家電製品ミニレビュー

ダイキン「光クリエール ACM75J-W」

~インフルエンザ対策を兼ねて導入した、手軽な空気清浄機
by 伊達 浩二

花粉対策からインフルエンザ対策へ

ダイキン「光クリエール ACM75J-W」

 自分の部屋の空気清浄機を買い換えることにした。

 これまでも空気清浄機は置いていたのだが、ごく普通の、空気を吸い込んで、何段階かのフィルタで漉して吐き出すという基本に忠実な製品だった。

 それが物足りなく感じて来たのは、「インフルエンザ対策」を考えてのことだ。これまで空気清浄機は花粉対策製品という性格が強かったが、去年の秋頃からは新型インフルエンザ対策製品に変わってきている。メーカー自身も殺菌効果やインフルエンザウイルスの分解効果を謳うようになった。もちろん、空気清浄機だけでインフルエンザ対策ができるわけではないが、無いよりは有った方が良いと思うし、多少は安心感が持てるというものだ。

 空気清浄機のインフルエンザ対策には2つのタイプがある。1つは、シャープ、パナソニック、三洋電機などの放出系で、空気清浄機本体からイオンや微粒の水分を放出し、ウイルスを無効化する。もう1つは、ダイキン、富士通ゼネラルなどの吸引系で、空気清浄機に取り込んだ空気に放電などを加えウイルスを分解する。放出系、吸引系という用語は、勝手に付けた用語だが、だいたいそんな構造だと思ってほしい。

 いずれの方式も、研究機関などに委託して、ウイルスや殺菌などへの有効性を実証している。実環境と実験環境の違いをうんぬんする人もいるが、マイナスイオン騒ぎのときのように検証が伴わなかった頃にくらべれば前進と言えるだろう。

 各方式とも、年々、磨きがかかっているのだが、今回は安く抑えたかったので、ちょうど新製品と入れ替わる時期にある2008年モデルを中心に探した。在庫は限られているが、残っていればかなり安くなっているからだ。

 結局、選んだのが、今回レポートするダイキン「光クリエール ACM75J-W」という製品だ。2008年の秋に登場した製品で、当初は3万円台中盤だったのが、今では2万円台前半まで下がっている。一時は2万円を切るショップもあったようだ。この製品はもともとは住宅設備用として販売されているモデルで、一般の家電ルートとは、製品や販売店が異なるようだ。ただし、インターネット上では、ルートに関係なく購入できる。


メーカーダイキン
製品名光クリエール ACM75J-W
希望小売価格78,750円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格22,800円


 光クリエールは、さっきの分類で言えば取り込み系になる。さすがにこの値段では加湿タイプは無理だった。冬はスチーム式の加湿器を併用するつもりだ。

しっかりとした構造と大きなボディ

 到着した光クリエールの箱は、かなり大きかった。ウチの家人がようやくぶら下げて歩けるぐらいだ。梱包時の重量も11kgあるが、箱が大きいので、かえって軽く感じる。

本体パッケージ。家人がようやく持ち上げることができるほど大きい本体側面本体上部

 とりあえず、箱から取り出してみると、家人の腰近くまで高さがある。高さは約58cm、幅が約40cm、奥行きが約24cmだ。以前設置していた三菱MA-837も大きい部類だったが、ほとんど変わらない。意外と場所をとるので、購入の前に設置場所を考えておいた方が良い。

 ただし、本体のデザインは、左右に曲面を取り入れたり、本体上部を後ろに傾けるなど工夫されており、四角いデザインだったMA-837ほどの圧迫感はない。

本体上端は、後に反っており、圧迫感を与えないようにデザインされている。右手にあるのはリモコンの固定用スロット本体の両側にある空気取り入れ口も十分に大きい手提げは本体の裏側中央に3つ用意されている

 さっそく使う準備を始めよう。この製品では、電源を入れる前に「空清フィルター」というプリーツ状のフィルターをフレームに取り付ける必要がある。フィルターは布状で、伸ばしながら、フレームにはめていく。最近の他社製品ではフィルターは板状になっていて、こういう手間がかからないものが多いので、やや面倒に感じる。

 なぜ、こうなっているかというと、交換用の空清フィルターを本体内に6枚も内蔵しているからだ。つまり、交換用のフィルターを、折りたたんだ状態でたくさん内蔵して付属することで、きちんとフィルターを交換した状態で使い続けて欲しいという方針なのだろう。箱に同梱するのではなく、わざわざ本体内に内蔵しているのは、保管が長期に渡るので紛失を怖れているのだと思う。用意周到という感じだ。ただし、最初の1枚があらかじめセットされていて、すぐに電源を入れられるようになっていれば、さらに良かったと思う。

表面がプリーツ状になった空清フィルター空清フィルターを取り付けているところ。フィルタの穴にフレームのピンを挿していく空清フィルターを本体にセットしたところ

 取り付けのときに分かったのだが、フィルターの面積は広く、その奥にある送風ファンも大きい。空気清浄機の基本である、大量の空気を取り入れ、きちんとフィルターを通して排出するという機能を重視していることがよくわかる。本体の大きさが大きめになるのも納得でき、頼もしく感じるようになった。

本体には交換用の空清フィルターが6枚も内蔵されているフィルターを全て取り外した状態。フファンの大きさが目をひくはずしたフロントパネル。下が手前となるが大きな空気取り入れ口がわかる

