家電製品ミニレビュー

エレクトロラックス「ergothree auto」

~「好ましいギミック」が「光る」紙パック式紙掃除機
by スタパ齋藤
エレクトロラックス・ジャパン「ergothree auto EET530SO」

 家電Watch編集部から「貴様は掃除野郎で静音野郎だからこの新型掃除機を試してみなはれ」的なメールとともに、エレクトロラックス・ジャパンの「ergothree auto」が送られてきた。こ、こ、こ、コレはウワサの「日本市場特化型紙パック式静音掃除機」!! 早速その実力を試してゆきたい!!


メーカーエレクトロラックス
製品名ergothree
希望小売価格78,800円
購入場所ヨドバシ.com
購入価格78,800円


 ergothree(エルゴスリー)は、スウェーデンの家電メーカーであるエレクトロラックス社が、日本市場向けに開発した紙パック式掃除機だ。4機種あり、今回試用するのはその4機種のうちの最上位機種となる「ergothree auto EET530SO」だ。機種間の違いは、本体色や付属ノズル、オート運転モードの有無あたり。

 

「ergothreeシリーズ」は4機種ある。「ergothree auto」が色違いで2機種あるほか、「ergothree power」と「ergothree multifloor」がある今回試用するのは「ergothree auto」のソーラーオレンジである「ergothree auto EET530SO」。クリアブルーと同様ergothreeの最上位機種だ最上位機種2機種のみに備わるAUTOモード。クリーナーが自動的に床のタイプに応じた吸引力で運転するという、いわば「お任せモード」ですな
最上位機種2機種には、これら3種類のノズル類が全て付属する。左から、パワーノズル、ミニパワーノズル、3in1ノズル。前者2種類は電動ブラシを内蔵する

 さて、前述のとおりergothreeシリーズは「日本市場向けに特化して開発された紙パック式掃除機」である。日本向けとしてのコンセプトは「パワフル」「サイレント」「クリーン」で、高いクリーニング性と静音性、さらに清潔性を兼ね備えた掃除機だという。

「パワフル」「サイレント」「クリーン」をコンセプトとしたergothreeだが、その外見も大きな特徴のひとつだ。ある種のインテリア性も備えている
パイプ~ノズルを本体に立ててセットできたり、見やすいインジケーターがあったり、ホイール部は床に当たっても静かだったり、「日本人が求める掃除機の機能」が多々あるように思える
本体サイズは、267×374×233mm(幅×奥行き×高さ)で、質量は4.5kg本体のハンドルを起こして掃除機本体を持ち上げた状態でも使える排気部には二重の消音材が使われているという

 細かい理屈はさておき、オモムロに「ergothree auto EET530SO」(以下、ergothree)を使ってみた。パワフルで静音性が高いということで、そのあたりから。

 まず静音性だが、確かに静か。ergothreeの吸引力は「1」「2」「3」の3段階に調節できるが、いちばん吸引力の弱い「1」なら夜でも掃除できそうな感じ。電子レンジ稼働音みたいな音。あるいは、ドライヤーの送風音くらいの音。テレビを観ている人の横で、使っても、「うるさくてテレビ観てらんない」とはならなさそうだ。

 また、「2」や「3」も思ったほどうるさくない。ただ最強の「3」になると騒音の高音成分が強まるようで、まあ「静か」とか言い難い。しかし「最強にしてもこの程度の騒音♪」とプチ喜べる「そんなにはうるさくない稼働音」だと思う。

 吸引力だが、「1」でも十分な吸引力があると思う。日常的な掃除機がけなら「1」を常用してもいいと感じる。十分静かに運転でき、ある程度実用的な吸引力があり、つまりは静音性と吸引力をしっかり両立しているのは、改めて考えるとスゴいコトかもしれない。この点はぜひ実機に触れて確かめてほしい。

 もちろん「2」や「3」ならさらに吸引力があり、「3」だと(ノズルによっては)布を吸い込んだりマットを吸着して「いったん停止して対処する必要がある」ほどだ。フローリングに半月たまったホコリをガッツリ吸引できるパワーですな。

 あと、付属のノズルがなかなか好印象。2種類の電動ブラシ付きノズルと、アイデア賞ものの3in1ノズルだ。けっこーオドロキ。しかもちゃんと活用でき、便利に収納しておける。

