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家電製品ミニレビュー
ナショナル「MK-K80」

~食感の良いつみれやうどんが作れるフードプロセッサー
Reported by 本誌:正藤 慶一

ナショナル「MK-K80」
 本誌記者として毎日新製品のニュースを取り上げる仕事をしているわけだが、これだけ良い製品に目を通していると、どれもこれも欲しくてたまらなくなってくる。

 中でも一番欲しくなったのが、1月のニュースで紹介したナショナルのフードプロセッサー「MK-K80」だ。記事中にも記したが、刃を速く回転しすぎない「低速モード」により、肉や魚の筋繊維を切りすぎず、例えばいわしのつみれ汁なら、プリプリとした食感が楽しめるというのだ。さらに、付属のアタッチメントを使えば、うどんまでも作れてしまうという。プリプリのいわしのつみれ汁……自家製のうどん……うーん、食べてみたい。食欲に任せて、Amazon.co.jpの購入ボタンを押した。価格はオープンプライスで、購入価格は16,480円だった。

 パッケージを開けると、中には本体をはじめガラス製の容器やフタ、カッターなどのさまざまな付属品が入っている。基本的な使い方は、本体にガラス製容器を載せ、カッターを内部にセットし、食材を投入してフタをして運転をスタートする。本体サイズは、154×225×212mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は2.8kg。消費電力は120W。このあたりはごく普通のフードプロセッサーと変わらない。

 本体には、運転速度を調節するツマミが付いており、高速/あらびき/低速の3つのモードに切り替えられる。1分当たりの回転数は、「高速」が約2,900回、「低速」約2,200回。「あらびき」は「高速」同様に約2,900回転だが、0.45秒回転した後、0.75秒運転を停止する断続運転となっている。この「低速」が、冒頭で述べたとおり、食品を刻みすぎない「プリプリ」感を演出してくれるというわけだ。


運転モードは高速/あらびき/低速の3種類 使用する食材や調理法ごとにモードを選択する

 カッターは4種類用意される。まずは「ナイフカッター」。素材に従来製品よりも1.2倍の硬度を持つ「ブラックハードチタンカッター」を採用しており、刻む/すり潰す/ミンチといった調理が行なえる。「スライス・千切りカッター」は、その名の通り野菜をスライス・千切りするためのもの。使用するには専用のフタを被せる必要がある。「おろし・とろろカッター」も名の如く、大根おろしやとろろを作るためのカッターだ。

 最後の1つは「パンの羽根」。刃が付いていないため、正確に言えばカッターではないが、うどんやパン、ピザ生地を作る際に使うものとなる。


食材や料理ごとにカッターを付け替える 食材を刻んだりミンチにする場合に使用する「ナイフカッター」。従来製品よりも硬度が1.2倍にアップしている 「おろし・とろろカッター」は、その名の通り野菜をおろしてとろろ状にするカッターだ

「パンの羽根」はパンやピザ、うどんの生地をこねるために使う 「スライス・せん切りカッター」(左下)を使用する際は、専用のフタ(右下)と併用する 収納したところ。スライス・せん切りカッターは本体とは別のケースに収納する(写真右)

 とりあえずは、簡単そうなとろろ作りに挑戦しよう。本体にガラス容器、おろし・とろろカッターをセットし、その上に2~3cm角に切った長芋を置く。運転は「高速」に合わせ、約30秒フタを押す。「ウィーン」という音とともに、あっという間にとろろができあがった。味付けをしてご飯にのせて、海苔をかけて食べた。うん、これはうまい。作り立てなだけに風味もあり、満足のいく仕上がりといえよう。

 ところで「ウィーン」という運転音はそこそこに大きく、マンションなど集合住宅に住まれている方は、深夜に使うのは控えておいたほうが良いだろう。ただし、これは本製品に特有のことではなく、フードプロセッサー自体、基本的に音が大きいものであることを付け加えておく。


とりあえずとろろを作ってみる。まずは長芋を2~3cmほどのサイズに切り、写真のようにセットする 【動画】フタをかぶせて押せば運転がスタートする(WMV形式,約2.5MB) 味付けをしてごはんにかけて食べる。うまい
 


次に、「いわしのつみれ汁」に挑戦。材料は、内蔵やひれなどを取り除いたいわし、卵、生姜、片栗粉など
 それではお目当ての「いわしのつみれ汁」に挑戦しよう。使用するカッターはナイフカッターだ。まずはいわしのうろこや頭、尾びれなどを取り除き、2~3cmに切る。これを卵や片栗粉、生姜などの具材とともに容器に入れ、「低速」で調理スタート。時間は30秒~1分30秒ほど。あまりやりすぎると、ムダに魚の筋繊維を切ってしまいそうだ。できあがったすり身は煮て、味を調えて調理完了。思ったよりも簡単に作ることができた。

 さて味は……これもまたうまい! 謳い文句通り、いわしの筋繊維が残っているようで、歯ごたえを感じる。これが“プリプリ”というやつだろう。

 ここで、スーパーで買ってきたチルドのつみれと食べ比べてみたが、まったく同じ食べ物とは思えなかった。それもそのはず、チルドのつみれには、成分表にいわし以外にもさまざまな魚肉が入っていると書かれていた。しかし、ここで作ったつみれは、調味料を除けば「いわし純度100%」と言っても過言ではない。そのため、いわし独特の味・風味が楽しめるのである。近頃、食に対するさまざまな事件が起きているが、自分で原材料から作ればそんな心配からも解消されるだろう。


