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PV Japan 2014〜数年先を見据えたシャープの太陽光発電への取り組み

PV Japan 2014。シャープのブース

 7月30日〜8月1日の3日間、東京ビックサイトで開催された太陽光発電に関する総合イベント、PV Japan 2014。このPV Japan 2014においてシャープが大きいスペースでのブースを出展するとともに、さまざまな製品、サービスの発表および参考出品を行なった。比較的派手さが少なかった今年のPV Japanにおいて、かなり積極的に攻めているシャープでの発表内容について紹介していこう。

高効率、シート型など、次世代への取り組み

 半世紀以上に渡って太陽光発電に取り組んできたシャープ。人工衛星用の超高効率太陽電池などに取り組む一方、住宅用の製品としては長年、多結晶シリコンを中心に展開していたが、最近では高効率な単結晶シリコン太陽電池にも積極的製品化してきた。そのシャープが、さらにいろいろな方式の太陽電池の研究、開発を進めている。

 その一つが、「ヘテロジャンクション・バックコンタクト構造」の次世代BLACKSOLARだ。ヘテロジャンクションとは、やや聞きなれない言葉だが、簡単にいえばパナソニックが展開しているHIT太陽電池と同等の考えのシステムで、単結晶シリコンにアモルファスシリコンを融合させたもの。さらに、表面に配線をせず、背面で配線を行なうバックコンタクトにより、さらに高い変換効率を実現しようという太陽電池だ。現在、NEDOの委託業務の成果の一部を活用しながら、1.9cm角のセルで25.1%の変換効率を実現したという。まだセルベースであり、実際のモジュールとして販売できるようになるのは、だいぶ先である、とのことだが、同社がBLACKSOLARで培ったバックコンタクト技術と、薄膜シリコンの技術がベースとなったシステムだけに、そう遠くない将来に製品化ができそう、とのことだった。

「ヘテロジャンクション・バックコンタクト構造」を採用した次世代BLACKSOLAR
1.9cm角のセルで25.1%の変換効率を実現するという。会場ではイメージ模型が展示されていた

 新型の太陽電池への取り組みという面では、ソーラーフロンティアやホンダが製品化しているCIS/CIGSの化合物型太陽電池の研究も進めている。具体的には化合物PVフレキシブルシートというもので、セル効率35%を実現するという超高効率。特徴はシート型でフレキシブルであるという点。セル効率は35%、モジュール効率は32%と非常に高効率であり、用途としてはモバイル電源として、また重量やスペースで制限のある場所での発電が想定されている。同様の太陽電池セルを使用した軽量PVシートは、2013年9月に打ち上げられたイプシロンロケットの惑星分光観測衛星「ひさき」に搭載されているという。

シート型でフレキシブルな化合物型太陽電池
飛行船に取り付けたイメージ模型

 また、現行製品であるBLACKSOLARもセル出力の改善により、198Wのモジュール出力を203Wに引き上げるとともに、寄棟屋根にも効率よく設置できるよう、三角形状のモジュールも新たに投入している。

寄棟屋根にも効率よく設置できる三角形状のモジュール

天気などの情報を得て効率良く使う「クラウド蓄電システム」

 一方、シャープが一般家庭向け製品ということで、全面的に打ち出しているのが「クラウド蓄電システム」というもの。7月末に発売するという、このシステムは太陽光発電と蓄電池を組み合わせるシステムで、パワコンは太陽電池用と蓄電池用を兼ねることでコンパクトにしている。蓄電池自体はリチウムイオンを用いたもので、屋内用、屋外用があり、それぞれ4.8kWhという容量になっている。特徴的なのは、発電状況をネット経由でクラウドにアップすると同時に、クラウドから各種情報を得て、効率よく蓄電・放電ができるようになっている点。

7月末発売予定の「クラウド蓄電システム」
太陽光発電と蓄電池を組み合わせたシステムで、パワコンは太陽電池用と蓄電池用を1台で兼ねる
屋内用の蓄電池。リチウムイオンを用いている
屋外用。容量は屋内用と同じ4.8kWh

 たとえば天気予報をもとにして蓄電のタイミングを計ったり、電力会社からの計画停電情報をキャッチして、それに備えた電力温存を図る、といった具合だ。価格的には蓄電池とパワコンがセットで150万円程度ということなので、すぐに元が取れるものではないが、いざというときの備えとしては、なかなか心強いシステムだ。

コスト減でますます進化するシースルー太陽電池モジュール

建材一体型のシースルー太陽電池モジュール。バルコニーの壁などに設置できる

 これまでの展示会などでも展示されていた建材一体型のシースルー太陽電池モジュールも進化してきている。これはマンションのバルコニーの壁部分などに設置する用途などが考えられているものだが、価格的に見ても屋上に設置する太陽電池と差がなくなってきているという。屋上に設置する場合は架台が必要となるが、こちらは本来、壁を設置するべきところに、設置できるため、安くすむというのだ。また、パワコンに対して直列ではなく並列で接続するため、影の影響を受けにくいという特徴もあるそうだ。

太陽熱やディーゼル発電機と組み合わせた海外向け製品も

 さらに、シャープでは海外へ積極的な展開も仕掛けている。ヨーロッパ向けとして参考出品されたのは、「PVサーマルシステム」というもので、太陽電池の溜まる熱をヒートポンプで吸い上げて、屋内ヒーティングや温水などとして利用するというもの。これにより、モジュールを冷やす効果も生じるため、発電効率アップも期待できるという。

 アジア・アフリカ向けには「ソーラー・ディーゼルハイブリッドシステム」を提案していくという。こうした地域では、地域で利用するディーゼル発電を使うケースが多いが、燃料の高騰により、発電コストが向上している。そこで、日中の日が上がる時間はなるべく太陽光発電を使い、天気が悪いときや夜間はディーゼル発電機を動かすというわけだ。

太陽電池の溜まる熱をヒートポンプで吸い上げて、屋内ヒーティングや温水などとして利用する「PVサーマルシステム」
アジア・アフリカ向けの「ソーラー・ディーゼルハイブリッドシステム」

 以上のようにシャープでは太陽光発電を核にして、さまざまな製品、サービスを展開していくようだ。まだ数年〜10年程度先の技術発表が多かったが、それだけに今後の発展が楽しみなところだ。

(藤本 健)