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【二十四節気2】夏の始まり「立夏」、2017年は端午の節句の5/5から5/20
2017年 5月 2日 18:00
1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、雨が草木を潤す「穀雨(こくう)」の次は、新緑まぶしい「立夏(りっか)」です。今回は、「立夏」のもつ意味や、この期間にある「端午の節句」についてご紹介します。「端午の節句」の地域によって異なる風習や、進化型のこいのぼりもご紹介していきますね。ご主人や親せきの実家が遠方にある方は、覚えておくと行事で役立ちますよ。
「立夏」の意味は?時期はいつごろ?
「暦の上では春ですが」というお決まりのフレーズは、2月初旬、春の始まりを意味する「立春」を過ぎるころから耳にし始めますね。「立春」や「立夏」の「立」には、「立ち上がり」つまり「始まり」という意味があります。「立夏」は、春の盛りである「春分」と、夏の盛りである「夏至」のちょうど中間の時期で、2017年は5月5日から5月20日まで続きます。「立夏」は、5月5日か6日に始まることが多く、年によって4日や7日から始まることもあります。ちょうど農作業がスタートする時期で、このころから田植えのために田んぼへ水を張ったり、秋に収穫する作物の種まきが始まります。
季節の変わり目のお祓いが「端午の節句」の原型
端午の節句、由来についてはご存知でしょうか?かつて、日本の農村では田植えは女性の仕事で、また神事とされていたため、田植えをする若い女性(早乙女)は田植えの前夜に身を清める「五月忌み(さつきいみ)」という儀式を行なっていました。またこの時期は季節の変わり目で体調を崩しやすく、古代中国ではとりわけ5月5日には強い邪気があると考えられていたので、邪気を祓うため、菖蒲やヨモギで作った人形を飾ったり、「菖蒲酒」を飲む習わしがありました。この2つの文化が結びつき、「五月忌み(さつきいみ)」に、菖蒲を軒先に吊したり菖蒲湯に入る風習が生まれ、日本の端午の節句の原型になったと言われています。
鎌倉時代から男の子の節句に、「こいのぼり」は江戸時代に登場
鎌倉時代に入ると、端午の節句に使われる「菖蒲」と、武士を尊ぶという意味の「尚武(しょうぶ)」を掛けて、男の子の成長と一族繁栄を願う行事へ次第に変化していきます。そして江戸時代には、「端午の節句」に欠かせない「こいのぼり」が登場します。鯉が「竜門」を泳いで登って竜になったという中国の「登竜門」伝説にちなんで、子どもの立身出世を願い「こいのぼり」を立てるのが庶民の間で流行ったことが始まりだそう。最近は、岩手県北上市の「なまずのぼり」、茨城県茂木市の「あゆのぼり&うなぎのぼり」、高知県黒潮町の「カツオのぼり」、宮崎市の「くじらのぼり」などの、一風変わった「ご当地のぼり」も多く誕生しているので、ゴールデンウィークに訪れてもいいですね。
地方によって異なる、「端午の節句」にいただく和菓子
端午の節句のお祝いには、和菓子も欠かせませんね。関東では「柏餅」、関西では「ちまき」をいただくことが多いようです。「柏餅」は日本独自のお菓子で、柏は新芽が育つまで古い葉を残すことから、子孫繁栄の縁起物として考えられてきました。中のあんは、こしあんや粒あんのほか、味噌あんもあり、餅の皮もヨモギを練り込んでいるものなど種類はさまざま。西日本の1部の地域ではサルトリイバラの葉を巻く「いばら餅」もあります。
一方、ちまきは、中国の戦国時代の政治家で詩人だった「屈原(くつげん)」という人物が、5月5日に川に身を投げて命を絶った際に、人びとが弔いの意味を込めて笹を巻いた米飯を川に投げ入たことが由来と言われています。日本の端午の節句に食べるちまきは甘いものが多く、餅や団子を笹や茅萱(ちがや)で包み蒸したもののほか、長野県や岐阜県の朴葉(ほおば)で巻いた「朴葉巻き」、九州地方の灰汁(あく)に漬けた「あくまき」などもあります。
端午の節句での「菖蒲」は、お風呂だけじゃない!
端午の節句では、菖蒲の強い香りが邪気を払って病気や災厄を遠ざけると言われることから、古来からいろいろと使われてきました。現在もっとも一般的なのは、お風呂にお湯を張り根の付いた菖蒲の葉を浮かべる「菖蒲湯」ですが、そのほか、ヨモギと一緒に軒に差す「菖蒲葺き」、枕の下に敷いて眠る「菖蒲枕」、菖蒲の根を刻んでお酒に入れる「菖蒲酒」なども、お祓いのために行なわれてきた方法です。
「立夏」の次は、生命が天地に満ちあふれる「小満」
「立夏」を迎えたからといって、すぐに蒸し暑い夏が始まるわけではなく、しばらくの間は過ごしやすい良い気候が続きます。草木の芽がぐんぐん成長し、あらゆる生命に力が満ちてくる、次の二十四節気は5月下旬の「小満」です。次回は、初夏を詠んだ有名な句「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」にちなんで、この時期の鰹がおいしい秘密を探ります。お楽しみに!