趣味の節電道入門
第12回:ベランダの「ビオトープ」で涼めるか?
by 小口 覺(2014/7/9 07:00)
夏でも涼しく過ごすための風習に「打ち水」がある。周囲の気温を2℃下げられるというデータが広く流通しており、ヒートアイランド対策として、東京都で一斉に打ち水をするイベントも開催されている興味のある方は、「打ち水強化月間」(2014年は7月23日~8月23日)のサイトを見ていただくとして、ベランダへの打ち水も一定の効果がある。ポイントは、朝夕の比較的涼しい時間帯に、日陰に水をまくことのようだ。
今年は、ベランダへの打ち水を一歩進めて、ビオトープを作ろうと思い立った。ビオトープとは、動植物の生息空間を意味するが、日本ではスイレンやメダカといった水生植物・動物を育てることがビオトープとして広く認識されている。
ベランダや玄関先など、比較的狭い空間でもビオトープは作ることが可能だ。水中の微生物をメダカが食べる、メダカの糞が微生物や植物の養分となる、さらにビオトープの動植物を目当てに虫や鳥などがやってくる、という生態系を身近に感じられる園芸的な楽しみに加えて、打ち水的な効果も期待できるのではないだろうか。これは、やるしかない。
郊外のホームセンターに出かけたら、なんとメダカを中心にビオトープ関連の販売に大きなスペースを取ってあった。やはり流行ってるのか、ビオトープ。購入したのは次の物たちだ。
・メダカ鉢(購入価格2,570円)
ポリプロピレン製で、直径55cm、深さ20cmほどのもの。容量は約23L。陶器の鉢より安く、軽いので移動しやすい。プランター(水抜き穴をふさぐ栓のあるもの)でも代用できる。
・メダカ(10匹250円)
金魚や鯉と同様、メダカにも多くの品種があるが、最も安いノーマルタイプ(? )を購入。ビオトープにおいて貴賤なし。
・ホテイ草(98円×2つ)、マツモ(2本450円)
ホテイ草(ホテイアオイ)は、繁殖力の強い浮き草。株によっては淡い紫色の花を咲かせることから、ウォーターヒヤシンスの名も持つ。マツモは、水中を漂うタイプの浮き草。根無し草とも呼ばれ、微妙な親近感を覚えるが、繁殖も容易で水の浄化能力も高いらしい。メダカにとっては産卵場所になる。
まずは入門ということで、ここから。趣という意味で、スイレンかハス(蓮)も欲しかったのだが、お店の方から「スイレンなどは肥料が必要で、それがメダカに悪影響を与える」とのご意見をいただく。いずれ別の容器で作ることにしたい。
ベランダビオトープの理想と現実
というわけで、ベランダにビオトープを作ったわけだが、小学生でも昔からやっていたレベルで、何か申し訳ない気もしてきた。それに、自然界のビオトープに比べるとはるかに規模が小さく、それゆえに維持も難しい(水草ですら冬を越せるか怪しい)。本来、ビオトープも園芸のように、手間と時間をかけて完成させていくべきものだろう。
とはいえ、ちょっとした節電でも脳内では大義の一部であるのと同様、極小のビオトープであっても大自然とのつながりはイメージできる。気分は大事。きっと園芸店で買ってきたハスでも、極楽浄土の気分が味わえるハス、じゃないハズだ。