北海道電力と中部電力が電力需給の逼迫対策を進める

~発電力増強や需要抑制を試行

 7月2日からの節電要請期間を控え、各電力会社で、発電量を増やしたり、電力の需要を抑えるための対策が進んでいる。

 北海道電力では、伊達火力発電所と砂川火力発電所において、冷却水の排出温度規制を緩めることで、発電所の出力を増やす。伊達発電所では海水、砂川発電所では石狩川の水を冷却水として使用しており、地元との協定によって、運転を抑制し、排水の温度を一定の範囲に抑えている。

 今回、電力需給の逼迫時に限り、この協定を緩和し、発電所の出力を増やせるように協議を行なった。これにより伊達発電所で9~10万kW、砂川発電所で1~2万kWの出力増大が見込めるという。

 一方、中部電力では、ビルなどの電力管理を委託されているアグリゲーターと呼ばれる企業と契約し、電力需要の抑制を行なう。契約アグリゲーターは、中部電気保安協会とイオスエナジーマネジメントの2団体。具体的には、需給逼迫時に、中部電力から2社に要請することで、電力管理業務を実施している顧客に対して、遠隔制御によりデマンドコントローラーの設定値を低く設定することで、13~16時のピーク時に電力需要を抑制する。

 また、中部電力では、企業などの大口顧客に対し、空調や生産ラインの停止などによる需要抑制を依頼する需給契約メニュー「通告調整契約」を新たに設定する。関西電力管内において、厳しい電力需給逼迫状態が予想される場合の対策で、実施日の前々日に通知することで、電力の抑制を行なう。現在、契約協議を進めているとしている。

中部電力の「通告調整契約」の仕組み。関西電力からの要請を受けて、中部電力管内の企業に需要抑制を依頼する

 7月2日からの節電要請期間では、北海道電力では7%、関西電力:15%、四国電力:7%、中部/北陸/中国電力:5%、九州電力:10%の節電目標が設定されている。

 現在作業中の、関西電力大井原子力発電所の再稼働が行なわれると、関西、中部、北陸、中国の4社については、節電目標の引き下げが行われる予定となっている。






(伊達 浩二)

2012年6月27日 15:06