大和ハウス、リチウムイオン蓄電池1,000台導入で1日2MWhのピークシフト

リチウムイオン蓄電池「パワーイレ」をオフィス使用しているところ

 大和ハウス工業と大和ハウスグループは、4月10日より全国の大和ハウスグループの約200事業所に、エリーパワーの可搬型リチウムイオン蓄電池「パワーイレ」1,000台を導入し、電力のピークシフトを実施するを発表した。

 原子力発電所の停止に伴う、電力供給不足に対応するための取り組みのひとつ。事務所や工場など、全国約200の同社グループの事業所に合計1,000台のパワーイレを導入し、電力負荷を電力需要が逼迫する昼間から、比較的需要が緩慢な夜間に移行する「ピークシフト」を実施する。

 具体的な利用内容は、電力需要が減る午後11時から午前7時までの間に、深夜電力で蓄電池に電気を蓄える。そして、電力需要がピークとなる午後1時から6時までの間は、パワーイレに蓄えた電力を、事務所内で使用するパソコン、卓上LED照明の電源として使用する。同社によれば、パワーイレを1,000台導入することで、1日最大2MWh(2,000kWh)分のピークシフトが実施できるという。

利用方法のイメージ。1台で10人分のノートパソコンとLED照明が使えるという

 また関西電力管内については、ほかの電力会社管内よりも電力需給が逼迫する恐れがあるとして、全体の約6割に当たる1.2MWh分(600台)のパワーイレを導入する。これにより、約5%のピークカットが見込めるという。

 パワーイレは、日本のエリーパワー社が開発したリチウムイオン蓄電池。商用電力のほか、太陽光発電で創られた電力も蓄えられる。本体サイズは320×550×702mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約62kg。1台当たりの電池容量は最大2kWh。出力はAC100Vが2口で、最大出力は1,000Wまで。

 大和ハウスグループでは、2011年にも節電を実施しており、輪番休業の実施やエネルギーモニタリングシステムやLED照明の導入で、グループの対象施設で24%のピークカット効果があったという。2012年についてはパワーイレの導入でピークシフトを実施し、電力供給不足に対応するとともに、省エネ・低炭素社会の実現も見据えるとしている。

 なお導入されたパワーイレは、商用電源に頼らない独立電源システムや、停電時のバックアップ電源など、災害や事故が起きた際の行動計画「BCP(事業継続計画)」対策としても利用される。

【導入されるパワーイレの台数内訳】
施設分類導入台数予定
(関西電力管内)
導入台数予定
(それ以外)
大和ハウス工業410台315台
大和ハウスグループ会社170台14台
ショッピングセンター・ゴルフ場・ホテル20台71台
合計台数600台400台





(正藤 慶一)

2012年3月26日 17:23