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産後の夫婦仲、大丈夫?夫婦の意識差による「産後クライシス」原因と対策

産後2年以内に、夫婦仲が急速に冷え込む「産後クライシス」を知っていますか。今回は、0歳の子どものいる男女に行なったアンケート結果をご紹介し、「産後クライシス」の対策を考えてみたいと思います。産後の女性は、肉体的にも精神的にも不安定になりやすく、子育てへの不安などでイライラしがち。「産後クライシス」には、「夫婦間コミュニケーション」が深く関わっているようです。

 

ひとり親世帯の原因にも!「産後クライシス」の現実

厚生労働省が行なった調査(※1)によると、ひとり親世帯になった理由の1位は「離婚」だそう。さらに、離婚でひとり親世帯になったときの末子の年齢は0~2歳が最も多いことから、産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む、いわゆる「産後クライシス」が現実に多いこと分ります。

インターネットリサーチ会社「マクロミル」は、子育てと仕事の両立に詳しい「ここるく」代表の山下真実氏の協力の下、一番下の子どもの年齢が0歳で、配偶者と子ども同居している20~49歳の男女各700人に「夫婦間コミュニケーション」に関するアンケート調査を行ない、「産後クライシス」を防ぐヒントを探りました。

 

 ※1「平成23年度全国母子世帯等調査」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002j6es.html

 

産後の夫婦間コミュニケーション満足度は、女性の方が低い

<図:配偶者とのコミュニケーションに対する満足度(ベース:(左)男性/n=700、(右)女性/n=700)>

 

産後1年以内の男女が回答した、配偶者とのコミュニケーション満足度を見ると、「満足している」「やや満足している」と回答した人は、男性82%に対して女性は73%に留まり、女性の満足度が男性よりも低い結果となりました。

 

女性の家族愛は、配偶者より子どもへ偏りがち

<図:配偶者と子どもへの愛情比率(ベース:(左)男性/n=700、(右)女性/n=700)>

 

また、配偶者と子どもへの愛情度合いを聞いたところ、男性は「配偶者と子どもが同じ(46.1%)」が一番多かったのに対して、女性は「配偶者よりも子どもへの愛情度合いが多い(75.3%)」が圧倒的に多い結果になりました。子どもと二人きりで過ごす時間が長い女性と、家庭に帰ると妻と子どもがいる状況にある男性の、家庭内でのコミュニケーションの量の違いが、愛情度合いに関係しているのかもしれません。

 

配偶者へのコミュニケーションの不満と子どもへの愛情度合いは「比例関係」

<図:配偶者よりも子どもに愛情を注いでいる人の割合(配偶者とのコミュニケーション満足度別)(ベース:(上)男性/n=700、(下)女性/n=700)>

 

配偶者への愛情度合いとコミュニケーション満足度の関係を見ると、男女ともに子どもへの愛情比重が高い人ほど、配偶者とのコミュニケーションに不満があることが分りました。またお互いのコミュニケーションに満足し、子どもへの愛情度合いが高い人は、男性が26.9%に対して女性が55.2%と倍以上の差があります。これがコミュニケーションに不満があり、子どもへの愛情度合いが高い人だと、男性が70.7%、女性が88.2%と、男女ともに高い数値で、かつ男女の差がほぼない状態に。つまり女性は、夫とのコミュニケーションの満足度とは無関係で子どもへの愛情度合いが高い傾向があり、男性は、妻とのコミュニケーションに不満が募ると、子どもへの愛情度合いが増えることが分ります。

 

夫婦間ギャップ!「妻が夫に求めること」と「夫が感じる妻の求めること」が違う

<図上:夫に求めていること 上位7位(n=700(女性のみ)、複数回答)>
<図下:妻が自分に求めていると思うこと 上位7位(n=700(男性のみ)、複数回答)>

 

次に、女性に対し「夫に求めていること」を聞いたところ、1位「子どもともっと遊んでほしい(31%)」、2位「帰宅時間を早めてほしい(29%)」、3位「子どもの世話をもっとしてほしい(27%)」という結果となりました。一方、男性へ「妻が自分に求めていると思うこと」を聞いたところ、1位「妻の話をもっと聞くこと(51%)」、2位「妻の悩み・課題を解決してあげること(35%)」、3位「妻の行動を褒めること(31%)」と、妻の求めている行動とはギャップがあることが明らかとなりました。

妻は夫に対し、育児参加や早期帰宅など家庭内での“夫の具体的な行動”を求めているのに対し、夫が求められていると感じているのは、話を聞いたり、悩みを解決するなど“妻主体の行動に対するサポート”のようです。

 

「言わないと手伝わない」くせに、「ちょっと手伝うと得意げ」な夫にイラッ!

<図上:夫にイラッとすること 上位5位(ベース:女性/n=700、複数回答)>
<図下:妻が自分にイラッとしていると思うこと 上位5位(ベース:男性/n=700、複数回答)>

 

最後に、女性へ「夫にイラッとすること」を聞いたところ、1位「汚したり散らかしたりしても片づけない(39%)」、2位「お願いするまで手伝わない(35%)」、3位「ちょっと手伝っただけで得意げな態度をとる(28%)」という結果になりました。一方、男性に「妻が自分にイラッとしていると思うこと」を聞いたところ、1位は「汚したり散らかしたりしても片づけない(22%)」、2位は同率で「お願いするまで手伝わない(19%)」と「帰宅時間が遅い(19%)」でした。1位、2位は男女ともに同じ回答で、妻からすると、夫も汚したり散らかしたりする子ども状態なうえ、「手伝って」と言わないと手伝ってくれない不満がありあそうです。また、「ちょっと手伝っただけで得意げな態度をとる」行動に対して、妻は4人に1人以上が苛立ちを感じていますが、夫側の「自分のした家事、育児をついアピールしてしまうこと」の回答はわずか8%と、夫は無意識のアピールが妻をイラッとさせていることに気が付いていないようです。

 

 

まとめ

産後クライシスの回避には「家にいる時間が短い」という夫の物理的な不在から起こるコミュニケーション不足と、妻側の「言わなくても手伝ってくれるはず」という考えからくる、言葉でのコミュニケーション不足の解消の両方が必要そうです。妻側は、夫が妻の状況や不満を理解してないことを念頭に「言葉で伝える」ことの努力を、夫側は、妻の話を聞いて真意をくみ取るだけでなく、子どもが0~2歳の時期は意識的に家庭で過ごす時間を増やし、家庭人としての役割を担う努力をすることが、コミュニケーションには重要なことかもしれませんね。

 

 ◇産後夫婦の意識ギャップが明らかに。妻の「夫にイラッ」の原因も判明(マクロミル調べ)
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000256.000000624.html

 

qufour(クフール)編集部

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