レンジ、鍋などが推奨されている |
いろいろブラシを変えながら、洗面台や台所、浴室などで、いろいろ試してみたのだが、先に書いたように、得意な分野と不得意な分野がある。
標準で使う「中硬質ラージブラシ」 | 横から見ると角度がついている | 本体とヘッドは、ねじって交換する。これも電動歯ブラシと同じ構造だ |
付属のブラシとパッド | パッドはパッド用ヘッドとパッドの組み合わせで使う。パッドは種類により色分けされている | パッドとパッド用ヘッドは面ファスナーで固定されている。振動しても意外としっかり固定されている |
お気に入りは「硬質山型ブラシ」 | この尖った部分が蛇口の根っこや、タイルの目地に有効だ |
大雑把に言うと、蛇口や排水口などの小さい部分が得意で、タイルや床などの広い部分は不得意だ。
なんせ、一番広いパッドでも直径が4cm弱しかないので、ちょっと広い部分を掃除しようとすると、作業がはかどらない。床掃除やタイル掃除を試しているときは、バケツとタワシを持ってきてゴシゴシ洗いたくなる。たぶん、そのほうがずっと早いだろう。
では、スーパーソニックスクラバーは役に立たないかというと、そんなことはない。
先に言ったように、蛇口の細かいところを「硬質山型ブラシ」で洗っていると、すごく簡単に汚れが落ちる。とくに蛇口の根本に張り付いた黒カビなどは、この尖ったブラシが有効で、みるみる汚れが落ちる。
洗面台の蛇口。掃除前 | 掃除後 |
床のシミ。掃除前 | 洗浄中。泡タイプの中性洗剤を使った | 掃除後。これはきれいに落ちた |
床のシミ2。掃除前 | 掃除後。シミによっては薄くはなるがきれいに落ちない |
ただし、洗浄力は万能ではない。蛇口で言えば、平らな部分の曇りは取れにくい。金具専用の強力な洗剤とメラニンスポンジの組み合わせの方が、ずっと良く曇りが取れる。
また、床掃除でも、何かのシミでスポット的に汚れている場合には有効だ。水と弱い中性洗剤をちょっと垂らして、中硬質ラージブラシでこすったあと、床材に適したパッドで仕上げをすると、シミが薄くなる。
つまり、この製品が得意とするのは、10cm四方ぐらいのスペースだ。特定のスポットの掃除に適しているのであって、広い場所の掃除には向かない。たとえば、お風呂の壁面全部をきれいにしようという用途には向かなくて、お風呂の水栓金具や鏡のフチをきれいにするという用途が向いている。
床で言うと、30cm四方のビニールタイル1枚を、スーパーソニックスクラバーで仕上げるのは大変だ。しかし、鍋から飛んでこびりついた油汚れを落とすという用途には向いている。
付属の道具は、ブラシの寿命は長いが、パッド類の消耗が早い。ブラシが長持ちするのは、消耗しにくいように固い素材なのが有効なのだろう。パッドは、素材が柔らかいものほど寿命が短い。交換用のパッドセットは780円するので、追加するのに決心がいる。もう少しバラで、たとえばソフトパッドだけの10枚セットで400円とかで買えると良いと思う。
また、掃除をしていて思ったのだが、スーパーソニックスクラバーのブラシは硬すぎるかもしれない。金具を掃除していると、もう少し柔らかいブラシの方が細かい汚れが落としやすいのではないかと思うことがある。このあたりはブラシの寿命とのトレードだが、電動歯ブラシの「硬め」ぐらいのブラシがあると、それ1本でカバーできる範囲が広いのではないだろうか。
■お掃除をするきっかけとして有効な道具
スーパーソニックスクラバーは、使った人によって評価が割れる製品だと思われる。
でも、好きか嫌いかというと、私はこの製品は好きだ。用途がはっきりしていて、構造がシンプルなので、「じゃあ、こういう分野だったら、どうだろう」と試すのが楽しい。おかげで、普段は絶対にしない、台所のシンクや洗面台の大掃除をしてしまった。道具がきっかけになって家事をするというパターンは、これまでもあったが、スーパーソニックスクラバーも良い例になるだろう。
たとえば、私はバケツと細いブラシとタワシを渡されて、「はい、これで浴室の黒カビ掃除をして」と言われたら、面倒に感じてしまうし、何か言い訳をして逃げるかもしれない。しかし、スーパーソニックスクラバーを渡されて、「はい、これでいろいろ試してね。まず、浴室の黒カビから試してみて」と言われれば、浴室だけではなく、家中の黒カビを探しまわってしまうだろう。
自分だけかもしれないが、掃除をする楽しさというのは分かりにくい。しかし、機械を使いこなす楽しさはわかりやすい。とくに電気が通っていたり、モーターが入っていたりすると、引きずり込まれてしまう。たぶん、自分の頭の中では、その仕事が「家事」から「作業」さらに「研究」へと切り替わってしまうのだろう。
というわけで、スーパーソニックスクラバーは、実用的な掃除用具を求める方よりも、機械好き、ガジェット好きの方にお勧めしたい。以前のソニックスクラバーは、かなり高めの値段設定だったが、いまなら2,000円以下なので、実用性のあるオモチャとしてお勧めできる。
もし、同居人がそういう機械好きの方だったら、掃除を手伝ってもらうきっかけ作りとして、スーパーソニックスクラバーをプレゼントするのはいかがだろう。ダメ元で掃除の習慣がつけば儲けものだろう。
2012年 10月 30日 00:00
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