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【ダウン症児と私25】新しい幼稚園、「友だちからの刺激」で変化が表れる

3歳の春、ユキトくんは2つ目の新しい幼稚園へ入園しました。今回は、新しい幼稚園でお友だちからの刺激を受け、ユキトくんに少しずつ変化が見えてきたころのお話を伺いました。新しい幼稚園では、きめ細やかな対応をしてもらえるようになり、ユキトくんにさまざまな成長が見られるようになったのでしす。

 

入園式に出席、2時間も自ら立とうと頑張ったユキトくん

Q.新しい幼稚園では、どんなクラスに入ったのですか?

A.新しい幼稚園では、週に2回母親と通う、母子通園の歩けない子のコースに通うことになりました。

 

Q.新しい幼稚園で、新しいお友だちに会ったときのユキトくんは、どんな様子でしたか?

A.入園式でたくさんのお友だちに会ったユキトは、とても興奮したからか、式の間中ずっと自分で立つ練習をしたのです。これが2時間も続いたので、本当にビックリしました。普段の運動訓練では、つかまり立ちの練習をサボってばかりだったユキトが、自分から2時間も立とうとしていたので、驚きと同時に、お友だちの重要性を感じました。

 

園の活動はゆっくりマイペース、食事にはまだ不安も

Q.新しい幼稚園に慣れるまで、心配ごとはありましたか? 

A.幼稚園に通い始めて、朝の会やリズム体操、活動などはマイペースで楽しんでいたのですが、やはり食事することが苦手なので、給食が心配でした。まず、みんなと同じ豆イスに座れるかどうかが心配だったので、家で普段使っているテーブル付きのイスを持っていきました。以前買った障害児のイスは、ユキトには小さくなっていたので、健常児用のテーブル付きのイスです。

 

Q.給食の時間に変化はありましたか?

A. 給食は柔らか食事を出してもらいました。ユキトはおかゆも口から出してしまう状態でしたので、先生に食事をすりこぎですり潰してもらいました。それでも最初は、まだ食べることはできず、口から出してしまっていました。また水分補給も苦手なので、給食後に哺乳瓶でミルクをあげていました。すると担任の先生から「幼稚園では、頑張ってスプーンやストローで水分補給の練習をしましょう。朝晩はミルクをあげてもいいので、幼稚園にはもう哺乳瓶を持ってこなくていいですよ」と言われたので、頑張って給食の牛乳を飲ませ、ミルクを持って行くのはやめました。

 

Q.哺乳瓶ではなく、スプーンやストローで水分を飲む訓練に不安はありましたか?

A.水分がきちんと取れず、水分不足にならないか不安でしたが、週に2回の幼稚園の給食だけは頑張って、ミルクなしで牛乳やお茶をスプーンやストローで飲む練習をしました。

 

先生の指導で少しずつチャレンジ

Q. ほかに、先生からアドバイスはありましたか?

A.イスについても「ユキトくんは、幼稚園の豆イスにも座れるようになっているので、家から持ってきていたイスは持って帰っていいですよ」と言われました。豆イスだと勝手に抜け出してしまって大変かなと思うと不安でしたが、担任の先生の言う通り、あっという間にきちんと座れるようになりました。

母である私が、「できない、できない」と決めつけてしまわずに、いろいろチャレンジしていくと、ちょっとずつだけど成長していくのが嬉しくなりました。牛乳やお茶は、まだスプーンやストローでうまく飲めずに不安になりますが、水分補給と食事以外の場面では、少しずつ成長が見られます。成長発達を細かく見てもらえる、この幼稚園に通えて良かったなと思いました。

 

ダウン症の基礎知識25:新しいことにチャレンジすることも大切

ダウン症児の家庭では、ナナさんのように「豆イスに座れない」「スプーンやストローでは飲めない」など、お母さんは子どもができないことに悩みながらも、実生活の作業などを補っていることが多いと思います。でも、子どもたちの成長を促すには、新しいことにチャレンジしたり、集団のなかに出て行くことも大切です。ダウン症の子どもは、自分の得意なことを見付けるのが苦手な面があるので、得意なこと、面白いことを見付けてあげるためにも、お友だちがいる場所に出かけたり、刺激を受ける環境に連れて行ってあげることも大切ですね。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。