家電製品ミニレビュー
シャープ「プラズマクラスター扇風機 PJ-A3CLL」
シャープ「プラズマクラスター扇風機 PJ-A3CLL-W」 |
この夏、注目を集めている家電といえば扇風機だ。エアコンよりも消費電力がはるかに少ないため、全国的に節電が叫ばれるこのご時世にピッタリ合っている。
そんな中、今年6月に、大手家電メーカーのシャープから新しい扇風機が登場した。品番は「PJ-A3CLL」で、愛称は「プラズマクラスター扇風機」。その名の通り、シャープ独自の除菌・脱臭技術「プラズマクラスターイオン」の放出機能を備えている。つまり、扇風機を使いながら、同イオンの力で部屋の空気をキレイすることが期待できる。
大手家電メーカーでは、空気清浄機やエアコンなどで、さまざまな除菌・脱臭効果を謳うイオン機能を搭載しているが、扇風機に備えられた例はまだ少ない。ここは一度使ってみよう。発売直後に、ネットショップで12,800円程度で購入した。現時点でも、一部のネットショップで在庫が確認できるが、販売価格は高めとなっている。
メーカー | シャープ |
製品名 | プラズマクラスター扇風機 |
品番 | PJ-A3CLL-W |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入店舗 | ネットショップ |
購入価格 | 12,800円 |
■プラズマクラスター以外は普通の扇風機?
本体を組み立てると、丸く大きな台座、ガードが付いた5枚羽根など、“これぞ扇風機”といったフォルムになる。ガードの中央とリモコンにプラズマクラスターのロゴが付いてある以外は、見た目では特にこれといった特徴はない。本体サイズは365×356×670mm(幅×奥行き×高さ)で、高さは最大845mmまで設定できる。
送風部正面。真ん中にはプラズマクラスターのロゴマークが | 背面。突起部を押し入れれば、首振り運転に切り替わる | 高さは最大845mmまで伸びる |
機能面でも、プラズマクラスターイオンが出る以外はいたって普通。運転パワーは弱/中/強の3段階で、本体・リモコンの「風量切り替え」ボタンを押して運転を変える。風も普通の扇風機とほとんど変わらない。
この3段階の運転にプラスして、「強」の状態で風量切り替えボタンを押すと、弱運転と運転OFFを数秒後ごとに切り替える「リズム風」が選択できる。合わせれば、4つの運転モードが選べることになる。
操作部。運転のON/OFFと風量切り替え、タイマーが設定できる。これらの操作はリモコンでもできる | パネルは手前にせり上がった形になっている |
羽根を取り付ける部分の奥に、プラズマクラスターイオンの発生ユニットが見える(写真中央の黒い2つの丸がそれ) |
肝心のプラズマクラスターイオンは、本体の羽根を取り付ける箇所の内部にある。スリット内部をよーく覗き込んでみると、中にプラズマクラスターイオンの発生ユニットが見える。ここからイオンを発生し、風に乗って飛んでいくというわけだ。なお、イオンの濃度は1cm当たり7,000個で、特に「発生ボタン」を押すこともなく、通常運転で常に発生している。
消費電力を実測してみると、弱が25~26W、中が35W、強が43Wという表示になった。実は、我が家にある古い安物の扇風機が22/30/42W(弱/中/強)だったので、それよりも幾分数値が上がっていることになる。この差は、プラズマクラスターイオンの有無によるものかもしれない。リズム風は0Wと15Wと25Wを行ったり来たりしていた。
このほか、1/2/4/6時間のオンタイマーとオフタイマーも搭載。運転中に「タイマー」ボタンを押せばオフタイマーに、停止中に同ボタンを押せばオンタイマーになる。オンタイマーはあらかじめ運転モードを選んでおくことも可能だ。オン/オフタイマーの同時使用はできない。
消費電力は25/35/43W(弱/中/強) | オフタイマー(写真上)とオンタイマー(写真下)の設定も可能 |
■バスタオルの乾燥・脱臭に便利。衣類乾燥にも
実際にしばらく使ってみたが、感想としては「ニオイの気になるところに使いたい」というのが一番だ。
乾きにくいバスタオルの乾燥に有効だった。本当は毎日洗濯して干したいところだが、これならイヤなニオイも発生しなくなる |
特に気に入ったのが、浴室の脱衣所に置き、バスタオルの乾燥に使う用法だ。この時期はよく汗をかくので、風呂やシャワーでスッキリすることも多い。その時に、前に使ったバスタオルが乾いておらず、下手をすればイヤなニオイがしてしまうことがあったりする。室温は高いが湿度も高く蒸しているので、部屋干しではなかなか乾きにくい。使用後に毎回洗って干せば良いのだが、忙しくてそのヒマがない。
そこで、このプラズマクラスター扇風機の出番。浴室から出た際は、普通に自分の身体を冷ますのに使い、それが終わったら、風をバスタオルに向け、1~2時間ほどオフタイマーを設定して乾かす。こうすれば、バスタオルは乾いているし、変なニオイはしない。強運転でも消費電力は43Wなので、除湿乾燥機を使うよりも安く済む。
翌日に使うYシャツを夜中乾かしているところ。1~2枚なら乾くだろう |
また、翌日の仕事で着るシャツなどを部屋干しする際にも役に立った。シャツ1枚だけなら、強運転で一晩で乾く。家族全員の衣類を何枚も乾かすには、洗濯機の乾燥機能や除湿機を使った方が便利だろうが、“お気に入りの一着だけ”など単品であれば、問題なく活躍してくれる。
一方で、扇風機としての基本機能は実に普通。センサーで運転を自動調節してくれるわけでもないし、他社の高級機種のような“風が柔らかい”ということもない。風はよくある一般的な扇風機のものと同じだ。確かにリズム風やリモコンは付いているものの、他社の高級扇風機と比べれば、割とありがちな機能だ。もし、リビング専用で、かつ衣類などの乾燥用途は一切使わないというのであれば、プラズマクラスターのファンでない限りは、あまりお勧めできない。
なお、本体パネルの「強」の部分のみに「衣類乾燥」と書かれているが、これはプラズマクラスターの除菌・脱臭効果が最も良く出て、メーカーとして効果が保証できるのが「強」ということ。ほかの運転でも発生するイオンの濃度は変わらないが、しっかりと除菌・脱臭したい場合は、「強」運転にするのが良いだろう。
■夏が終わっても部屋干しや脱臭に使える
最後に商品の豆知識をひとつ。メーカーによれば、このプラズマクラスター扇風機のイオン発生ユニットは、扇風機自体の寿命の目安である10年間は使えるとのこと。ユニットは交換できない仕様だが、それはそもそも交換する必要がないということだ。発生ユニットにホコリが溜まったら、付属の掃除ブラシで手入れしてあげよう。
扇風機を人間だけではなく、衣類などの乾燥や除菌・脱臭に使うのであれば、このプラズマクラスター扇風機はお勧めできる。夏の季節が過ぎた後でも、部屋干しやニオイ取りなどで活躍してくれることだろう。
2011年7月29日 00:00