リモコン付属で機能も豊富

付属のリモコン

 電源スイッチを入れる。最初は自動運転になる。部屋の空気は汚れていないようで、「しずか」で運転される。この状態だとほとんど音がしない。大きいファンがゆっくり回っているので、静かなのだろう。

 付属のリモコンを使って、手動で風量を、「しずか」→「弱」→「標準」→「強」と上げていく。強にすると、さすがファンの音が気になる。ふだんは、標準であれば気にならない、就寝時でも弱までは使えそうだ。

 自動運転時は、本体前面にある「ホコリ」と「ニオイ」のセンサーによって、風量を調整しているが、だいたい「しずか」になっている。

 リモコンには、「ターボ」「花粉」というボタンもある。ターボは、7.5立方m/分という最大風力でぶん回す。ファンの音も大きくなるのだが、ボタンを押したとたんに「ヒューイ、ヒューイ」という電子音とともにLEDが流れるように点滅して、雰囲気を盛り上げてくれる。こういう遊び感覚は楽しい。「花粉」モードは風量を5分ごとに切り替えることで、花粉を取りやすくすると説明されている。


ターボモードと他のモードの運転音の違い

 とりあえず、ターボは部屋の掃除時や、夜に自宅に帰った直後に使っている。一方、花粉は、風速が切り替わる際に、音が耳についてしまうので使っていない。人間の耳は、一定して鳴り続けている音には慣れてしまうが、その音が変化すると、新しい刺激として捉えてしまう。特に、風速が強い方に変わったときは気になりやすいものだ。

 結局、ふだんは「自動」にしておき、積極的に空気をきれいにしたいときは「ターボ」という使い方に落ち着いた。

 とても気に入っているのが「表示調整」ボタンだ。これを押すと、本体のLEDの明るさを段階的に落とし、一部のLEDは消灯までしてくれる。常夜灯を使わず、真っ暗な部屋で無いと眠れない私には、ありがたい機能だ。できれば、全LEDを消灯するモードもつけて欲しかった。


照度調整モード

 リモコン単体でかけられるチャイルドロックも備えられており、かなり多機能で使いでのあるリモコンだ。

別の場所も脱臭できる「ニオイとる~ぷ」

ニオイとる~ぷと、それを再生するストリーマポケット

 光クリエールのもう1つの特徴が「ニオイとる~ぷ」という脱臭カートリッジだ。

 これは、光触媒(チタンアパタイト)と活性炭が入った手のひらに載るほどのカートリッジで、ニオイを吸着する。使える期間は2カ月ぐらいで、対応面積は約1畳ほどだ。

 光クリエールの本体には、このカートリッジ専用のポケットが用意されており、ここに入れることで、自動的に再生ができる。再生回数は約200回とされているので、充分だろう。

 ニオイとる~ぷ自体は、単なる脱臭剤だが、その再生を空気清浄機を使うことで簡単に行なうというところが、アイデアのキモだ。

 用途としては、冷蔵庫やタンス、下駄箱などに向いている。とりあえず、クローゼットで試した限りでは、レザー用品などのニオイに対して2日ほどで効果があった。

 空気清浄機本体から見れば本来の機能ではないが、アイデア商品的なアクセサリーとして面白いと思う。ただし、ニオイとる~ぷを何カ所かで活用するために、追加で購入しようとすると1個2,000円近くする。お買い得な2~3個入りのセットでも1個当たり1,600円前後する。これでは普通の脱臭剤で我慢してしまおうという気になってしまうので、もう少し価格設定を考えて欲しい。

ウイルス対策効果はわからないが脱臭効果は顕著

本体サイズはやや大きいものの効果がはっきりと感じられるので満足している

 光クリエールを部屋に設置して、数週間使ってみたが、十分に満足している。

 この製品では、リモコンと本体ボタンの組み合わせで、ホコリセンサーの感度を3段階に調整できるので、感度を上げてみたが、自動運転では、ほとんど「しずか」か「標準」で運転している。「強」になったのは、ベッドのシーツを交換したときに、ホコリが舞ったときぐらいだ。

 インフルエンザウイルスへの効果は体感できないのだが、脱臭力の強さは体感できる。以前にくらべても、寝具や家具が原因と思われる、その部屋独自のニオイが感じられなくなっている。他社製品によくある活性炭入りの脱臭フィルタを使わずに、これだけの脱臭力がある機構が働いているのであれば、殺菌効果にも期待したいなる。

 今回、この製品を選んだのはストリーマ機能によるインフルエンザ対策が目的で、本体の仕様などはあまり気にしていなかった。しかし、実際に買ってみてわかったのは、空気清浄機の基本であるたくさんの空気を吸い込み、きちんときれいにして吐き出すという仕組みがきちんとした製品であることだ。

 筐体の大きさには、ちょっと驚いたが、ファンが大きいことにより低速回転時の静かさが保たれているし、必要な場合は強い風を起こすこともできる。リモコンの標準装備や、予備フィルタが6枚も本体に内蔵されていることも評価したい。

 放出系の空気清浄機がブームになっている時期なので、そっちが気になる人には向かないが、質実剛健で実力のある空気清浄機を、ほどほどの価格で手に入れたいという人には向いている製品だ。購入する場合は、設置場所を確認することと、冬期は加湿器を併用することをお勧めしたい。





2009年10月22日 00:00