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経済産業省、スマホの遠隔操作による家電製品の「電源ON」を一部許可

~安全面など9項目をすべて満たすことが条件

スマートフォンでの操作に対応した、パナソニックのエアコン「Xシリーズ」。リリース当初はスマホによる電源ONが謳われていたが、後に削除された

 経済産業省は、家電製品が満たすべき技術的な基準を定める「電気用品の技術上の基準を定める省令」の解釈について一部を改正。遠隔操作による家電製品の“電源ON”を、条件付きで許可した。新解釈の適用は5月10日から。

 「電気用品の技術上の基準を定める省令」は、家電製品の安全確保を目的とした「電気用品安全法(PSE法)」の一部で、家電における技術基準を規定している。同省令では、家電製品の閉路(電源のON)について、基本的には機器のスイッチやコントローラーで行なうこと、赤外線、または電力線通信を利用した遠隔操作機構は利用できないことを定めている。

 今回の改正では、前述の赤外線や電力線通信の場合を除いた通信回線において、省令が新たに規定する条件をすべて確保すれば、遠隔操作での電源ONを許可する旨が追記された。その条件は、「遠隔操作に伴う危険源がない機器」、「通信回線が途絶しても安全状態が確保できること」、「機器の近くにいる人が、容易に通信回線を切り離せること」、「同時に2カ所以上の遠隔操作を受け付けない対策を講じること」、「出荷状態は遠隔操作機能を無効にすること」など全9項目。

 また同省令ではこれまでに、遠隔操作の電源ONによる危険が生ずる恐れのない機器として、音声による遠隔操作機構を用いた、容量300W以下の灯具や音響機器など9項目を挙げていたが、新たに10番目の項目として「LED電灯器具」が追加された。

 遠隔操作による家電製品の電源ONができないことに関しては、2012年にパナソニックが発売したエアコン「Xシリーズ」において、当初はスマートフォンによる電源のON/OFF機能が搭載されていたものの、後に監督官庁との協議により、スマートフォンによる電源ONなどの機能が省かれた件がある。今回の改正で、スマートフォンの操作による家電の遠隔操作機能が、家電製品に搭載されることが予想される。

遠隔操作の電源ONに関して、「危険が生ずる恐れがないもの」として追記された部分

正藤 慶一