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[二十四節気20]二十四節気で最初の「立春」は、暖かな春の始まり

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「大寒」の次は二十四節気の始まり「立春(りっしゅん)」です。今回は、昔から伝わる立春の習わしや、立春にまつわる食べ物や飲み物についてご紹介します。またお寺の門で見掛ける「立春大吉」のお札が貼られている理由についてもお伝えします。

 

二十四節気の始まり「立春」、寒さが和らぎ春の気配も

立春は「二十四節気」の最初の節気で、冬の厳しい寒さがだんだんと和らぎ、少しずつ春の気配を感じられるようになる時季です。また、立春の初日は節分や彼岸など「雑節」を決める起算日にもなっています。2018年の立春は2月4日から次の節気「雨水」前日の2月18日まで続き、この日から立夏の前日までが春。「暦の上では春ですが」というフレーズをよく耳にするように、依然として寒さは厳しく雪が降る日もあります。これは、二十四節気が古代中国の内陸部で生まれたもので、日本とは気候が異なることが理由です。

 

「旧暦1月1日=立春」という誤解

二十四節気の最初ということもあり、立春の初日が旧暦の1月1日と誤解しがちですが、そういうルールではありません。日本で明治初期まで使われていた旧暦の太陽太陰暦は月の満ち欠けで日付を決めます。一方、「二十四節気」は太陽の動きで日付を決めたうえで、さらに四季を把握するために1年を24に分けたものです。月の満ち欠けと太陽の動きという別の基準で作られているため、旧暦と二十四節気の初日は必ずしも同じにはならないのです。とは言え、まれに同日になることもあり、前回は1994年、次回は2038年の予定で、「朔旦立春(さくたんりっしゅん)」と呼ばれ、珍しいので非常に縁起が良いとされています。

 

鬼が思わず勘違い?厄除け「立春大吉」の札

禅寺の門で見かける「立春大吉」というお札は、立春の早朝に貼る厄除けのお札です。立春大吉の文字は、縦書きにすると左右対称になり、さらにお札を裏返しても立春大吉と読めます。季節の変わり目に来て病気や災いをもたらす鬼が寺に入っても、振り返って「立春大吉」のお札を見付けると、まだ入っていない家があると勘違いして門を出て行き、厄が寄り付かないと言われています。お札は一般家庭でも有効だそうで、禅寺で配ってくれるもの以外に自筆のお札でも良いのだそう。貼るのは、玄関の外ならドアへ向かって右上、玄関内側なら目線より上で目に付きやすい場所とされ、家の鬼門(北東)に貼ることも。立春の早朝かその日のうちに貼り、1年中貼っておきます。

 

「立春」にまつわる縁起の良い食べ物、飲み物

節分の厄除けとしてお馴染みの「豆まき」ですが、節分と立春の2日間、白い豆腐を食べるという習わしがあります。節分に豆腐を食べると罪や穢れを払うことができ、立春に豆腐を食べると清めた体に幸せが届くと言われます。

 

立春にまつわる縁起の良い食べ物に、邪気を払うと言われる小豆を使った「大福」があります。神田の和菓子屋「庄之助」は、春の七草を練り込んだ皮で餡をつつんだ「立春大福」を、伊勢の老舗和菓子屋「赤福」は、「豆まき」に使われる黒大豆と大豆を使った2種類の豆大福「立春大吉餅」を販売しています。

 

また近ごろは、立春当日の早朝に搾ったばかりの日本酒をその日のうちに出荷する「立春朝搾り」という日本酒も縁起物として人気で、1998年から日本名門酒会によって毎年実施されています。

 

降っていた雪も雨に変わり始める時季、次は「雨水」

春の本格的な訪れはまだ先になりますが、立春の次は、空から降っていた雪が雨に変わり、大地を覆っていた氷も解け始める「雨水(うすい)」という節気に入ります。次回は、「雨水」の由来やこの時季ならではの暮らしの知恵と、3月3日の「雛祭り」にまつわるトリビアをご紹介します。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。