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「番手」って何のこと?知っておくと役立つ「ミシン糸・手縫い糸」の知識

手芸をするときに欠かせない「糸」は、色だけでなく「太さ」や「素材」もさまざまです。今回は、糸の太さを表す単位「番手」のお話や、糸の太さや素材別に適した用途など、「縫い糸の豆知識」をご紹介します。何気なく使っている糸も、太さや素材によって使い分けると、縫いやすいだけでなく、作品も美しく仕上がりますよ。

 

「ミシン糸」「手縫い糸」の違い

糸は、よく見ると分かりますが、細い糸を何本か撚り合わせて1本の糸にしてあります。ミシン糸と手縫い糸では、この撚り合わせの「方向」が違います。ミシン縫いも手縫いも、縫っているうちに糸がねじれ、切れたり絡まったりしやすくなるので、それを防ぐために、ミシン糸はミシンの構造に合わせて「左撚り」、手縫い糸は手縫いの動きに合わせて「右撚り」となっています。

 

手縫い糸をミシン縫いに使うと、撚りが反対方向のため、糸が切れたり絡まったりして故障の原因になることがあります。反対に、ミシン糸を手縫いに使うのはOKですが、撚りが逆方向なので、短めに切って使った方が絡まりにくくなります。また、ミシン糸のような糸巻きに巻いてある「手縫い糸」もあるので注意しましょう。

 

糸の太さの単位「番手」の意味

糸の太さの目安を表す「20番手」「30番手」などの言葉を聞いたことはありませんか?この「番手」は、糸の「一定の重さあたりの長さ」を表します。数字が小さい方が、糸が太いことになりますね。日本ではJIS規格で表示が定められており、重さや長さの基準は糸の素材によって異なります。写真のミシン糸では、糸巻きに書かれている「#」の後ろの数字が番手を表し、左から太い順に#20、#30、#60、#90と並んでいます。

 

糸の「太さ」によって適した用途

薄地には細い糸、厚地には太い糸を使うのが一般的です。ミシン糸の場合は、本縫いの糸には「60番手」の糸が最も多く使われますが、シフォンやオーガンジーなどの薄地には、細い「90番手」を使うと縫い目が目立たず美しく仕上がります。また、デニムのような厚地にステッチをする場合は、「20~30番手」など太めの糸を使うと、縫い目が生地に負けないので、丈夫に美しく仕上がりますよ(写真のステッチの右側が20番手)。

 

手縫い用の木綿糸は「20番手」を「太口」、「30番手」を「細口」と呼ぶことが多いようです。ボタン付けなどには太口、繕いものなどには細口を使うといいでしょう。合繊の手縫い糸では50番手の商品が多く、スカートの裾まつりなどに適しています。

 

糸の「素材」によって適した用途

ミシン糸に多い「ポリエステル」などの合成繊維は、経年劣化が少なく、とても丈夫で発色もいいので、洋服や小物などさまざまなものを縫うのに向いています。

 

「綿」100%の糸は、濡らすと縮むことがあるので、同じ綿100%の布を縫うのに適しています。赤ちゃんの布オムツや肌着などを縫ってあげるのもいいですね。また、「絹」の糸は動物性繊維なので、長い年月のうちに変色や劣化が見られますが、同じ動物性繊維のシルクやウールなどの布との相性が良く、きれいに馴染みますよ。

 

まとめ

以前、厚手デニム地のズボンを縫うのに60番手の糸を使ったら、ちょっとみすぼらしい仕上がりになってしまったり、薄手の布をストールにしようと布端を60番手の糸でかがったら、糸が目立ってゴワついてしまいました。木綿のサラシでベビー肌着を縫ったときは、木綿の糸を使うと見た目や肌触りが布とよく合っていました。買うときはつい「色」を中心に見てしまいがちですが、糸の「太さ」や「素材」も、布や用途に合わせて選ぶと、まるで既製品のようにきれいな作品になります。糸を選ぶときは、ぜひ太さや素材などの表示にも気を留めてみてくださいね。

 

 

nontroppo

ライフオーガナイザー。ズボラでも簡単にすっきり暮らすための収納や、生活の仕組み作りを模索中。
料理、お菓子作りのほかに、洋服やインテリア小物なども手作りするのが好きです。
高校生の息子の母です。