家電製品ミニレビュー

デロンギ「kMix ポップアップトースター」

~焼き色が見えるトースターで、喫茶店風のパンを味わう
by 正藤 慶一
デロンギ「kMix ポップアップトースター TTM020J」

 ごはんと並ぶ朝食の定番品「食パン」をおいしく食べるのに、欠かせない家電ジャンルがある。それが、「ポップアップトースター」だ。

 ポップアップトースターは、パンを機器の中に投入し、焼き上がればガチャンと取り出してくれる、食パンを焼くための調理家電。投入するだけで、外側をカリッとキツネ色に焼きあげ、中までじっくり熱を通してふんわりとトーストしてくれる、手軽さとおいしさが魅力だ。芳ばしい香りが部屋に広がるのもまたたまらない。

 国内の大手家電メーカーでは、現在はほとんど扱われていないが、“トースト文化”が深く根付いている欧州の家電メーカーからは、コンスタントに新製品が投入されている。

 今回は、そんな海外家電メーカーの新しいポップアップトースターとして、デロンギの「kMix ポップアップトースター TTM020J」を紹介しよう。


メーカーデロンギ
製品名kMix ポップアップトースター
品番TTM020J
希望小売価格12,600円
購入店舗Amazon.co.jp
購入価格8,510円

 この商品の特徴は、トースト中にも焼き目を確かめられる「焼き目チェック機能」を搭載している点。普通のポップアップトースターなら、焼き目を確かめるには、一度トーストをキャンセルしなければいけないが、これはトースト中にレバーを持ち上げるだけで、“焼けてるかな”と簡単に確認できるのだ。

 まずは本体から見ていこう。サイズは160×270×185mm(幅×奥行き×高さ)で、ポップアップトースターとしては並みの大きさ。食パンを投入するスリットは2口用意されており、いずれも5~10枚切に対応する。説明書によれば、横が約130mm、縦が125mmまでで、厚みが約12~24mmまでのトーストが大丈夫らしい。消費電力は900W、重量は2kg。投入口にかぶせてホコリが溜まるのを防ぐカバーも付属する。

本体正面。運転をスタートするレバーと、焼き色調節用のダイヤルが用意されている側面は赤一色。シリーズ名の「kMix」というロゴが刻まれている。このほか、ホワイトカラーも用意されている食パンの投入口は2つ。5~10枚切に対応する

 カラーはメタリックなボディに赤という組み合わせだが、深みのある赤のため、派手さはあまり感じられず、むしろシンプルで落ち着いた感じを受ける。角を丸めた、柔らかなデザインも好印象だ。なお、本体サイドに彫られている「kMix」というロゴは、同社の新しい新生活者向けシリーズのこと。

 トーストをする前に、焼き目が加減できるダイヤルを調節しよう。ダイヤルは1~5まで番号が振られており、数字が高ければ高いほど、焼き色が濃くなる。無段階調節にも対応しており、例えば「2」と「3」の間に設定するといった微妙な調節も可能だ。5のさらに上には、「*」というマークが用意されているが、これは冷凍した食パンを直接投入して焼くためのものとなる。

 それでは、トーストをスタート。食パンを本体上部のスリットに投入し、レバーを下ろして運転が開始される。焼き色は「2」と「3」の間に設定しておいた。運転中は、ダイヤル中央の「△」マークが赤く光る。この△部分は強制キャンセルボタンで、押せばすぐにトーストが上に持ち上がり、運転がOFFになる。

焼き色調節用のダイヤル。中央の三角マークはトーストのキャンセルボタン電源を入れると、中央の三角マーク部分が赤く点灯する

 トースト中、前述の焼き目チェック機能が役に立った。私は以前ポップアップトースターを使っていたのだが、なかなか慣れず、パンを焦がしてしまったことが何度もあった。しかし、この機能があれば、逐一確認できるので、焦がす恐れがない。持ち上げた後もレバーを戻せば、何事もなかったかのように、トーストが再開されるのだ。

