老師オグチの家電カンフー

マインドマップがAIによって「思考すら必要ない飛び道具」に変身した

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
「EdrawMind(エドラマインド)」デスクトップ版

「マインドマップ」と呼ばれる思考ツールがあります。簡単に説明すると、中心にテーマを書き、その周囲に関連するキーワードを書き出していくメソッドです。放射状に書くことで、発想の自由度が高まるのが特徴。アイデアの創出や生産性を高めるツールとして一部の人に人気のツールで、私もかれこれ20年以上は使っています。

本来は紙とペンを使うマインドマップ。パソコンの普及とともにアプリもいくつか出てきたのですが、紙の自由度に比べると使い勝手がいまひとつなものが多かった。しかし、最近「EdrawMind(エドラマインド)」を試しに使ってみたところ、非常に使い勝手が良いのです。動作も軽快で、思考を妨げることもありません。さらに対応OSも豊富(Windows、Mac、Linux、Web、Android、iOS)、かつ基本機能は無料で使えるのです。

このEdrawMindをしばらく無料で使ってきたのですが、有料版を購入しました(永続ライセンス12,900円。サブスク版もある)。無料版は1枚のマップに作成できるトピックが最大100個に制限されています。簡単なアイデア出しなら問題ないのですが、書籍の構成など分量が多くなるとカツカツで、これを解消したかったのです(有料版では無制限になる)。さらにクラウドのストレージも無料版の10MBに対し、永続ライセンスでは10GBに増加します。まぁそんなに容量を使うことはなさそうですが。

さて、紙とペンを使ったマインドマップ作成をはるかに超えるのが、EdrawMindのAI機能です。なんと中心のテーマを入力するだけで、AIが自動的にマインドマップを作成してくれるのです。例えば今回は「冷蔵庫の買い替え」を入力してみました。

「冷蔵庫の買い替え」をAIに考えてもらった結果

買い替えの理由から予算、サイズ、エネルギー効率、機能、ブランド、購入先、配達・設置までを一覧で表示してくれています。「部屋をかたづける」「引っ越しする」「会社を設立する」でも、このようなTo Doリストが自動作成されるので、この手順の通りにやれば、あれこれ悩んだり考えたりする必要すらなくなります。

画像も生成できますがクオリティはイマイチかな

もう、思考すら必要なくなるEdrawMindのAI機能。とはいえ、他の生成AIと同様、完璧ではありません。次の画像は、「エアコンが臭い」からAIが作ったマインドマップです。フィルター掃除やカビ対策、メンテナンスを定期的に行なうなど、一般的な対処方法が表示されていますが、なぜか「電源の問題」なる項目があります。電源プラグがきちんと差し込まれないとエアコンが臭うなんてことがあるんでしょうか? 冷蔵庫ならまだわかりますよ、中の食材が腐っちゃいますからね。

現状はパーフェクトではないとはいえ、マインドマップのような思考ツールとAIの融合は、今後さらに進行していきそうです。0からアイデアを考えるのって難しいですからね。そうそう、AI機能は無料版でも使えるので、ぜひ試してみてください。

「エアコンが臭い」でAIが出してきたマインドマップ
ファイルはクラウドに保存でき、スマホでも作成・編集が可能
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>