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家電製品ミニレビュー
±0「電気ケトル」
~置いた姿が美しいデザイン系ケトル
Reported by 本誌:伊藤 大地
±0「電気ケトル」
前年割れが続く電気ポットを尻目に、使いたい分だけ、使いたいときに沸かす電気ケトルが急速に伸びているという。とはいっても、去年まではティファールをはじめとする海外メーカーの製品ばかりだったのだが、今年に入って、電気ポットで高いシェアを誇る象印マホービンが参入。いよいよその波は国内メーカーにも及んできている。
そんな中、登場したのがプロダクトデザイナー、深澤直人氏率いる±0の電気ケトル「XKY-R010」だ。希望小売価格は10,500円。Amazon.co.jpで同額で購入した。
電気ケトルは、熱をケトルに伝える基幹部品を作っているのが事実上1社という事情もあり、お湯を沸かすという本質機能において、製品ごとの性能差があまりない。そういったわけで、ケトル選びはほかの製品以上に、使い勝手やデザインが重要な要素になってくる。
この±0のXKY-R010は、置いてあるだけで絵になる、美しい電気ケトルだ。表面はシボ加工が施され、安っぽさがなく、すっと手になじむ。まったくくびれのない円筒型の本体はいたってシンプル。台座の底面のところが、すっと丸みを帯びているので、台座が本体と一体となっているかのように感じさせる。このデザインのせいで、コードがなければ電気ケトルというよりむしろ、陶器のポットのように見える。こうしたミニマルなデザインは、過去に
レビューしたジャスパー・モリソンのデザインによるRowentaのケトル
にも通じるものがある。
台座に載せているところ。底面付近が丸みを帯びているので本体と台座が一体になっているかのように見える
お湯の注ぎ口
中の容量が見える窓も取っ手の内側に設けられていて外側からは見えないようになっている
台座を覗いた本体重量は645g(実測)
フタを開けたところ。本体が円筒形なので底までしっかり洗える
結論から言ってしまえば、この見た目が好きならば是非! ということになるのだが、それだけで終わるわけにもいかないので、実際に使って感じたことなどをまとめてみたい。
普通の電気ケトルとまず違うのは電源スイッチ。デザイン上、極力、余計な要素を省くため、見た目だけでわかるような大きなボタンはない。取っ手の下側に、洗濯機の操作パネルのような、埋め込み型のスイッチになっている。このタイプのボタンは、押したときのクリック感がないので、代わりに水を入れてここを押すと、ピッと音がなるようになっている。500mlを沸かすのにかかった時間は約6分。湯沸かし時の消費電力は900W前後を推移していた。まぁ、電気ケトルとしてごく一般的な性能だ。
電源ボタンは取っ手の下側の目立たない場所に設けられている
埋め込み式のスイッチを押すと「ON/OFF」の文字が赤く点灯する
湯沸かし時の消費電力は900W前後
性能的に似たり寄ったりの電気ケトルに置いて、あえて違いがある点を挙げれば、消費電力。消費電力と言っても、電気ケトルにおいては、単に低ければ省エネ、ということを意味するわけではない。
電気ケトルにおける消費電力は、その製品がスピード重視か、安全性重視かということがわかる。たとえばティファールのように、家庭用電気製品の上限である1,500Wに近いところまで電力を使って一気にお湯を沸かす、スピード重視の製品もあるし、1,000W程度に抑えて余裕を持たせ、安全性を考慮するものもある。どちらが優れているという問題でもなく、強いていうなら思想の違いといったところになるだろう。その点では、この製品は後者に属するものだ。
普通のケトルと違うのは、沸いたときの動作だ。普通のケトルでは、ボタンがカチャッと上がる音で沸いたことに気づくのだが、このXKY-R010にはそういった音はない。また、アラーム音もないので、静かに電源が切れる。沸かしたまま、ほかの作業をしたり、別の部屋へいってしまうと、そのまま忘れてしまう可能性が高い。基本的に、製品の近くにいないといけないだろう。まぁ、ほかの製品もボタンの上がる音だけが目安だったりするので、わかりにくいことには変わりはない。ただ、そうした電気ケトルの中でも特にわかりにくい分類ではある。
唯一のボタンは取っての上部にある。このボタンを押すと本体のフタがあく
この製品に付いている唯一のボタンは、取っ手の上側、親指がかかるところにある。これを押すとフタがパカッと開く。円筒型の形状も手伝って、口が広い。手入れはしやすいだろう。ちなみに、注ぎ口は幅広なタイプ。マグカップにお湯を注ぐには便利だが、コーヒーを直接ドリップするには、多少の慣れがいるだろう。
ちょっと気になったのは、取っ手の形状。スマートさを優先して「コ」の字の形状の取っ手は、見た目がかっこいい反面、たっぷりと水を汲んだ際、ハンドルを握った手を支える部分がなく、手首に負担がかかる。ティファールの製品も取っ手はカーブがあるし、象印の電気ケトルも親指の上に重みを分散して、手首の負担を減らすような形状になっているのだが、この製品に関しては、そこはあまり考えていないようだ。
繰り返しになるが、やはりこの製品の魅力は言うまでもなく、その外観だ。キッチンに隠すのではなく、ダイニングのテーブルに据え置きにして使いたい。正直なところ、使い勝手まで徹底的に練り上げた、という印象は受けないが、それを補ってあまりある魅力がある。2万円以上するデザイン系ケトルを考えれば、決して高すぎる価格ではない。自分で使うのにはもちろん、贈り物にも適した電気ケトルと言えるだろう。
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URL
±0(プラマイゼロ株式会社)
http://www.plusminuszero.jp/
製品情報
http://www.pmz-store.jp/prodocuts/kettle.html
電気ケトル関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/kettle.htm
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