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クラウドファンディング家電〜コミュニティ全体で子どもを守れる「見守りシステム」

 「クラウドファンディング」とは、製品開発などのプロジェクトを達成させるための資金を“多くの人たち(Crowd)”から集めて“資金調達(Funding)”するという意味。そんなクラウドファンディングで資金調達中の家電開発プロジェクトを紹介する。

 携帯電話やWi-Fiなどの無線通信技術が普及しているのに伴い、子どもを見守るための、様々な見守り系プロダクツがリリースされたり提案されたりしている。今回紹介するのは、子どもの安全を、コミュニティ全体で見守ろうという試みだ。

 「otta(オッタ)」は、自宅に“見守り機能”付きのWi-Fiルーターを設置。「otta.b」という防犯ブザー付きの端末を持った子どもが帰宅すると、帰宅したことが両親の元にメールで通知されるというもの。クラウドファンディング中の現在、ルーターとotta.bとのセットが、13,800円(税込)から購入できる。既に資金調達の目標金額に達しているため、製品は2016年の3月中に出荷される予定。

見守り機能付きのWi-Fiルーター「otta Home Wi-Fi」。Wi-Fi中継器としても活用できる
「otta.b」を子どもに持たせておく。85dbの警告音を発生させる防犯ブザー付き
「otta.b」を持った子どもが帰宅すると
設定した親の携帯電話などにメールが届く

 また、ottaのWi-Fiルーター以外にも、ottaのアプリを搭載したスマートフォンを持つ“見守り人”と、子どもがすれ違うだけで、子どもの位置情報が送信される。見守り人が増えれば増えるほど、子どもがどこにいるかが細かく把握できるようになるのだ。

 例えば、子どもの友だちや塾などにottaのWi-Fiルーターが設置されているか、アプリを搭載したスマートフォンを持っていれば、子どもが帰宅した後に外出しても安心だ。つまり、コミュニティ全体で、“見守り人”が増えていけば、それだけ子どもの安全に繋がる仕組み。

ottaのWi-Fiルーター以外でもアプリを入れたスマートフォンがあれば見守れる
“見守り人”のスマートフォンを経由して、子どもの現在地が報告される
ottaのWi-Fiルーターや、スマートフォンアプリを持った“見守り人”が増えれば、子どものいる場所を細かく把握できる
ottaのスマートフォンアプリ。子どもがどのあたりにいるかが地図上に記される。ほかの子どもの“見守り人”にもなれる
ほかの子どもと、すれ違った時に活躍する見守り機能だけのアプリも用意されている。2つのアプリは、iPhone/Android用が既に配布されている

 この春から、広島県の安田小学校と、福岡県の警固小学校では、ottaのシステムのテスト導入が始まっているという。さらに広島では、広島高速交通のアストラムライン(電車路線)の各駅にottaの見守り拠点を設置。今後も拠点が増えていく予定だ。

 ottaの岩中貞道 取締役によれば、「現状でも携帯電話やGPSなど、位置を特定できるサービスはあります。でも、使用を禁止してる学校もあり、費用面などにより使用している人は一部です。ottaは、みんなが気軽に使えて、何かがあった時に、いち早く異変に気づけるサービス」という。また、犯罪だけでなく、事故や災害時などでも、役立つかもしれないとする。

otta Home Wi-Fi

 Wi-Fiルーター「otta Home Wi-Fi」のサイズは、110×25mm(直径×高さ)で、重さは約300g。11n/g/bの無線LAN規格に対応。すでにWi-Fi環境が自宅にある場合は、Wi-Fi中継機としても活用できる。

otta.b

 子どもに持たせる「otta.b」のサイズは、46×23mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約25g。ボタン電池(CR2354×1個)で、電池寿命は最大約2年。すれ違い検出距離は、最大約65m。カラーは、3色を用意。

河原塚 英信