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【マロンの見た男女の差20】姪がレズ!?親にカミングアウトした方がいい?
2017年 3月 21日 09:30
新宿2丁目Bar「まろん・ぐらっせ」のマロンよ。今回は、親にレズビアンであるとカミングアウトするかを悩む姪をもつ叔母さまからアドバイスをとのこと。この相談は答えがいろいろで、私のお店でもときどき話題になるわ。この答えって、実はゲイとレズビアンでも変わってくるのよ。ここにも「男女の差」が出てくるのかしらね。だから今回も私個人の考えを、また独断と偏見で答えさせてもらうわね。参考にしてちょうだい。
姪がレズビアン告白、両親に言った方がいいのかどうか…
Q.春から大学へ通うことになった姪から「実はレズなんだけど、親にこのまま隠していてよいか?」という相談を受けました。姪の母親が私の姉で、真面目を絵に書いたような人なので、姪がレズだなんて到底受け入れられるとは思えません。姪の父親は、姪の好きなように生きればいいと理解を示してくれるようには思いますが、姉は理解すらできないと思うので隠しておいていいと思いました。例えば、姪とパートナーとの結婚式に姉を呼びたいとか、パートナーができて養子を迎えるとかでも来ない限り、姉夫婦には黙っていたほうがよいと私は思っているのですが、どうでしょうか。アドバイスをお願いします。(栃木県・43歳・女性)
同性愛者への理解、受け入れるにも「男女の差」が…
本人のカミングアウトに関しては、男性の同性愛者(ゲイ)と、女性の同性愛者(レズビアン)でも考え方が少し違うように思えるのだけど、受け入れる方も男性と女性では片寄りみたいなものを、少し感じるの。
ウチのお店(ゲイやレズビアンだけでなくストレートもOKな、ミックスバー)に来るお客様は、多かれ少なかれ理解を示してくれている人なのだけど、そのなかでも詳しく本当のところを聞いてみると、ストレートの男性はゲイを、ストレートな女性はレズビアンを理解できず、認めることが困難な傾向にあるような気がするわ。
そのわりには、ストレートな男性はレズビアンを、ストレートな女性はゲイを、比較的理解できているように思うの。結局、自分と同じ体をもちながら、自分と違う性の好みがあることを理解できないみたいね。
それから人間って、自分ができることを他人ができない場合に、分かってあげられない所があるでしょ?それに似てるわね。だから例えば、結婚、出産ができている親は、自分の子どもも結婚、出産できると信じてやまないところがあったりするしね。
だから今回のレズビアンの親御さん、特に母親へのカミングアウトは、女性としても理解できないだろうし、親としても認めたくない可能性が高いのよ。だから私たちゲイも、男性である父親には理解されない可能性が高いから、女性である母親や女兄弟にカミングアウトする人の方が多いわね。
2丁目で長年ママをしてる私でさえ、直接は親に言えてないわ
私の場合、19歳から新宿2丁目で働き始めて、400件もあると言われている2丁目のお店やそこへ来るゲイの人たちの数の多さに頭がマヒしたのか、「ゲイであることは今はもう普通のことで、別に隠す必要なんてないことなんだわ」て思ってしまった時期があったの。それで、それまでひた隠しにしてゲイであることを、まずは田舎の親しかった友人数人に話してしまったのね。もちろん私のなかでは、全員理解して認めてくれると思い込んでいたんだけど。
でもそのとき1人だけ、「分からないし、分かりたくないし、認めない」って友人がいたのよ。高校時代毎日のように遊んでいた友人だったから、逆に何故?て思ったわ。「私がゲイだとしても、私は私じゃん!なのに何故?勇気を出してやっと話せたのに、どうして分かってくれないの?」て思ったわね。
でもね、あとでよく考えて気付いたんだけど、私と過ごした思春期のころの楽しかった思い出のほとんどが、ウソの上にできていたってことが、彼をものすごく傷付けたんだなあって。当時の彼は、私を信じて本当のことを全て話してくれていたのに、そのときの私は普通の男ぶって、一緒になって女の話をしたり、恋愛の話をしたり、将来の話をしてた。
彼からしたら「全部ウソだったんだ」って、ショックを受けてしまったようなの。身近で、親しくて、いい理解者だと思っていたぶん、傷は深かったみたい。そしてそれが親となれば、どうだろう?ってそのとき考えさせられたわ。
その「カミングアウト」、今必要なのか、考えてみて
そのレズビアンの姪御さんに考えてほしいのは、「親御さんの気持ちを考えてのカミングアウト」なのか?「ただ自分が楽になりたいだけ」なのか?てところなの。
相談文からしたら、真面目を絵に描いたような人で到底受け入れられるとは考えづらい母親に話して、何がしたいの?ムダに彼女を傷付け、悩ませ、無理矢理理解させたとしても、この先何も良いことはないわよ。私が知る限り、姪御さんが母親に話した場合に起こるのは、男性と付き合うように、結婚するようになかば強引なやり方で推し進められたり、その後は親子関係も複雑で厄介な物になると予想するわ。
ゲイの知人・友人のなかには、親へのカミングアウトの結果「縁を切られた」「家族会議にかけられた」「精神科へ連れて行かれた」「見合いを強要させられる」とか、いろいろ聞いているわ。理解してもらえないだろう母親にカミングアウトするってことは、そのへんの覚悟もしないといけないわね。今の時代でも、カミングアウトは簡単なことじゃないと私は考えているわ。
それでも「親にこれ以上ウソをつきたくないの!」って人もいたわ。でもね、人を傷つけてしまう真実なら、人を思いやるウソのほうがなんぼもましよ!本当のことを話して誰かが不幸になるのなら、私だったら墓場まで持っていくわ。
姪御さんはまだ若いし、これから先、いろんな出会いとレズビアンの友人との交流も増えることでしょう。そんななかで「何が最善なのか」については、この先、ずっとあとに決めても遅くないのではと私思うんだけどなあ、と言ってあげてください。
そして突然ですが、今回の掲載をもちまして「マロンの見た男女の差」は最終回となります。短い間でしたがお付き合いいただき、ありがとうございました。