標準のノズルとなるパワーノズル。幅は約27cmでやや大ぶり。オンオフできる電動ブラシを内蔵する。床から持ち上げると電動ブラシが止まる安全機構付き
幅約10.5cmのミニパワーノズル。オンオフできる電動ブラシを内蔵する。ヘッドは180度回転するので、低い位置の垂直な面も掃除しやすい。弱運転相当の「1」ではシーツや布団の掃除もできた
3種類のノズルに変身する3in1ノズル。ブラシノズル、隙間ノズル、ミニノズルとして使える。写真中央がブラシノズル、写真右が隙間ノズルの状態
ミニノズルとして使った状態。ミニノズルの幅は約19cm。3in1ノズルはホースのグリップ部分に収納できる

 掃除機としての全般的な機能は、まあわりとシンプル。運転モードはAUTOかマニュアル(3段回の吸引力を切り替え)で、ブラシのオンオフを切り替えられるというだけ。ホコリを検出してエコ運転するとかマイナスイオンを吹き出すとかそういう細かい機能は持たない。ヘッドが超低いところまで入るとか真横に向くとかそういうギミックもない。

 フツー的な掃除機なんだが、前述のように考え抜かれた付属ノズルがあったり、低騒音で十分な吸引力があったりと、所々に「光る要素」がある。しかもそれらの要素はけっこービカビカ光る感じ。それぞれ見ていくと「日本メーカーちょっとヤバくない?」みた
いなことも少々感じたりする。

 たとえば、これもまた静音性に関する要素だが、ergothreeは空気が漏れるような音が非常に少ない。シューとかシャーとかいう耳障りな騒音が少ないと感じる。これはホースなどの接続部にそれぞれシーリングが施されているからなのだそうだ。

 個人的にはパイプの扱いやすさに感心した。パイプの伸縮って、多くのケースで「ボタンを押しながらパイプを伸ばしたり縮めたり」するじゃないスか。ergothreeの場合はボタンを押さなくても伸縮可能で、手を離せば自動的にロック機構が働く。まー細かい部分にこだわったモンだなぁとは思ったが、使用時に「イラッ」とかすることがなくて使いやすい。

 ほか、ダストカバーが「ガバッ」とではなく「ス~ッ」と静かに開くとか、ダストバッグ(e-bag)が装着されていないとカバーが閉じないしくみになっている(ダストバッグを装着しないでの運転防止)など、チョイと感心する部分が多い。

パイプの接合部にはシーリングがあり、これにより空気漏れからくる騒音を防ぎ、効率良く空気が流れる=吸引効率のUPを実現しているとのこと。パイプ部の伸縮ギミックも便利で快適。見どころの多い掃除機なのだ

 使っていて「コレはイイ!!」と思ったのは、ergothree専用となる独自のダストバッグ。ゴミがたまる紙パックですな。ergothree専用品はe-bagと呼ばれ、5層構造で排気がキレイとか吸引力が落ちないとかいろいろ利点があるが、「ユーザーがゴミに触れる可能性を最小限に抑えている」のがイカス。

 具体的には、紙パックにシャッターが付いてるんですよ。ゴミ捨てのときにシャッターを閉じると、ゴミに触れることがなくなるのはもちろん、たまったゴミからホコリが舞い立つようなことも非常に少なくなるのだ。衛生的~♪

ergothree専用ダストバッグ(紙パック)こと「e-bag」ツマミを引き上げると、このようにシャッターが閉じるつまりは、こんなふうに紙パック交換時期が来たら……
紙パック交換時はまず緑色のツマミ部分を上に引き上げる。紙パックを引き出す。シャッターによりホコリが舞わない♪e-bagの中央部分はラバー製。空気やゴミが漏れにくいのだ

 偉い!! とか思いましたよええ。言われてみればそうだよな的工夫なんだが、実際にギミックとして実装して提供してくれるという姿勢が良い。「そこまでしなくても」を疑問視して「そこまでするべきだ」と追求した結果、生じた魅力ではないだろうか。

 てな感じで、ergothree、基本性能も静音性も十分実用的であり、さらに細々した「好ましいギミック」が「光る」掃除機だと感じた次第。いろいろな観点で興味をそそられ、かなり欲しくなったりする掃除機なので、ぜひ一度実機に触れてみてほしい。






2012年3月28日 00:00