東芝、大容量・高出力の家庭用蓄電システム「エネグーン」

~独自技術「SCiB」で最速2時間のフル充電
「エネグーン」の蓄電池(右)とコントローラー(左)

 東芝は、大容量・高出力の定置式家庭用蓄電システム「エネグーン」を、東芝ライテックから11月より発売する。参考価格は150万円。

 容量6.6kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを備えた家庭用の蓄電システムで、蓄電池を分電盤に接続することで、家中の電気製品に電気が供給できる「系統連系蓄電システム」となる。出力が3.0kVAと高いため、電気機器が長時間使用できたり、エアコンなど200Vの機器にも使用できるという。

 バッテリーには、東芝独自のリチウムイオン電池「SCiB」を採用。SCiBは負極材にチタン酸リチウムを採用することで、外部からの力などで内部短絡が生じても、熱暴走が起こりにくい構造となっている。また、繰り返し使用回数は6,000回以上と、高いサイクル性能も備える。

 さらにバッテリーの充電時間は、通常モードの場合は約5時間だが、急速モードでは約2時間で充電可能。計画停電や急な充電が必要な場合にも対応するという。

 また、万が一、蓄電池本体が故障した場合、蓄電システム用の分電盤に搭載した保守用切替器を操作することで、商用電源を過程全体の機器に届けることもできる。

エネグーンのシステム全体図。分電盤に接続し、家中の家電製品に電気を供給する「系統連系蓄電システム」となる

 電気代に対する効果としては、コントローラーで予め充電時間と使用時刻を合わせておくことで、深夜など電気料金の安い時間帯に充電可能。コントローラーには、簡単に経済的な運転モードに設定する「おすすめ」ボタンも用意されている。太陽光発電システムと組み合わせた場合は、夜間に商用電源から充電した電気を日中に使用することで、太陽光発電システムの売電量を増やすこともできる。

 さらに、家庭や地域の電力需要のピーク時にも、蓄電池の電気を使用することで、電力逼迫時も家電を運転し続けることが可能。コントローラーの「アシスト」ボタンを押すと、契約電流を超えた分の電力を蓄電池から供給する機能も用意されている。電力ピークを常に抑えることで、契約電流を見直し、毎月支払う電気の基本料金を抑えることにもつながるという。

夜間に充電し、昼間に蓄電した電気を使うことで、朝晩の電力使用のピーク時や、夏場における地域の電力使用のピークを抑える効果がある

 停電の際には、蓄電システムが自動的に電気を供給。満充電時の場合、テレビ・照明・冷蔵庫などを最大約12時間連続して使えるという。また、停電中の太陽光発電での蓄電にも対応する。

 このほか、通信用アダプタを内蔵したコントローラーを使うことで、東芝のホームITシステム「フェミニティ」への接続も可能。フェミニティに接続することで、スマートフォンで蓄電システムの運転状態や蓄電量の遠隔監視ができる。通信プロトコルには、蓄電システムでは初となる、HEMSの標準プロトコル「ECHONET Lite」を採用する。

 蓄電池の本体サイズは、892×302×1,080mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は168kg。出力は通常時が3kVAで、停電時が2kVA。設置場所は屋外で、使用温度範囲はマイナス10℃から40℃。

 コントローラーには、有線LAN接続の「ENG-C20A1」と、BlueToothによる無線通信ができる「ENG-C10A1」、通信機能を持たない「ENG-C00A1」の3機種が用意される。サイズはいずれも146×22×120mm(同)。蓄電池システム用の分電盤のサイズは500×110×320mm(同)。

東芝のホームITシステム「フェミニティ」との連携も可能





(正藤 慶一)

2012年9月10日 16:01