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【二十四節気4】麦の刈り入れと稲作の始まり「芒種」、6月上旬から

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、草木の生命力が満ちる「小満」の次は、麦の刈り入れや稲作が始まる「芒種(ぼうしゅ)」です。今回は、「芒種」の意味や、この時季に収穫期を迎える「梅」のトリビアをご紹介。この季節は、梅を使った梅酒や梅干しを作る「梅仕事」をする家庭が多いですね。今年はホームメイドの梅干しや梅ジュースを作ってみてはいかがでしょうか。

 

6/5に始まる「芒種」は、麦の刈り入れ、稲の田植えシーズン

「芒種」とは、稲や麦などの穂先のにある尖った毛「芒(のぎ)」があるタネを蒔く時季、という意味です。2017年は、6月5日から始まり6月20日までの16日間。この時季は秋に撒いた麦の刈り入れと、稲の田植えが重なり、農家にとっていよいよ忙しさが増すシーズンです。「芒種」の後半になると、湿気の多いジメジメとした「梅雨」に入ります。梅雨の由来には諸説ありますが、この時期に梅の実が大きく膨らみ青色から黄色へ色付くため、恵みの雨という意味もあるそうです。

 

「梅仕事」のシーズン到来、梅干しが普及したのは江戸時代

「芒種」の時季は、収穫された梅の実が出回り、青梅を使った梅酒や梅シロップ作り、黄色く熟した梅の実を使った梅干しや梅ジャム作りなど、梅の仕込みをする「梅仕事」の時季に当たります。梅は中国が原産で、梅干しはもともと梅酢を作った副産物だったそう。日本の梅干しは、鎌倉時代の武家社会ではのしアワビなどに添える縁起物として、戦国時代には食中毒予防の保存食として重宝されていたそう。現在のように一般の家庭で食卓に出されるようになったのは江戸時代と言われています。

 

梅にまつわる諺や言い伝え

古くから日本の生活に欠かせない梅は、「いい塩梅」「梅干しと友人は古いほうが良い」など、諺にも多く使われています。ここで、いくつかご紹介しましょう。

 

【梅に鶯】
調和して絵になる取り合わせや、仲の良い様子

 

【梅はその日の難逃れ】
朝、梅干しを食べると、その日は災難から逃れることができる

 

【梅根性に柿根性】
梅は、梅干しのほか煮ても焼いても酸っぱいことから、頑固な気質を梅根性と呼び、一方、柿は焼けばすぐに渋みが取れて、干せば一晩で甘くなるため、一見頑固そうでも変わりやすい気質を柿根性と呼ぶ

 

【梅木学問】
成長は早いものの大木にならない梅の木に例えて、にわか仕込みの不確かな学問のこと

 

「芒種」の次は、1年で最も日が長い「夏至」

「芒種」の次は、1年で最も昼が長く、最も夜の短い日から始まる「夏至」です。北欧やロシアなどでは「夏至祭」と言って、短い夏をお祝いして楽しむお祭りがあるのだそう。日本では、伊勢志摩の夫婦岩で夏至にまつわる祭事を行なわれるほか、伝統の行事食を食べる地域もあります。次回は、夏至の行事食として関西で広く食べられる「タコ」をクローズアップ。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。