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[二十四節気17]1年で最も日が短い「冬至」、陰から陽へ1年の幕開け

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「大雪」の次は北半球で最も昼の時間が短い日から始まる「冬至(とうじ)」です。今回は、「一陽来復」とも呼ばれる冬至に行なわれてきた習わしもご紹介します。冬至と聞いて思い浮かべるのはユズ湯やカボチャですが、その理由を気にしていなかった人もいるのでは?由来を知ると、昔の人の知恵と遊び心に、思わず感心してしまうはずです。

 

北半球で最も昼が短い「冬至」の日から始まる節気

「冬至」は、北半球で1年のうち最も昼の時間が短く、太陽が低い日。この日から始まる節気も同じく「冬至」と呼ばれます。2017年は12月22日が冬至にあたり、東京では日の出が6:47、日の入りが16:32、日中時間は9時間45分です。1年で最も昼の時間が長い夏至の日中時間は、今年の2017年6月21日で14時間35分だったので、冬至と夏至には約5時間もの差があります。古代中国の占いの書「易経」では、冬至を境に昼の時間が長くなるため「陰が極まって陽が生ずる」日とされることから、この日は「一陽来復(いちようらいふく)」とも言われています。二十四節気の冬至は、この冬至の日から次の節気の前日まで約2週間続きます。

 

「一陽来復」のお守りで、金運UP&商売繁盛

東京の早稲田にある「穴八幡宮」では、「一陽来復」と書かれたお守りやお札を求める人で、冬至の朝早くから長蛇の列ができます。一陽来復の「陰が極まり陽が生じる」という意味から、「凶事が終わって吉事が訪れる」という縁起を担ぎ、その年の恵方(良い方角)の高い場所へお守りとお札を祀ると金運UPや商売繁盛につながるとされています。江戸時代から続く「一陽来復」のお守りとお札の授与は、冬至の早朝5時から2月3日の節分まで続きます。

 

ユズ湯でぽかぽか風邪予防、香りを楽しんでリラックス

冬至の習慣として多くの人によく知られる、ユズを浮かべた湯船に浸かる「ユズ湯」は、江戸時代ごろから始まりました。ユズのアロマ効果で血行が促進され冷えを緩和してくれるので、寒い冬でもユズ湯に入れば風邪を引きにくいとされています。ユズの香りはリラックス効果が期待されるうえ、冬至のころ旬を迎えるユズの強い香りが邪気を払うとも考えられてきました。また、「ユズ=『融通』が利く」「冬至=『湯治』」から、「冬の健康に融通が利く湯治」という語呂合わせもあって、縁起が良いと言われています。

 

冬至には、名前に「ん」が2つ入った食べ物で「運」を呼ぶ

日本では「一陽来復」にちなみ、陰から陽へ転じて運が回復することを願った「運盛り(うんもり)」という縁起担ぎの風習があります。これは、「ん=運」が2つ重なった縁起の良い食材を食べて運を上昇させるというもので、ニンジン、ダイコン、レンコン、ギンナン、キンカンなどが食べられてきました。冬至にカボチャを煮て食べるのも「運盛り」の1つで、別名「南瓜(なんきん)」とも呼ばれることに由来しています。また、小豆の赤色が邪気を祓うとされ、小豆とカボチャを煮て食べる地方もあります。

 

冬至を過ぎ、寒さが一層厳しくなる「小寒」

冬至を過ぎると、日に日に昼の時間は長くなりますが、寒さはここから厳しさを増していきます。次の節気「小寒」では、「寒の入り」や「寒の内」といった「寒」が付く言葉の意味や、「春の七草」「松の内」「鏡開き」「小正月」など小寒の時期にまつわる風習について紹介します。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。