フランスほのぼの暮らし
フランスママに学ぶ、働いてても問題ナシ!子どもの学校の「PTA事情」
2017年 10月 30日 07:30
幼稚園や小学校に通う子どもをもつママが、避けては通れないものに「PTAの存在」がありますね。今回は、フランスママのPTA事情についてご紹介します。フランスでは、PTA役員を決めるのにもめることがなく、働くママでも問題なく役員になることが可能な環境が整っています。
フランスではPTAになりたい人だけで、役員が決まる
フランスのPTAは完全立候補制で、やりたい人だけが集まって活動する仕組みになっています。子どものためではなく「自分がやりたい!」という人だけが立候補するので、役員決めで揉めることがありません。ですので無関心な人は、子どもが卒業するまでにPTAとは一切関わりなく終わってしまいます。役員に立候補する人は、夫婦で気合が入っているので、人数も多くなりがちです。1年ごとの交代ではなく、我が子が通っている限り続ける人が多く、複数の子どもがいる家庭では、10年以上のベテランもいます。役員を引き受けるメリットは日本と変わらず、学校の内部事情などを深く知ることができたり、子どもたちの様子が理解できることです。
PTAになりたい人って、こんな人
フランスでPTAになりたい人というのは、PTA活動を一種のサークル活動のように、趣味として楽しく生きがいを感じられる人です。子どもの年齢に関係なく、幅広い年齢層のママやパパと積極的に仲良くなりたい人や、新しく仲間を増やしたい人が多くいます。当人にとっては趣味のようなものなので、生活の基盤になっている人もいるほどです。タイプとしては、すべてにおいて「私が!」と仕切りたがりる人が多く、役員仲間との「鉄の結束」がPTA活動の原動力になっています。なかには、学年末の校外学習で、同伴に行きたくてPTA役員になる人もいます。というのは、ベルサイユ宮殿やテーマパークなど、お金を払わずに付いて行くことができるメリットがあるのです。
PTAの定例会議は、夜の20時ごろから
フランスでは、「働いているから、PTAに参加できない」ということがないように、PTAの定例会議は、夜の20時過ぎから始まります。地域や学校によっても違いますが、休前日の夜が多く、会議は23時半や深夜0時に及ぶことも多くあります。子どもが小さくても、夫やベビーシッターに任せて、ママは単独参加。常にヤル気がみなぎっています。役員は、会長・副会長・会計以外の役はなく、全員が一緒に同じ仕事をするので、面倒くさい役割や係などもありません。誰がどの係と決めなくても、みんなが自分の得意分野で力を発揮するので、一切問題が起こりません。会議は学校で行なわれ、会議中のお茶などもないので、面倒な準備も一切ありません。
行事は、役に関係なく全員で取り仕切る
フランスのPTA行事は、役に関係なく、会長を始めとする役員全員で執り行います。学校主催のビンゴ大会や、クリスマス会、仮装大会、ダンスパーティー、学校祭などでは、会場の設営から準備、スタンドの販売や撤収まで、肉体労働から接客までのすべてを行なうのです。会計だから会計の仕事以外はしない、というわけではなく、全員一丸となって行ないます。なかには数日かかる行事もあり、働いている人でも有休を取って参加したり、仕事が終わってから手伝いに来たりします。必要最低限しか関わらないということがないので、ヤル気のない人はPTA活動には関与しません。
フランスでは、パパも積極的に参加
ママがPTA活動に一切興味がない場合は、単独で参加するパパもも多くいます。イベント時のスタンド設置などの肉体労働は、パパ軍団が活躍します。仕事のあとの会議に参加するのは面倒でイヤだけど、会場の設置や撤収などの肉体労働は、ほかのパパと仲良くなれる機会だからと、喜んで参加するパパも多くいるのです。ワインのボトルを持参して、終了後に夜中まで飲み明かしている光景もよく見られます。フランスでは、私立学校は市からの援助を受けることができないので、すべてを自分たちで行わなくてはならず、パパ軍団の働きは絶対に必要なのです。
長年PTA活動をしているために、事情通が多い
フランスでは、1年ごとに毎年PTA役員が変わるわけではなく、子どもの卒業まで活動を続ける人も多くいます。年の差のある兄弟や複数人の子どもがいる場合には、8~10年以上連続している面々も多く、教師陣よりも学校のイベントに詳しい人が実在するのも特徴です。1年だけで辞める人は、引っ越しや転校以外ではほとんどいません。新しく入ったばかりでも、ベテランの役員が多くいるので、慌てることなく安心して活動ができます。
もちろん人間関係のトラブルもある
長年、PTA活動をしている人が多いので、自然とグループができていたり、特定の仲良しママがいる場合も多くあります。地域や学校にもよりますが、役員の入れ替わりがなさ過ぎるので、学校のイベントがマンネリ化してしまう傾向も見られます。公立校なら、毎年PTA会長を立候補者の中から投票で決める方が、イベントが変化するので楽しめます。またフランスママの中にも、PTAの役員活動を通して教師陣に取り入りたい人も必ずいるので、学校によっては役員ママとそれ以外のママの派閥が分かれている所もあります。
PTA役員とは別にお手伝い専門のママも存在する
イベントなどで、会場の準備やあと片付けが必要なときに、PTA役員ではないけれど手伝いに来てくれるママたちもいます。役員になる気はないけれど、自分がヒマなときや気が向いたときだけ「手伝うよ!」というママも多く、ありがたい存在です。お手伝いママたちのおかげで、PTA役員だけが大変ということがありません。面倒くさい人間関係や、長時間の定例会議がわずらわしい人には、立候補で成り立っているフランスのPTA制度は、お得感満載です。