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プラズマクラスターは黄砂やPM2.5に含まれる環境汚染物質に有効
(2014/4/3 14:49)
シャープは、同社のイオン技術「プラズマクラスター」が黄砂に付着している細菌やカビの抑制、ならびにPM2.5に含まれる有機化学物質の除去に効果があることを実証したと発表した。
プラズマクラスターは、プラスとマイナスのイオンを空気中へ放出することで、細菌やカビ、さらにウイルスやアレルゲンなどの表面にあるタンパク質を分解して、細菌などの働きを抑制する効果があるというイオン技術。空気清浄機やエアコンなど、同社の家電製品に搭載されている。
今回は、細菌やカビ、有機化学物質の抑制・除去効果を、これまでのように実験ボックス内ではなく、実際の使用状況に近い環境である約6畳(25立方m)、約7畳(28.5立方m)の試験空間において確認したという。
送風のみと比べて抑制効果は99%以上
黄砂に付着している細菌やカビでは、食中毒の原因となる「バチルス・セレウス菌」(以下、セレウス菌)と、アレルギーを引き起こすといわれるカビの一種「ビルカンデラ菌」を対象に検証が実施された。
試験・分析は、各菌を別々に塗布させたガーゼ布を、プラズマクラスターイオンを発生させた約6畳の試験空間に吊し、一定時間が経過した後、各菌を洗い出し、培養後にコロニー数をカウントすることで行なわれた。
その結果、セレウス菌の数は約6時間後、ビルカンデラ菌の数は約8時間後に、送風のみの試験空間との比較で99%以上抑制された。
PM2.5に含まれる有機化学物質にも有効
PM2.5に含まれる有機化学物質では、酸性雨の原因物質「芳香族カルボン酸(安息香酸)」と、自動車などの排気ガスに含まれる物質「アルカン(ヘキサデカン)」を対象とした検証が行なわれた。
試験・分析は、芳香族カルボン酸およびアルカンをそれぞれ625μg塗布させたシャーレを約7畳の試験空間に設置。プラズマクラスターイオンを一定時間照射した後の芳香族カルボン酸およびアルカンを、ガスクロマトグラフ質量分析法で定量分析することで実施された。
結果は、自然放置との比較で、芳香族カルボン酸は8時間後に約98%、アルカンは24時間後に約99%除去された。
なお、ガスクロマトグラフ質量分析法は、有機化学物質を成分ごとに分離、成分の種類を決定し、定量する機器分析の手法。大気中の成分を分析するなどの環境監視用の分析にも使用される。
今回の検証結果により同社は、プラズマクラスター技術が環境汚染物質に対して効果を発揮し、健康な空気環境を実現する技術として役立つことが期待されるとしている。