ぷーこの家電日記

第373回

魚を捌くのはこの時代にピッタリの趣味

「落ち着いたら飲みに行こうねー」なぁんて言葉を何百回言っただろうか。とこの頃思う。去年の年明けの頃に初めて恐ろしいウイルスがやってきて、最初の頃は楽観視してたというか、「いやぁ怖いね、なんか怪しげだよね。ちょっと落ち着いてからにリスケしようか?」とか言っていたのに、落ち着くどころか一気に蔓延して、緊急事態宣言が発令されて、そしてそれからあっという間に1年経ってしまった。

「早く会いたいねぇ」「どこどこ行きたいねぇ」という言葉が、全然果たせる気がしない約束になっていて虚しい。帰省もしないまま1年半が経ってしまった。2度の緊急事態宣言の後のマンボー、「まん延防止等重点措置」だ。

もう少しでやってくるゴールデンウィークも、今年は完全に諦めた。寝正月ならぬ寝ゴールデンウィーク。もともと人間は先が見えないことに耐えられないようで、ちょっと先の楽しみを抱えながら現状を乗り切ったりする。仕事が忙しくても「次の休みには」って楽しみを抱えて乗り切ったり。

このコロナ禍でも「落ち着いたら」「来月には」「来年には」と、たくさんの楽しみを待つことで何とか乗り切ろうとしていたけれど、その楽しみが何度も何度もがっかりに変わって、1年以上経った今、もう世の中のフラストレーション溜まりまくりみたいな状態になっている気がする。

相手はウイルスで、ぶつけようが無いこの怒りの矛先が、別のところでバチバチしている感じが私には結構ストレスで、最低限のニュース以外はテレビでもネットでもコロナに関する情報が目に触れないようにしてからかなり快適になった。

情報の断捨離は割と簡単なのと、割とスッキリ度合いが高かったので、溢れかえる家の物も断捨離したら気持ちが良いのではないだろうか。と、ちょっと断捨離に興味が出てきた。でも、片付けや掃除が苦手な私は、「断捨離したいなー」とかって気持ちだけで先に進まず(笑)。情報断捨離ほどに簡単にはいかないようです。

かなりテレビっ子だった私は、このコロナ禍に入ってあまりテレビを見なくなった。コロナ関連のニュースだけじゃなくて、ドラマやバラエティ番組も見なくなった。きっと以前が情報過多だったのだろう。外出もあまりしない中、自分の目や耳から自然と入ってくる外からの情報がないだけに、テレビから入ってくる情報の刺激がちょっと強すぎて疲れるのだ。

そしてその時間は趣味に勤しんだほうがいい。家庭菜園、自転車、料理、この状況でも楽しめる趣味を持っている私はラッキーではある。家庭菜園も自転車も密にならず楽しめるし、料理もコロナ禍と非常に親和性が高い。

巣ごもりで家食が増えたからというだけではなく、このコロナ禍で、以前は飲食店にしか流通していなかったような食材が、家庭向けに流れてきたからである。それは生産や飲食業界的には決して喜ばしいことでは無いのだけれど、「えー! これが家で食べられるなんて!」と、個人的にはちょっと嬉しかったりする。

特に魚。高級魚ってほとんどが飲食店に出ていたはずだけれど、休業や営業時間の短縮で打撃を受けている飲食店の影響で、行き先がなくなった高級魚が個人向けに流通し始めた。その食材の生産者の方にはすごい打撃だし、市場で買い取られるはずだった値段が付かないような状況に大声では喜べないのだけれど、かなりお得な値段で買える魚はめちゃくちゃオススメの食材だ。

魚を捌くのも、「魚名 捌き方」というワードでインターネット検索すると、YouTube動画がたくさん出てくる。動画を見てチャレンジすると結構できちゃうもんだ。今年に入って、私は初めてヒラメを捌いた。お魚好きでここ数年でかなりの数のお魚を捌いてきたけれど、ヒラメの5枚おろしは初めてだった。

平たい魚は3枚おろしじゃなくて5枚おろしにするということを知ったのもこの頃だ。外食ではヒラメの薄造りが5枚程度で千円近くしていたと記憶しているけれど、家で捌くと数日ヒラメ食べ放題。ヒラメのエンガワなんて美味しくて小躍りしちゃう! お刺身をたっぷり食べて、昆布締めもこれでもかと食べて、アラもあら汁や煮付けなど、とにかく贅沢な数日だった。

1回カラオケに行ったくらいの値段で数日間お腹も心も満たしてくれる魚って、とっても安全で最高の遊びだ! 周囲から「魚捌いたことないしなぁ」ってときどき言われるけれど、まだかなり続きそうなこのコロナ禍に始める新しい趣味として「魚を捌く」なんていかがだろうか? と思うのであります(笑)。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。