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【和菓子歳時記13】正月飾りの「鏡餅」と「お餅」、由来と保存方法ご紹介

お正月に欠かせない「お餅」も今はパック入りの切り餅が主流ですが、昔は年末に大きなのし餅や丸餅を注文したものです。今回は、正月飾りの「鏡餅」と、行事食に欠かせない「お餅」についてご紹介します。年末は地域の餅つき大会などにご家族で参加して、つきたてのお餅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

餅は「ハレの日」や季節の変わり目に、縁起をかつぐ食べ物

餅には、主に2つの製法があります。蒸したモチ米をついた「つき餅」と、モチ米や穀物の粉を練って加熱する「練り餅」です。鏡餅や正月に一般家庭で食べる餅は「つき餅」。「餅」は、稲作文化で発展を遂げた日本に古くから伝わる食品で、祭事のお供え物、行事や祝いごとなど「ハレの日」の特別な食べ物として親しまれてきました。現在も縁起の良い食べ物として、正月だけでなく、節句などの季節の変わり目に、餅を食べる習慣が日本各地に残っています。

 

鏡餅は年神様へのお供え物、縁起のいい日に飾るのが正解

ついた餅を丸く成形し、2段、3段と重ねて飾る「鏡餅」は、穀物の神様である「年神様」へのお供え物で、丸い独特な形は神事に使われていた青銅製の「鏡」を模しています。正式には三方と呼ばれる台に、半紙とウラジロの葉を敷いた上に鏡餅を置き、その上に串柿、干しスルメ、昆布などを飾りつけ、一番上に橙(だいだい)を乗せます。簡略的に半紙の上に餅を置いて枝付きミカンを乗せるだけでも形になります。鏡餅を初めとする正月飾りは年神様を家に迎え入れる目印として縁起の良い日を選んで飾ります。飾る日は末広がりの「八」の付く日が良いとされ、逆に読みが「苦」と同じ「九」の付く日は避けます。また、31日は「一夜飾り」と呼ばれてこちらも縁起が悪いとされています。

 

餅の形、調理方法、味付けはいろいろ、地域の特色も

お正月に食べる餅は、ついた餅を乾燥させ、正月の期間に何度も食卓に並べます。その形や調理方法は、地域によってさまざま。関東圏では餅を板状にして固めた「のし餅」を切り分けた「切り餅」や「角餅」が多く、関西圏ではちぎって丸めた「丸餅」が主流です。食べ方は、焼いたり、茹でたりした餅に、餡やきな粉などをまぶしたり、醤油を付けて海苔を巻いた磯辺焼きなどが一般的ですね。また、雑煮やお汁粉といった汁物でもいただきます。関東圏の雑煮は焼いた餅を澄まし汁に入れたものが、関西圏では茹でたり煮て柔らかくした餅を、白みその汁に入れたものが多く見られます。お正月はそれぞれの地域に伝わる伝統的なお雑煮を食べながら、郷里話に花を咲かせるのも楽しいですね。

 

「冷凍保存」がおすすめ、お餅の保存方法

餅は、乾燥させて保存するとはいえ、常温で長期間保存すると、時間経過とともに固くなってしまいます。1月11日頃に行なわれる「鏡開き」では、鏡餅を木槌で割ると言われてきたくらいですからカチカチです。そこでおすすめなのが、冷凍保存。冷凍すると、常温や冷蔵庫で保存するより柔らかい状態で保存出来ます。特に無添加の手作りの餅は常温だとカビが生えやすいので、柔らかいうちに食べやすい大きさに切り、早めに冷凍するようにしましょう。ビニール袋などに密封して冷凍すると1カ月くらい日保ちします。食べるときは、自然解凍してから調理しましょう。

 

まとめ

お餅は、日本の伝統的な保存食品。栄養価も高いので、真空パックされた長期保存可能なものは災害時の非常食に用いることもできます。カロリーが高いので食べ過ぎには注意ですが、お正月には欠かせません。上手に保存して、美味しいお餅を食べて下さいね。

 

 

石原マサミ(和菓子職人)

創業昭和13年の和菓子屋・横浜磯子風月堂のムスメで、和菓子職人です。季節のお菓子や、和菓子にまつわる、歳時記などのご紹介を致します。楽しく、美味しい和菓子の魅力をお伝えできたら、嬉しいです。石原モナカの名前で、和菓子教室も開催中。ブログはこちら