シャープ、プラズマクラスターイオンによるアレルギー性鼻炎の緩和効果を実証

 シャープは、同社のイオン技術「プラズマクラスターイオン」がアレルギー性鼻炎の主な原因である浮遊ダニアレルゲンを分解・除去し、主症状の鼻づまりを緩和する効果があることを実証したと発表した。

 プラズマラスターイオンとは、プラスとマイナスのイオンによって、ウイルスや菌の表面にある細胞膜のタンパク質を破壊し、菌やウイルスの働きを抑制する効果があるという除菌・脱臭技術。専用の発生器のほか、空気清浄機や加湿器、エアコンなど、同社の家電製品にも多く搭載されている。

 同社では2009年に、プラズマクラスター技術によって浮遊ダニアレルゲンでのアレルギー反応を低減できたことをマウス実験で実証した。浮遊アレルゲンをプラズマクラスターイオンが取り囲むと、強力な活性物であるOHラジカル(水酸基ラジカル)に変化する。このOHラジカルがアレルゲンの表面のタンパク質などを分解させ、アレルゲンが体内に入ってもアレルギー反応が起こらないしくみになっているという。

プラズマクラスターの浮遊ダニアレルゲン分解・除去メカニズム

 今回の実証実験では、これをさらに発展させ、人間のアレルギー症状を緩和する効果があることを確認した。

 実験の対象は、ダニアレルゲンによるアレルギー性鼻炎の症状を持つ、20歳以上65歳以下の健常男女13名。この13名を、ダニアレルゲンを噴霧し、イオン濃度25,000個/立方センチメートルのプラズマクラスターを発生させた試験室と、発生させない試験室(共に約6畳相当)のそれぞれに、3時間滞在させた。

 入室後、30分毎に被験者のアレルギー性鼻炎の症状である鼻づまり症状を測定。入室前に比べ症状が強くなった被験者数を調べるとともに、室内の浮遊ダニアレルゲン量を調べた。

 3時間後、イオンありの試験室では、イオンなしの試験室に比べて、83%の浮遊ダニアレルゲン量が分解・除去されることが確認された。これにより、鼻づまり症状が強くなる人数が75%減り、被験者のアレルギー性鼻炎の症状である鼻づまりが顕著に緩和されることを確認した。よって、同社のイオン技術「プラズマクラスターイオン」がアレルギー性鼻炎の主な原因である浮遊ダニアレルゲンを分解・除去し、主症状の鼻づまりをはっきり緩和する効果があることを実証したとしている。

イオン濃度によるアレルギー反応低減効果試験室のレイアウト
浮遊ダニアレルゲンの分解・除去率経過時間に対する、鼻づまり症状が強くなった人数





(小林 樹)

2011年5月16日 15:09