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【二十四節気15】雪が降り初める「小雪」は「木守り」で秋を惜しもう

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」のなかで「立冬」の次は、雪の便りが聞こえ始める「小雪(しょうせつ)」です。今回は、その由来や、この時季に旬を迎えるダイコンについて紹介します。ピリッとした冷たい風に冬の訪れを感じ、枯れ枝のなかに1つだけ実が残っている柿の木を見て、去り行く秋を思う、寂しくも美しい季節です。

 

イチョウの葉のじゅうたんが広がり、雪が降り始める「小雪」

遠くの山に雪が積もり初める11月上旬が、二十四節気の「小雪(しょうせつ)」です。「雪は降るけれど、たくさんというわけではない」、という意味で「小」という字が使われています。この時季はいよいよ秋も深まり、木枯らしが吹いてイチョウの葉が舞い、地面には金色のじゅうたんが広がって、柑橘類の実が黄色くなってきます。2017年の小雪は11月22日から、次の節気である「大雪」が始まる12月7日の前日まで続きます。

 

もともと秋の収穫を感謝する日だった「勤労感謝の日」

小雪に入ってすぐの11月23日は「勤労感謝の日」です。「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」ために、戦後すぐの1948年に祝日となりました。それより前、この日は「新嘗祭(にいなめさい)」と呼ばれていました。新嘗祭は、五穀の収穫を祝う古代の風習に由来し、飛鳥時代に収穫物に感謝する祭りとして始まったと言われています。旧暦の時代は、11月の2回目の「卯の日」に行なわれていましたが、太陽暦を採用した明治時代の1873年、11月の2回目の卯の日がたまたま11月23日だったので、以来11月23日が正式な新嘗祭となったのです。そして終戦後は「勤労感謝の日」へと変遷しましたが、この祝日には「収穫への感謝」という農作業の影響が残っているのですね。

 

小雪には、葉っぱも皮も丸ごと!ダイコンを食べよう

小雪に旬を迎える冬野菜の代表と言えば「ダイコン」。消化酵素「ジアスターゼ」が含まれているので、消化を良くする働きがあります。白い根のうち、葉に近い方は甘味が強いので、大根おろしやサラダに最適。真ん中は、甘味と辛味のバランスが良くみずみずしい部分で、サラダ、なます、ふろふき、煮物などに幅広く使えます。先端は辛味が増すので、細かく刻んで味噌汁や炒め物にするのがおすすめ。葉は細かく刻んで、油でカリカリに炒めてふりかけに。硬い皮は細切りのキンピラにすると、作り置きおかずとして便利ですよ。ダイコンは、丸ごと1本美味しくいただける優秀な野菜です。

 

木枯らしに揺れる柿1つ、「木守り」とは?

木枯らしに吹かれ、葉も枯れ落ちた木にポツンと残っている秋の果実を見掛けことはありませんか。実はこれ、実を採り忘れたのではないのです。わざと実を1つだけ残すこの習慣は「木守り」と言い、来年もたくさん実がなることを祈って、最後の実を残しておくものなのです。季節の名残りを惜しむ風流な習わしですね。小雪の時期に柿やリンゴ、みかんなどの木で見られます。

 

小雪の次は、雪が激しく降り始める「大雪」

小雪が終わり、雪もだんだん激しく降るようになると、次の節気「大雪」に入ります。次回は、「大雪」の由来や旬を迎える「ハクサイ」のトリビア、そろそろ始めておきたい「年越し準備」についてご紹介します。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。