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【CES 2013レポート】東芝、家電同士の使用電力を自動制御する「ホームクラウドサービス」
(2013/1/16 00:00)
東芝は、2013年1月8日から米ラスベガスで開催された2013 International CESの同社ブースにおいて、「ホームクラウドサービス」のデモストレーションを行なった。
「ホームクラウドサービス」は、東芝が提供するAV家電、生活家電、LED照明、エネルギーマネジメントシステムなどをクラウドによって連携することで、生活の質的向上を実現する提案としている点が特徴。さらに、家庭用燃料電池、太陽光発電などの新エネルギー機器や、スマートメーターなどHEMS関連機器との連携により、スマートコミュニティを実現。これを街全体へと広げることで、さらに効率的な社会生活を送れるような環境の提案にもつなげていくことになるという。
ブース中央に設けられたステージには、東芝の薄型テレビのほか、LED照明、エアコン、タブレット、ノートPC、ロボット掃除機、冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、太陽光パネル、蓄電池、スマートメーターといった同社製品群が一堂に展示され、それぞれの機器をクラウドと接続したデモストレーションが行なわれた。
展示されたクラウドサービスは、「Toshiba Home Cloud」と呼ばれるが、これは今回の2013 International CESでのデモストレーションのために用意した呼称であり、正式名称ではないという。また、具体的なサービスメニューの内容や提供時期なども明らかにはしなかった。
デモストレーションでは、これまでのホームネットワークサービスの提案のように、単に家庭内の電力使用量を薄型テレビやタブレットなどに表示するというだけでなく、それぞれの機器が有機的に連携して、効率的な機器制御や、環境にあわせた使用状況に自動的に変更できるといった内容を紹介していた。
具体的には、電力の逼迫時に、電力会社から電力使用量抑制の要望にあわせて、家庭内で使用している家電製品を省エネモードで稼働するように自動的に制御。さらに、機器ごとの使用電力のバランスも自動的に制御できるようになるという。たとえば、食事の際に、電力使用量が大きい電子レンジを使用する場合には、すぐに利用しなくてもいい洗濯機などの家電製品の使用を自動的に停止することで、電力使用量を抑え、電子レンジの使用後には、自動的に洗濯機の動作が開始されるという仕組みを提案してみせた。
また、クラウドを通じて、薄型テレビで多様なデジタルコンテンツを楽しむだけでなく、映画のコンテンツを視聴する際には、LEDによる室内の照明を、クラウドを通じて最適な明るさに自動的に調整。視聴が終了すると、照明の明るさが戻るといった制御が行なわれるという。
そのほか、クラウドを活用して遠隔地からの見守りサービスなども実現可能という。
今回、展示された製品のうち、薄型テレビはすでにクラウド対応の製品を2012年に発売。白物家電では、家庭用エネルギー管理システムの標準規格「ECHONET Lite」搭載の製品は市場投入しているが、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどではまだクラウド対応の製品は投入していない。
東芝 スマートコミュニティ事業統括部スマートコミュニティ事業企画部事業企画・管理担当の安田淳参事は、「2013年から順次、クラウド対応の白物家電製品を市場に投入していくことになるだろう。東芝の製品だけを利用して構築するのではなく、セキュリティを維持した形で、他社製品との連動を行える提案へとつなげていきたい」とした。
また、クラウド環境の特徴を生かして、家庭内での機器制御、電力効率化だけに留まらず、街全体のスマートコミュニティへの展開にも取り組む姿勢を示す。
「電力使用量の削減という点では、家庭1軒1軒での制御よりも、街全体での制御の方が効果的であり、東芝ならではの技術や製品、サービスを通じて、より快適で、安心な生活を実現していくことになる」と語った。
なお、2013 International CESの東芝ブースでは、ホームクラウドサービスのデモストレーションのほか、2013年春から米国で開始するテレビ向けクラウドサービスの提案や、58V型、65V型、84V型の4K対応テレビの展示、2013年2月から米国市場で発売するWindows 8を搭載したパソコンなども展示した。