 スタートから約2分後に完了し、「スッ」という小さめの音とともにトーストがポップアップされる。しっかりと焼き目が付いたこんがりキツネ色のトーストは、まるで喫茶店のモーニングセットで提供されるような焼き上がり。サックリとした外側に、ふんわりとした中身の食感という、ポップアップトースターならではのおいしさが味わえた。部屋も芳ばしい香りで満たされている。空気清浄機のニオイセンサーが反応し、強運転に切り替わってしまったが、これも香りが立っている証拠だろう。

食パンを入れ、中央のレバーを下ろせば、運転がスタートトースト中は、レバーを上げることで焼き色を確認できる。戻せば運転が再開されるできあがり。外はサクサク、中はふわふわですごくおいしい!

 何度か焼いてみてわかったのだが、パンの厚さや投入枚数が変わっても、焼き色があまり変わらない点が良かった。安い製品だと、パンが薄いと過剰に焦げ目が付く、2枚で焼くと1枚だけの時よりも焼けてない、表は大丈夫だけど裏だけが焦げている、なんてこともあったりするのだが、本製品では厚さ、枚数が違っても大きな差が出なかった。つまり、コンスタントに良い加減で焼いてくれるのだ。いろいろな厚さを試してみたが、ダイヤルを目盛り「3」~「4」の間、気持ち3に寄り気味に設定すれば、ちょうど良い塩梅で焼けるようだ。

 ちなみに、本製品は説明書によれば4枚以下は投入できないとのことだったが、4枚切りの食パン(Pascoの「超熟」)を入れてみたところ、問題なく焼き上げられた。投入時に壁面に引っ掛かるようなところがあったが、焼きあがりのポップアップも問題なかった。正規の使い方ではないが、一応できたということは記しておきたい。また、ちょっと厚めの「ダブルソフト 6枚切り(山崎製パン)」も大丈夫だった。

 マイナス面としては、イギリスパンのような長めのトーストが焼けない点。あとは、これは根本的な話になってしまうが、わざわざ汎用性の低い食パン専用の機器を買うか、という点か。

パンの表裏で焼き色にほとんど差がない。写真はヤマザキの「ダブルソフト」を、2枚いっぺんに焼いたものこちらは我が家に昔からある安物のトースターで焼いたもの(Pascoの「超熟」)。表裏で焼き色にかなりの差がある
説明書には5枚までとあったが、4枚切りも問題なく焼くことができた(Pascoの「超熟」)イギリスパンのような縦長のパンは一応投入できるが、トースターからはみ出た部分はうまく焼けない

 ただ、本音を言うと「それでも、やっぱり買ってよかったな」だ。何しろ、トーストを差し入れてちょっと待つだけで、喫茶店のようなサクサクの焼きたてトーストが食べられる。さらに焼き目チェック機能を使えば、焦がさずに自分の望みどおりの色に作れる。オマケに、おしゃれな本体は、殺伐とした家のインテリアにもなってくれるのだ。

 実を言うと、私は近所の喫茶店に行ってトーストとコーヒーをいただくのが習慣になっていたのだが、これを買ってからは、近所で安く買ったトーストを自分で焼いて、コーヒーを淹れて……と、家が喫茶店代わりだ。喫茶店で使うお金を考えれば、十分に元が取れる投資と思っている。

 トースト以外は焼けないが、それだけに限って言えば一級品。“そういえば、最近おいしいトーストを食べていないな”、“家で寛げていないな”という人にぜひお勧めしたい。サックリとしたトーストを一口食べれば、ポップアップトースターの良さが分かっていただけるはずである。

「おいしいパンとコーヒーがあれば、そこが喫茶店だぜ!」といい気になって毎朝自宅で味わっていますパンくずは底のトレーに落ちる。手入れはこれを捨てるのと天面を拭くくらいで良いのは便利




2010年9月14日 00:00