【動画】運転中のようす。「低速」なので、とろろの時よりも運転音が低い(WMV形式,約2.1MB) できあがったすり身。この後はゆでる必要がある いわしのつみれ汁の完成。味はもちろん、低速のカットでいわしの繊維を切りすぎないため、食感も良い
 


うどんの生地の材料は、強力粉と薄力粉、少々の食塩水というシンプルなもの
 次に、これまたお目当てのうどんを作る。カッターは「パンの羽根」で、生地づくりの行程でのみ本製品を使用する。器に強力粉と薄力粉を各80gずつ入れ、水80mlに塩を大さじ1/2混ぜた食塩水を振りかける。この状態で「低速」で2分間運転する。ここでできた生地をラップでくるみ、室温で2時間寝かせる。あとは、生地を3mmほどにのばして、3~5mmほどに刻んで、麺のできあがりだ。

 茹でて丼に盛りつけたところ、かなりのちぢれ麺であることに気づく。うどんでちぢれ麺? と疑問に思ったが、説明書のできあがり例でもこのような写真が掲載されていたので、おそらくこれで良いのだろう。では実食……こ、これは激ウマだ! コシが強くて歯ごたえがあり、小麦粉の香ばしい風味も味わえる。あまりにおいしいので「日本各地に数多くの名物うどんがあるが、今ここに最強のうどんが誕生した、それが『MK-K80』で作るうどんである!」 ――と高らかに宣言したいほどだ。

 ただし、生地を作った後に2時間寝かせたり、生地を薄くしたり、麺1本1本をちまちま包丁で切らなければいけないなど、実際に作るとなると結構な手間がかかってしまう点には注意されたい。


【動画】「パンの羽根」と「低速」運転で、生地を自動でこねる(WMV形式,約1.7MB) できあがった生地は、常温で2時間寝かせた後、薄くのばす 包丁で1本1本麺をカットする。これがかなり手間がかかる

太さが均一にはならなかったが、全部をカットし終えた 茹でるとちぢれ麺になった。丼の雰囲気と相まってラーメンっぽい外見だが、これがびっくりするほどおいしかった。時間をかけただけのことはあった

 ついでに、フードプロセッサーを作った調理の定番「ハンバーグ」にも挑戦したが、これも問題なく調理できた。ここで特に良いと感じたのが、ナイフカッターの切れ味だ。以前、このコラムで取り上げた「IFP-2610」では、肉の筋張った部分のカットに手間取ることもあったが、本製品では「ブラックハードチタン」を採用しているからか、筋部分もスパッと切ってくれる。またハンバーグの調理には、断続運転の「あらびき」モードを使用するが、これが粗すぎず、細かすぎず、ちょうど良い歯ごたえを演出してくれる。おいしいハンバーグをカンタンに作ることができた。

 このほかにもいろいろ使って見たいのだが、何しろ説明書に記載されているメニューが豊富で、紹介しきれない。手作り水餃子/いかしゅうまい/スパゲッティミートソース/ベーグル/バターケーキ/マヨネーズ/オニオンドレッシング……などなど、全37メニューが用意されている。実は、ここまで私が作った料理も、すべてこのレシピを参考にしている。今までまったく作ったことのないものばかりだったが、迷うことなく調理できた。さらに、料理が得意な上級者向けのレシピ集として、調理師・パティシエの専門学校として有名な「辻調グループ校」の講師陣が考案したメニューが掲載された冊子も付属している。


フードプロセッサーを使った料理の代表、ハンバーグに挑戦 【動画】ハンバーグは断続運転の「あらびき」モードで調理する(WMV形式,約1.7MB) できあがり。半分に割れているのは私の腕が足りないからで、フードプロセッサーのせいではない

説明書には37種類の調理メニューが掲載されている さらに、辻調グループ校の講師陣による厳選レシピが掲載された冊子もついてくる

 一通り使った感想を述べると、食材の良さを殺さない運転モード、頑丈なカッター、切るだけでなくこねる作業もできるアタッチメント、同梱されるメニュー豊富なレシピ本……と、家庭用フードプロセッサーとしてはかなり高いレベルにある製品だ。あえてマイナス面を指摘するなら、スライス・せん切りカッターと専用のフタは、本体とは別に収納するため、広めの収納スペースが必要になる点か。もちろんこれは多機能とトレードオフの関係にあるため仕方ないところだが、省スペース性を第一に考える人には、スライス・せん切りカッター機能を省いた下位機種「MK-K60」の方が良いかもしれない(本体自体はMK-K80/60とも同サイズ)。

 1万円台後半という、フードプロセッサーとしてはやや高めの値段設定は手が出にくいかもしれないが、それだけの価値は間違いなくある。料理をする人にお勧めなのはもちろんだが、料理をしない人でも、いつも料理を作ってくれているお母さんや奥様へ、母の日のプレゼントとして贈るというのも良さそうだ。とにかく、フードプロセッサー選びで悩んだら、この製品を買っておけば間違いないだろう。





URL
  ナショナル(松下電器産業株式会社)
  http://national.jp/
  製品情報
  http://ctlg.national.jp/product/info.do?pg=04&hb=MK-K80

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2008/04/25 00:05

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